昨日は、昨日の投稿で触れたイラク隠蔽問題の報告と共に、政府の抱えるもう一つの隠蔽事件・森友学園の国有地取引に関する公文書改ざん・隠蔽問題に関して、昨年、当時の佐川理財局長が国会で「廃棄した」と繰り返し、首相や財務大臣・官房長官らも「そういう事だ」と追随していた文書、しかも省内で改ざんまで行っていた文書、およそ4000ページ分がようやく国会に提出された。昨日は新たに佐川氏の「廃棄した」という昨年の答弁後に、整合性をとるような形で廃棄が行われたということも財務省側が明かしたようだが、そんな話は改ざんが明るみになった際に「佐川氏の答弁に合わせて改ざんが行われた」ということの延長でしかなく、それ程驚くことでも新しいことでもない。ただ、そんな状況にもかかわらず、5/19の投稿でも触れたように、大阪地検が佐川氏に関して不起訴の方向性であるということはどうにも納得できない。
TBSのニュースを見ていたら、この件についてある自民幹部が「内容に何ら新しい点はない」という旨の発言をしたと報じ居ていた。要するに、懸案の文書が明るみになったところで、これまでに分かっていること以上のことは何も書かれていないし、文書改ざんも隠蔽も財務省の一部の人間が勝手にやったことで、財務省幹部・大臣の管理監督に問題はないとでも言いたいのだろう。
佐川氏の虚偽答弁、虚偽答弁とはまだ確定していないから厳密にはいい加減な答弁かもしれないが、そんな答弁に整合性を持たせる為に、というか、その答弁も首相の答弁に整合性を持たせる為という動機が強く懸念されているのだから、言い換えれば首相の答弁に整合性を持たせる為に、公文書を数十か所も改ざんし、首相・財務大臣・官房長官らも追認した「廃棄した」という、これまたいい加減な答弁に整合性を持たせる為に事後的に文書を廃棄し、言い換えればあの手この手で隠蔽を画策し約1年もの間隠蔽していた、朝日新聞が2018年3月に報じなければ今も隠蔽されたままであっただろうことだけで既に、現政権で、というか日本の憲政史上で最悪レベルの大問題ではないだろうか。
昨日書いたイラク日報隠蔽問題と同じことで、もし万が一この事件の首謀者が佐川氏だったとしても、嘘を見抜けなかったどころか彼の答弁を信じて疑わず、更に抜擢すらした財務大臣、そしてそれを肯定し続けた首相らの下で内部調査が行われたところで、若しくは、いくら個人的な手控えだったとしても、省内に存在していた当該文書を発見できない調査しかこれまで出来ていなかったような組織が新たに調査をしたところで、またおかしな調査結果が報告され、しかも首相や財務大臣らは間抜けにもそれを真に受けて信じてしまっている恐れがあると自分は感じる。要するに隠蔽問題・虚偽性の高い答弁が繰り返されている現政権下での内部調査の信憑性はその程度でしかない。それは彼ら自身が、これまで何度も「ない」としたものが、後であったことが発覚するという事態を引き起こして招いた状況だ。
にもかかわらず、政権や与党は都合がいいからだろうがあくまで「財務省の一部が勝手に起こした不祥事」と矮小化した評価を下しているし、大阪地検まで政権や与党が首謀者としている佐川氏を不起訴にするというような方向性のようで、まさしくやりたい放題とはこのことだとしか思えない。
昨日公開された文書の中には、これまで何故か明らかにされてこなかった所謂「本省相談メモ」も公開された。ただ、最も注目すべき2014年4/28分がなかったそうだ。これについて以前から本省相談メモの提出を国会で求めていた共産・辰巳議員などが昨日のヒアリングの中で財務官僚に提出を求めたが、財務省側は「提出したものが全て」という姿勢を示していた。もしかしたら本当に4/28分など存在していないのかもしれない。しかし、昨年来「ない」とされた文書が後から明るみに出てくる事態が繰り返されている今の状況では、財務省、というか財務省に限らず他の省庁や現政権も、彼らの「ない」という主張は手放しで信用できるようなものではない。「また都合が悪くて隠しているんじゃないか」という懸念を持ってしまう。隠蔽改ざんが行われていた財務省・防衛省/自衛隊なら尚の事だ。
政治家や官僚は不祥事に関する辞任の理由について、実質的な責任を認めないものの「混乱を招いた」「誤解を招いた」などと述べることが往々にしてある。今の状況、この大混乱ともいえるような状況の構成要件である森友学園国有地取引の不正について、自衛隊日報の隠蔽について、財務省の公文書改ざん・隠蔽について、加計学園の認可について、万が一政権の関与が薄かったのだとしても、混乱・誤解を招くような状況が出来上がった責任は確実に現政権にもある。これらのどれか一つだけだったなら総辞職の必要はないかもしれない。しかし、この複数の構成要件による大混乱を考慮すれば、少なくとも最も深刻な問題・財務省の責任者である麻生大臣の辞任、個人的には首相にも「混乱・誤解を招いた」責任は多いにあり、国政の正常化の為に今すぐ総理の職を辞して頂きたい。責任者が管理下にある部下に責任をおしつけ、保身に走るようではそれこそ独裁者のようだ。