スキップしてメイン コンテンツに移動
 

自民、女性省設置を提言


 時事通信の記事「女性省設置を提言=参院自民」によると、自民党は5/24の参議院・政策審議会で、女性省の設置近く政府に提言する方針をまとめたそうだ。自分がこの記事を見た際の第一印象は「全く無意味だとは言えないだろうが、セクハラに関する適切な認識のない麻生大臣や、女性・子育てなどに関して相変わらず昭和以前の認識で堂々と発言してしまう党内議員の認識を正してから言えば?」だった。要するに、人気集めの為の綺麗事・中身のない看板、といった印象を受けた。
 この件に関しては、今朝のMXテレビ・モーニングCROSSでも取り上げており、出演者の受け止めは懐疑的な意見と賛同する意見で割れていた。賛同者らの主張も理解できる部分は多かったが、前述のように、果たして単なる看板だけにならず、本当に賛同者らが期待しているような施策が行われるかについて、自分は強い疑問を感じながら見ていた。


 番組内で画面に表示された視聴者ツイートの中に、



という主張があった。また、この日のコメンテーターで、子育て・保育などの専門家・駒崎弘樹さんが「子育てや女性活躍などの問題は、女性だけの問題ではない。男性が協力的でないなど男性側の問題も大きい」という旨の発言をしており、また他の視聴者ツイートや、サブMCという立場なので番組内での積極的な意思表示をあまりしない宮瀬茉祐子さんが、珍しく饒舌に語っていた主張などから、自分は「女性省」というネーミングに違和感を感じる人も多いのではないか?と感じた。

 女性省という役所は他国でも設置されている、という話もあったので、とりあえず「女性省」で検索して見るとWikipediaの記事がヒットした。それによると確かにかなり多くの国や地域で、女性の地位向上の為の政策を実行する為の、女性省なる役所が設置されているようだ。ただ、そこで挙げられていたいくつかの国については、実際の役所名の英語表記が付け加えられていた。
 そこで、女性省に該当する英語版の記事「Ministry of Women」を見てみると、

A Ministry of Women or Women's Affairs exists in several countries under various names, often headed by a Minister for Women (or equivalent):

女性省または女性問題省は、様々な名前でいくつかの国に存在し、多くの場合、女性大臣(またはそれと同等の者)が率いる。

という説明があり、加えて、

  • Ministry of Women and Family (여성부) (South Korea)/女性・家族省(韓国)
  • Federal Ministry of Family Affairs, Senior Citizens, Women and Youth (Germany)/家族問題・高齢者・女性・若者省(ドイツ)
  • Ministry of Women's Affairs, Gender and Community Development (Zimbabwe)/女性問題・ジェンダー・コミュニティ開発省(ジンバブエ)
  • Ministry of Women and Child Development (India)/女性・児童発展省(インド)
  • Ministry of Women and Children's Affairs (Ghana)/女性・児童問題省(ガーナ)
  • Ministry of Women, Children and Social Welfare (Nepal)/女性・児童社会福祉省(ネパール)
  • Ministry of Women, Family and Community Development (Malaysia)/女性・家族・コミュニティ開発省(マレーシア)
  • Ministry of Women and Social Development (Peru)/女性・社会発展省(ペルー)

など、単に女性省・Ministry of Womenではない名称を用いている国の例が挙げられていた。また、Ministry of Women's Affairs/女性問題省という名称を用いている国として、アフガニスタン、コロンビア、フランス、ナイジェリア、スリランカなどが挙げられている。

 役所の名称だけが大事だとは全く思わないが、「名は体を表す」という慣用句もあるし、名称がその役所の守備範囲を、漠然とかもしれないが、形作る側面も確実にある。そんな観点で考えれば名称にもある程度重要性はあるだろう。勿論、ドイツの役所名をそのまま取り入れて「家族問題・高齢者・女性・若者省」なんて名付けたら、日本語・日本人的な感覚で言えば、ネーミングセンスの悪さが指摘されるだろうし、「一体何を目的としているのか?」と、それこそ人気取り・大臣ポスト増設の為だけに役所を設置しようとしている、と言われかねないだろう。そんな観点で考えれば、もし設置するのだとしても「女性問題省」ぐらいが丁度いいのかな?と自分は感じる。

 ただ、それでもやはり、女性省というネーミング云々なんて話よりも、未だに男尊女卑的な発言を無意識に幹部が行っているような党が、
内閣府や厚生労働省などに分散している女性政策の部署を統合して女性省を設置する方針、などを示しても、そして子育て政策にしろ女性活躍政策にしろ、さらに働き方改革にしろ、どこかずれた政策を行っているように見える党が、女性省の必要性を訴えても期待できないと考える人も少なくないんだろう、というのが自分の受け止めだ。

このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

フランス人権宣言から230年、未だに続く搾取

 これは「 Karikatur Das Verhältnis Arbeiter Unternehmer 」、1896年ドイツの、 資本家が労働者を搾取する様子を描いた風刺画 である。労働者から搾り取った金を貯める容器には、Sammel becken des Kapitalismus / 資本主義の収集用盆 と書かれている。1700年代後半に英国で産業革命が起こり、それ以降労働者は低賃金/長時間労働を強いられることになる。1890年代は8時間労働制を求める動きが欧米で活発だった頃だ。因みに日本で初めて8時間労働制が導入されたのは1919年のことである( 八時間労働制 - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになる

 攻殻機動隊、特に押井 守監督の映画2本が好きで、これまでにも何度かこのブログでは台詞などを引用したり紹介したりしている( 攻殻機動隊 - 独見と偏談 )。今日触れるのはトップ画像の通り、「 戦闘単位としてどんなに優秀でも同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も特殊化の果てにあるものは緩やかな死 」という台詞だ。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。