一昨日・4/5の投稿は「どんどん出てくる不都合な事実」というタイトルを付けて、次から次へと明らかになる、政府や相撲協会などの不祥事が頻発している組織にとって都合の悪い事に触れ、それらの組織が問題を直視していないようにしか見えないこと、要するに現状認識能力にかなり欠けているのではないかと書いた。また、そのタイトルを付けたのには、「他にも書きたいことがあるのに、特に政府の不祥事が多すぎて、というか政府絡みの不祥事だけでも毎日1投稿では書ききれない」という思いもあった。職業ブロガーでもないので1日1投稿以上は時間的にも無理だ。
この流れは一体いつになったら落ち着くのだろうか。昨日は先月来注目が集まっていた、レスリングの伊調馨選手らに対するパワハラ問題について、協会が行っていた第三者委員会による調査結果の発表が行われた。結果は「パワハラがあった」とされ、これまで協会側、特に副会長であり、パワハラの主体とされた栄強化本部長の職場の上司でもある谷岡郁子さんらが示していた「パワハラなどなかった」という見解が覆されることになった。
3/17の投稿でも触れたように、谷岡さんは3/15に志学館大学学長という立場で会見を行うとして、その中である種異様な論理で「パワハラ告発は恣意的でわけのわからないもの」などと主張していた。しかし、どのメディアの報道を見ても昨日開かれた協会の理事会ではその不適切さには触れていなかったようだし、彼女はインタビューにも一切応じなかったようだ。パワハラの主体とされた栄強化本部長は辞任という責任の取り方を選択したようだが、個人的には、谷岡さんの会見での発言も相応の責任の取り方が必要なパワハラ擁護、或いは彼女の発言自体がパワハラ発言だったように思う。協会副会長や志学館大学学長の辞任が必要かどうかは現時点では判断できないが、少なくとも謝罪会見ぐらいは開くべきだろう。
また、このパワハラ問題はパワハラを受けた当事者の伊調選手や男性コーチではなく、状況を見かねてレスリング協会の将来を危惧した第三者によって内閣府に告発状が送られたことに端を発しており、協会とは別に内閣府による調査も行われている。協会の調査では告発内容の全てを認めたわけではなく、一部は事実認定していないし、行為の事実は認めても「パワハラには当たらない」とした部分もあった。それを受けてか、告発者や伊調選手らは「内閣府の調査結果を待ちたい」というコメントを寄せているそうだ。
確かに、第三者を導入した調査と言えど、協会が主体となって選ばれた者による調査より、利害関係が更に薄いであろう内閣府の調査の方がその信頼性は上のようにも思える。要するに、協会の調査結果と今後明らかになる内閣府の調査結果が異なれば、内閣府の調査結果の方を尊重するべきとも思える。しかし、別の観点で考えると、内閣府の調査も決して信頼性が高いとは言えないかもしれないと思えてしまう。何故なら、現政府の下で頻繁に情報の改ざん・隠蔽・捏造疑惑が持ち上がり、疑惑に留まらず事実だったが明らかになったことも少なくないからだ。様々な案件で恣意的な情報操作が行われている疑念が政府全体にあり、レスリングパワハラ問題も、それらから注意を逸らす為に利用される恐れがあるのではないかと懸念してしまう。分かりやすく言えば、伊調選手に同情的な世論に迎合して、必要以上にパワハラ認定を行ってしまう恐れがあるかもしれないと想像する。
今週は4/5の投稿でも触れた自衛隊のイラク派遣日報の隠蔽、財務省による森友学園への口裏合わせ要求が明らかになった。そして昨日は、経済産業省の出先機関が、北海道の高校で原発関連の講演が行われる際に、講演内容について「原発リスクを過大に見せる印象操作」として内容修正を求めていたことが複数メディアで報じられた。これは3/16の投稿・3/20の投稿で触れた文科省の高圧的な講演内容調査と、殆ど変わらない案件に当たるだろう。文科省は指摘を受けても尚、未だに「問題はなかった、寧ろ問題の恐れがあるのは講演を行った前川・前次官や彼を招聘した学校側」という姿勢を崩していない。それと同様に、経産省も「(内容修正の要求は)調整の一環であり問題ない」という見解を示している。
