昨日、財務省の公文書改ざん問題に関する調査結果の報告があった。今朝のMXテレビ・モーニングCROSSでもトップでその件を扱っており、この日のコメンテーターだった政策コンサルタントの室伏謙一さんは、改ざんなど基本的に考えられないとした上で、
野党側も大臣の辞任を求める以前に、まだこれ、どうしてこうなったのかっていうところ分からないので、そこの追及をしなきゃいけないんですよ。何でね、どうもね、あの人達、首取り首取りって言って大臣に辞任を求めるの好きなんですよね。あそこ改めないと、もう国会会期末まで間もないですから、結局この事件有耶無耶のままに終わってしまうような気がしますね。
という見解を示していた。
室伏さんの見解を全く容認できないわけではない。確かにこれまで大臣の失言などがあった際に、現在の野党の中から、個人的には共産党の小池議員などがその傾向が強いと思うが、必要以上に辞職を求めることがちらほらあったように自分も感じる。ただ、今回の公文書改ざんに関する麻生氏の責任を追及、そして辞任の要求は、「不必要に辞任を求めているだけ」とは自分には思えない。
麻生氏はこれまでも昨日も「再発防止に努めることで責任を果たす」と言っているのだが、
- 昨年来佐川氏の虚偽の答弁を支持し、信じて疑わない姿勢を示してきた事
- 朝日新聞が報じるまで公文書改ざんが行われていることに気付けなかった事
- そして発覚後も「改ざんより重要なTPPをマスコミは一切報じない」等、フェイクニュースまがいの発言をするなど、事態の矮小化に積極的だとしか思えない態度を取り続けてきた事
- 更に彼が主導した調査の結果、「原因は分からない」なんて調査しか出来ないことを堂々と認めた事
などを考慮すれば、このような態度・姿勢の人物に再発防止の対策の音頭がとれるのか、と考えた時に、到底出来るとは思えないので辞任して欲しいと思うことは、そんなに整合性のない話だろうか。また、こんな状況でも麻生氏を罷免・更迭しない首相の判断も五十歩百歩だから、彼にも辞任・そして内閣総辞職して欲しい、と考えるのはそんなに合理性に欠けた話だろうか。
確かに、麻生氏や首相が辞職したとしても、改ざんや不正な値引きの真相が解明されるわけではない。しかし、現在の政権や与党の対応を考慮すれば、彼らが居座り続ける限り、真相の解明がされることもないようにも感じる。政権の積極支持者らがしばしば「いつまで野党はモリカケやってんだよ」と批判する。彼らの言う通り、野党側もいつまでもモリカケやってたくないので、一向に真相解明に近づかないのなら、麻生氏や首相が辞して責任をとることで一定の区切りを付けようとしているのではないだろうか。
首相は「うみを出し切る」と言っていたが、麻生氏や首相が整合性を欠いた説明を続けるならば、彼らこそが膿そのものである恐れが拭えないと言えそうだ。であるならば、再発防止の為にはまず膿の元凶が取り除かれることが必要なのではないか。膿の元凶が取り除かれれば、真相解明におのずと近づくことになるのではないだろうか。
再三確認するが、室伏氏の見解が全く見当違いとまでは思わない。しかし、真相解明の邪魔をしているのは一体何なのかについては、自分の考えとは明らかに異なる。そんな意味で今日彼が、野党の対応について言い放った「あの人達、首取り首取りって言って大臣に辞任を求めるの好きなんですよね。」という主張には強い違和感を感じた。