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防衛省でまた無いはずの日報発見


 昨年の南スーダンの日報に続き、自衛隊のイラク派遣時の日報についても、これまで「存在しない」と国会で説明されていたにも関わらず、昨日・4/2、急に防衛大臣が保存されていたと言い出した。これについては軒並み大手メディアが報じており、NHKなどの報道によると、小野寺防衛大臣は、南スーダン日報問題を受けて各部隊などの保有文書を調べていたところ、2月末に複数部署から「保存されていた」と報告があったと説明しているようだ。ただ、東京新聞などは、陸上自衛隊は1月には文書の存在を把握していたとも報じており、いつ明確に存在が確認されていたかについては、まだまだ不透明であるように思う。
 個人的には、南スーダンの日報問題が昨年あったばかりなのに恥の上塗りをするのを避ける為、隠蔽する方向で事が進んでいたが、財務省の公文書改ざんが明るみになったことを受けて、隠していることがメディア報道や野党の追及によって明らかになるとダメージが大きくなると懸念し、そして佐川さんの証人喚問や予算成立などのタイミングを避けて昨日公表したのではないか、と想像してしまう。

 
 今朝のMXテレビ・モーニングCROSSでもこの件を取り上げていたが、画面に表示されたこれに対する視聴者ツイートでは、「これでどう政府を信用すればいいのか」という意見などもあったが、中には、





など、「防衛上公開出来ない文書もある」という旨の見解が複数あった。彼らは明らかに論点を見誤っている。確かに国防上公開出来ない文書もあるだろうが、ならば特定秘密や機密に指定するなどの方法で不開示という対応をとるべきなのに、実際は「文書の存在を調査した結果、(既に破廃棄済みなどの理由で)存在していなかった」としていたのだから、防衛上公開出来ない文書とは言えない。というか寧ろ、日報が防衛上開示出来ない程重要な文書なら、保存期間が1年未満でいつ廃棄してもOKという基準だったこととも整合性がとれないし、もし存在が確認出来たとしても対応は不開示になるだろうが、小野寺大臣は、今月半ばを目途に開示する姿勢を示していることとも矛盾する
 また、



というツイートもあったが、杜撰さが指摘されているのは単純な”保管”だけではなく”管理”についてもだし、また、文書開示請求に対して保管・適切な管理がなされているかどうかの”調査”に関してだ。1万4000ページ分の紙の文書が見つかっているそうで、少なくとも段ボール箱か何かで保存されていただろうから、それを見つけられなかったのなら、管理が杜撰と言われても当然だろうし、存在しているものを見つけられないような調査であれば、調査が不適切とか、いい加減とか、杜撰などと指摘されても当然ではないだろうか。
 最も話をすり替えようという意図が如実に現れていたのは、



というツイートで、今日のモーニングCROSSで取り上げられたのは、イラク派遣時の日報問題なのに、なぜかスーダン派遣の決定が問題だと言っている。いくら何でも話が強引過ぎる。それを無視して南スーダン日報隠蔽についての話として考えても、隠蔽しようとした(厳密には限りなく黒に近い疑惑)のは自民党政権の防衛大臣なのだから、その責任を前政権になすりつけようというのは余りにも酷い
 特に最後のツイートに関しては番組がテレビ画面に表示するべきものとは到底思えない。彼らが「メディア報道は偏向している」と言っているかどうかは分からないが、自分には彼らのような人達こそ、公平な視点で物事を受け止めていない、言い換えれば偏向しているように思えてならない。また、そのようなツイートを画面に表示している番組は果たして適切だろうか。その内容ではなくツイートすること自体の否定は、個人の表現の自由を侵害する恐れもあり、一方的にツイッター上から削除しろなどとは言えないかもしれないが、間違った認識である恐れの強い主張を含むツイートをテレビ画面に表示するということは、単なるツイート以上の影響力を生むことになる。昨今は誹謗中傷ツイートをリツイートすることも名誉棄損などに当たるという判例もあり、テレビ画面にツイートを表示することは、リツイートしているのも同様、場合によってはそれ以上の影響を生むだろうから、画面に表示する番組・テレビ局は、その影響について相応に留意する必要があると感じる。
 