更に、厚労省でも東京労働局の勝田局長が3/30の定例会見で、昨年12月に野村不動産が裁量労働制の違法な適用を行っていたことを理由に、労働局が特別指導を行ったことについて記者らが質問しようとしたのを受けて、「なんなら、皆さんのところ(記者らが所属する企業のこと)に行って是正勧告してあげてもいいんだけど」などと、監督指導権限を不適切に振りかざして報道機関をけん制するような態度を示したことが、この数日来問題になっていたが、野村不動産への特別指導のきっかけは男性社員の過労自殺だったという話が浮上し、更にそれを厚労省が個人情報保護の必要性などを理由として隠していた疑惑も持ち上がった。昨日は、これらの案件に関連して、勝田氏が12月の定例会見で野村不動産への特別指導を公表した際に、これからそのことを言うと示唆する意味で「プレゼントもう行く?」「プレゼントというほどいい話じゃないんですけど」などと発言したことが報じられた。これについては過労自殺した遺族からも、人の死が絡んだ話をプレゼントと言うなんて不謹慎極まりないという旨の異論が呈されているようだ。この件は国会審議の中でも取り上げられ、参考人招致された勝田氏は「誤解を招く発言だった」などと釈明したが、一体何がどう誤解と言うのか理解に苦しむ。この手の釈明手法は失言と指摘されるような発言を行った者がしばしば行うが、ハッキリ言って反省の意思が全く感じられず、寧ろ責任逃れを強く思わせるだけで、恥の上塗りをしているに過ぎないように思う。
本来、労働者の権利を守り保護するのが存在理由である筈の労働局の局長が、こんな人物なら到底その目的は達成出来るとは思えない。また、厚労省は2月に裁量労働制拡大という政策案の基になった労働時間に関するデータについて、捏造が強く疑われるようないい加減な集計を行っていたことが発覚し、更にデータの基になった調査票について、段ボール箱数十箱の分量にもかかわらず、当初見当たらないとしていたが、その後「調査の結果みつかった」などと苦しい話、というか言い訳をしている。にもかかわらず、この期に及んで「野村不動産への特別指導と男性社員の過労自殺についての関連性はない」かのような答弁を厚労大臣が国会でしているのには不信感を覚える。もしかしたら本当に関連性がなかったのかもしれないが、あるものを無いと言い続ける現政権の体質をみていると、そんな風には到底思えない。
昨年来一体幾つの省に不祥事があっただろうか。
防衛省
- 南スーダン日報隠蔽
- イラク派遣日報隠蔽
文科省
- 加計学園問題に関する所謂総理のご意向文書隠蔽
- 前川・前次官が講演を行った中学校への高圧的な内容確認
財務省
- 森友学園への国有地払い下げに関する不当に高額な値引き
- 佐川前理財局長の虚偽答弁
- 国有地払い下げに関する決裁文書の改ざんとその隠蔽
国交省
- 森友学園への国有地払い下げ問題や文書改ざんへの関与
- 機密や個人情報を含む書類が大阪府の路上にばら撒かれたことで発覚した杜撰な文書管理
厚労省
- 捏造が強く疑われる、いい加減な労働時間調査データの作成
- 年金データ管理をいい加減な業者に委託、不正を把握していたのに放置
- 不適切な発言を連発する者が労働局長に就任していたこと
経産省
- 原発に関連する講演への内容修正要求
たった1年そこらでこんなにも、中には行政史上最も深刻なレベルと言えるような問題(個人的にそう感じたものは赤字化)が頻発しているのは、本当に官僚だけの問題なのだろうか。担当大臣の統制力のなさ、そして大臣を束ねる首相の人を見る目の無さが強く疑われる。上記のリストには入れなかったが、昨年成立した所謂共謀罪法案の審議の中での法務大臣のあまりにも能力不足な答弁や、それをサポートしていた法務省官僚らもかなり問題性を孕んでいると自分は考える。しかもそんな体たらくな議論で政府や与党は法案を可決してしまっているし、厚労省で今これ程問題が指摘されているにも関わらず、政府や与党は働き方改革法案を推し進めようとしている。当然、全てが全ておかしいわけではないが、高度プロフェッショナル制度などは多くの懸念を含んでいると指摘されているのだから、個人的にはその期待感は著しく低いように思うが、去年の共謀罪法案や一昨年の安保関連法制のような強引な手法で成立させるなんてことが決してないように期待したい。
