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出自・民族による差別に無頓着な人々


 「コンサドーレ札幌のジェイ選手、「外国人だから」ゴルフ場でプレーを断られる」。5/30にハフポストが掲載した記事の見出しだ。見出しの通りの内容で、Jリーグ・コンサドーレ札幌でプレーしているイギリス・イングランド出身のジェイ ボスロイド選手が、北海道クラシックゴルフクラブに、外国人という理由で利用を断られたという話だ。北海道クラシックゴルフクラブは主に会員向けの施設のようだが、記事によると会員資格がない場合であっても、日本人であれば会員同伴でなくてもビジターとしてプレーができるが、外国籍の場合は会員の同伴を義務付けているらしい。
 このような利用規約に違和感を感じない人は、圧倒的に一つの民族が多い国で多数派民族として生活しているとそれなりにいるのだろうが、自分はその感覚の鈍さを強く批判したい。


  5/27にBuzzFeed Japanが「パリの高級レストランがアラブ人を差別し入店拒否か フランス当局が調査」という記事を掲載していた。自分はこの記事に、



とコメントしたのだが、ハフポストの記事がたった3日後に掲載され、日本でも同じようなことがあるとすぐに発覚した。ハフポストの記事にもその旨コメントしたが、そのコメントをした後に「中国人はパラソル料金10倍 沖縄・宮古島の貸出業者」(産経新聞)という件が2017.8月にあったことを思い出した。要するに、北海道・ジェイ選手の件が発覚する半年以上前に、日本でも国籍・出自・民族などを理由に差別・不当と言える程度で対応を変える店の存在が既に報じられていたわけだ。

 ハフポストの北海道・ジェイ選手の記事に、


過去にトラブルがあったから「外国籍は同伴以外のプレー不可」のルールを設けたのかな。
この前北海道に行ったら外国語がたくさん聞こえたのを思い出した。

とコメントしている人がいる。彼は外国人お断りルールを明確に肯定も否定もしていないが、彼はそのようなルールをある程度肯定しているように自分は感じる。このような感覚は、実質的な外国人お断りルールを設けていた北海道クラシックゴルフクラブの責任者や、アラブ人を入店拒否していたパリのレストランの責任者にも共通しているのだろうと推測する。
 しかし、万が一北海道のどこかのゴルフクラブが、過去に大阪県民がたて続けにトラブルを起こしたとして、「大阪県民は同伴以外のプレー不可」というルールを設けていたとしたら、前述のコメントをした人は、

過去にトラブルがあったから「大阪県民は同伴以外のプレー不可」のルールを設けたのかな。
この前北海道に行ったら大阪弁がたくさん聞こえたのを思い出した。

などとコメントするだろうか?もしそんなコメントをしたら、確実に多くの大阪県民は差別的だと反発するだろうし、勿論、そんなルールを設けていたゴルフクラブにも同じ批判を向けるだろう。そして、それを見た日本人の多くは差別的であると評価するだろうし、大阪県民でなくても「明日は我が身」であると受け止めて非難するだろう。

 勿論地域振興などを目的に地元県民を優遇するという場合は当てはまらないだろうが、○○県民という括りで待遇を変えたら、それは差別に当たる恐れが生じるということは、多くの人の共通認識だと言えると思う。しかし、何故か外国人、イスラム教徒、朝鮮半島出身者、などの括りには問題性を感じられない人がいるのはとても不思議だ。恐らく彼らに欠けているのは自分が差別を受ける側になるかもしれないという意識だろう。○○県民という括りでは自分も当事者になり得るが、日本で日本人以外という括り、勿論日本以外でも当事国の多数派民族以外という括りであれば、自分は当事者になり得ないという意識が働くから、平然と差別的なルールを設けたり、容認したりしてしまうのだろうと想像する。

 ただ「外国人お断り」が問答無用で不適切とまでは言えないとも思う。自分が以前利用していた風俗店では、明確に看板には掲げていなかったが、自分は何度か外国人が店員に入店を断られているのを見かけたことがある。ネットで調べてみると「外国人お断り」を明確に標榜したり、明確に標榜しなくとも断る風俗店は結構多いようだ。その店で何度かお世話になって仲良くなったお姉さん(風俗嬢)に、それについて聞いたことがあるのだが、性行為に関する文化の違いが大きく、そして観光で訪れている外国人は羽目を外しやすい傾向があり、また日本語でのコミュニケーションにも難があり、無茶をしようとする者も多く、店が受け入れても風俗嬢自体がNG指定することも多いそうで、そのような風潮が業界に広まったのではないか?ということだった。
 「外国人によるトラブル」という意味では、前述したハフポストの記事にコメントした者が想定した「外国人お断り」の理由と同様だが、ゴルフ場やレストランなどの利用規約と、1対1である程度自己防衛をしなくてはならない風俗嬢のそれを全く同列に考えることが適切であるとは思えない。例えば、個人的に「外国人は好きじゃない」と発言しても、それは単なる個人的な趣向の表明だろうから、直ちに差別に当たるとは言えないだろう。しかし例え個人の発言であっても「外国人は好きじゃない、日本から出ていけ」なんて言えば、差別・ヘイトスピーチ認定が確実にされる。そのような主張は、表現の自由から逸脱した表現であるということは既に司法的にも評価が確定している。風俗嬢が自らの身を守るという観点で、外国人へのサービスをNGにしているというのは、前者の要素が、ゴルフクラブやレストランなどが出自・国籍・民族的な理由だけで対応に差をつけるというのは、後者の要素が強いのではないか、と自分は考える。
 しかしその一方で、やはり理想的には「外国人お断り」は好ましいとは言えないし、そのような対応がやむを得なくても、トラブルを避ける為に敢えて明示している場合もあるのだろうが、前述のような事情があったとしても看板には明示せずに、あくまでケースバイケース的な対応として、コミュニケーション上の不都合などで断るほうが良い気もする。その方が日本人と変わらない感覚・コミュニケーション能力を持つ日本民族以外の人を不当に括って拒否する恐れは減るのではないだろうか。

 例外的な案件として風俗店の「外国人お断り」にも触れたが、勿論原則的には出身県・在住県で対応を変えると差別に該当する恐れが強いのと同様に、出自・国籍・民族性を理由に対応を変えれば、それは概ね差別に該当すると考えるべきだろうと自分は思う。

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