 また、今朝のモーニングCROSSでは東京新聞の記者・望月衣塑子さんがコメンテーターを務め、森友学園問題・公文書改ざんへの特に昭恵首相夫人の存在の影響について取り上げていた。確かに首相夫人の存在が国有地の取引や、公文書が改ざんされたことに影響を及ぼしている感は否めないが、彼女が積極的に国有地価格を下げさせたわけでもないし、改ざんさせたわけでもないだろうから、個人的にはその線で一連の問題を詰めようとすると論点がぼやけると考えており、あくまでも首相や財務大臣の管理監督責任や任命責任の観点、そしてその他の省庁でも隠蔽・不適切な公文書管理が頻発していることや、これまで佐川国税庁長官を頑なに適材適所と言い続けたこと、財務大臣に関しては、TPP11に関して「(日本の新聞には)1行も載っていなかった」など、事実と確実に異なる話でメディア批判を行っていた責任などの累積で、職務の資質があるかどうかを問うべきだと思っているので、彼女の主張はやや自分のそれとは異なると感じるものの、大した証言を引き出せなかったのは与党側も同様なのに、政府や与党が佐川さんの証人喚問で幕引き感を演出しようとしているのだから、風化しないように取り上げ続けることは必要だと感じる。
 これに対する視聴者ツイートで目立ったのは、






など、「モリカケ問題など重要でないのに野党とメディアが騒ぎ過ぎ、それによる(他の事案での)国益の損失は大きい」と言いたいのであろう見解だ。もうこのブログでは何度も指摘してきたのでハッキリ言ってどちらかと言えばこちらがウンザリしている側なのだが、彼らの耳にはどうやら、公文書が改ざんされたという事実が届いていないようだ。若しくは、公文書の改ざんに対する評価が適切に出来ないのだろう。二言目には国益云々と言いい、そう言えば公文書改ざんを矮小化出来ると考えているようにしか見えずかなり残念だ。公文書改ざんという事態は充分国益を損なっている。更に「昭恵夫人は利用されたということで」なんて、事実確認よりもそう決めつけることが重要なんて話は全く容認できない。
 また、




という、これまで出てきた文書などから読み取れることでも都合の悪いことは無視した見解もあった。森友学園以前に別の団体に買い取りを打診された際には、森友学園よりも遥かに高い買い取り提示額だったにもかかわらず、取引が不成立になり、森友学園に対しても貸付にも前向きでなかった財務省が、ある時点で急に態度を一変しているのに、「早く売りたかった土地」と考えられる根拠が全く分からないし、改ざん前文書の中で、近畿財務局が一転して貸付を前向きに検討し始めたのは、昭恵夫人の名前が登場した次の項目で記述されているのに、一体何を根拠に「7か月前から決まっていた」と言っているのかもかなり不可解だ。これらに関しては、最早偏っているか否かのレベルでなく、モーニングCROSSも、真偽の疑わしいツイートをテレビ画面に表示することで、正しいとは言えない情報を流布することに協力しているようにも見えてしまう
 また、偏っているか否かという視点で見ると、





などのツイートは大した根拠もない、視点によっては不適切な見解に感じる。まず、何を根拠に「反安倍ありき」と言っているのかがよく分からない。多分個人的な感情、言い換えれば、単なる思い込みの範疇だろう。また「森友で騙せる」とは一体どのようなことを言っているのだろうか、高齢者やメディアが騙されているのではなく、このようなツイートをしている人達こそ、いい加減なネット上の情報に騙されているんじゃないかと心配になってしまう。というか、これまでの小出しに明らかになった数々の事実を情報を勘案すれば、騙そうとしているのは寧ろ政府や、政府を擁護しようとして「騙されるな!」などと言っている人達なんじゃないだろうか。

 このようなツイートを見ていると、2/10の投稿で触れた産経新聞の報道のように、メディアに不適切な報道が一切ないとは言えないが、一部の情報の受け手は確実に偏っているということを再確認させられる。このような主張を見た者の中から、更にそれに影響される人が生まれるかと思うと、メディアの誠実さの担保が必要性であるのと同時に、一部のいい加減な情報を撒き散らすサイト・ネット利用者への何らかの対処も緊急性は高いと言って間違いないだろう。日本は、日本語が主に国内でしか使われていないということもあり、他国から大量にフェイクニュースを流されるような状況にはなっておらず、先進国の中では比較的フェイクニュースに関する深刻度は低いが、一部の所謂まとめサイトなど、いい加減な情報を撒き散らしている勢力は確実に存在しているし、それに影響を受けている人々も少なからず存在している

 副総理大臣が、TPP11に関して「(日本の新聞には)1行も載っていなかった」などと、メディアが書けば確実にフェイクニュース認定されるような発言を、事もあろうに国会審議の中で堂々とするような状況なのだから、一部の国民が似たような傾向になってしまっていることは、ある意味では仕方がないのかもしれない。しかし、それは決して仕方がないで片付けられるような話ではない。副総理は一応訂正・謝罪という言葉は口にしたようだが、これまでの振舞いを見ているとそんな言葉だけで済むような話ではなく、個人的にはさっさと職を辞して頂きたいと思う。そして、似たような主張をネット上などで撒き散らしている人々にも確実に何らかの対処が必要であることは間違いない。

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