というか、そもそも、これほど問題が頻発するということは、前述したように行政の長の統治能力が著しく欠如しているということでもあるだろう。このようなことを書くと政権の積極的支持者らの中には、「官僚の質の低下が全ての元凶で、他に変わったところで官僚の体質が変わる・変えられるとは思えない」などと言う者がいるだろうが、それは逆に言えば、これまでおよそ5年もの間、ここ数十年間では最も長く政権を担っているのに官僚の体質を変えられなかった現首相らは、自らの能力の無さを既に証明しているということにもなるだろう。ということは、期待値が低かろうが他の者が別の方法で事態改善に臨んだ方が、幾分改善の可能性が生まれるということになるのだろうと考える。
自分は現政権以外とは距離を置いている勢力でも、自民党に所属している人達の考え方には重要な部分で共感出来ない部分が多い。しかし、かと言って現在の野党勢力に政権運営能力があるとも思えないし、ハッキリ言って政治や行政全体への不信感が強まっている。ただ、これだけの不祥事を、直接的に関与していなかったとしても結果的に許してしまい、頻発させてしまったような人達に行政運営能力があるとか、”まだマシ”なんて到底思えない。しかも明るみになる主要な不祥事は、政府に対して都合の悪い情報を隠そうとしていたことばかりで、全く関わりがないとは思えない。直接的でなくとも間接的な因果があるだろう。
特に防衛省の日報隠蔽や財務省の公文書改ざんなどがその最たる例だ。昨日はイラク派遣時の日報について、陸自だけでなく空自でも見つかったという発表があった。情報が小出しに出てくることに関しては、逐次報告発表しているからとも考えられる為、一概にこの期に及んで隠蔽体質が見直されていないと批判し難いが、見つかったのが「異常なし」とされたたった3日分の日報だったことを考えると、他が廃棄されたのだとしたら、廃棄されたのは現政権移行以前なのか以降なのか、日報の提出を求められてからなのかそれ以前なのか、不都合な情報が掲載された日報だけを廃棄しているのではないか、などの疑念も感じられ、もう既に自衛隊や防衛省、更には政府の言い分など、これっぽっちも額面通りに「はいそうですか」とは受け止められない状況だ。
これは言い換えれば、既に行政機関全体、政府への信頼感が著しく低下し、そして立法機関である国会での審議も不祥事の追及に終始しており、言い換えれば日本の国家機関の運営が危機的状態にあるとさえ言いたくなるような状況だ。昨年の衆院選で与党が大勝利を収めたことは、ある意味では政権が信任を得たということかもしれないが、これほど多く政権にとって不都合な事柄が隠された状態で行われた選挙の結果が、果たして適切な判断が反映された選挙の結果と言えるだろうか。確かに今明らかになっている問題の再発防止の為には、現政権の大臣ら当事者を交えた上での実態の解明が必要不可欠だと思うものの、現政権の実態解明に消極的な態度、まるで他人事のような態度を見ていると、彼らに実態解明の舵取り能力があるとは到底思えないし、本当のことを言うかも分からず議論している時間の無駄なので、もっと前向きな他の案件の議論を行う為に、どんな言い訳的な理由でも構わないので責任をとってさっさと総辞職して欲しいとも思う。
これはあくまで個人的な見解でしかないが、こんな惨憺たる状況でも尚、積極的に現政権を支持してる人達は、適切な現状把握が出来ているとは到底思えず、最早狂信的な新興宗教信者と大して変わらないように感じる。