BuzzFeed Japanが「「左右両派!のバトルは終わりにして」万引き家族の是枝監督がブログで訴えたこと」という記事を掲載している。是枝裕和映画「万引き家族」がカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞したことをきっかけに、これまで現政権に対して批判的な主張をしてきた監督や、政府の対応などについて様々な憶測が飛び交って論争になっていること、国会でまでその話題が取り上げらるようなことになっていることなどに関して、是枝監督が、
このことを巡る左右両派!のバトルは終わりにして頂きたい。映画そのものについての賛否は是非継続して下さい。
とコメントしたことなどについての記事だ。
是枝監督は一連の騒動を「左右両派のバトル」と評した。ただ、全てが全て左右両派のバトルではないだろうし、是枝監督も全ての議論が左右両派のバトルになってしまっているとは思っていないだろう。しかし、そのような側面があることは確実に否めず、そのような視点での議論に自分の作品を持ち出さないで欲しいということなのだろう。自分はこの作品をまだ見ていないので作品自体を評価することも、それに伴う議論が政治的なニュアンスを帯びて行われいることが適切か否かも評価することが出来ない。
何かにつけて右か左かという論点に話をすり替えようとする人にしばしば出くわす。自分は自分を、右か左かと言えば左寄りなのかな?と思っているからかもしれないが、特に右よりの人が何かにつけて「左巻き」 とか「反日」とか言いたがる場面をよく見かける。勿論、何かにつけて「ネトウヨ」と一蹴しようとする左寄りの主張もそれなりには見かけるが、結局のところ彼らは右と左の何たるかすら理解できていないのではないだろうか。自分も以前は「ネトウヨ」という言葉をそれなりに使っていたが、そう揶揄したところで単なる罵り合いになるだけだろうと感じ、揶揄する意味では使わないように、今では心掛けている。
先日「LGBTは権利を主張しすぎ」とツイートしている人がいたので、反論するリプライをしたところ、何故か彼は最終的に「LGBTは左派政党と結びついている」とか「左派はLGBTを政治利用しようとし過ぎ」などと言いだした。確かに、セクハラ問題にしろLGBTの問題にしろ、与党よりも野党の方が積極性が高いと自分も思うし、勿論野党議員の中に真剣に問題に向き合うと言うよりも、人気取りの為にそのようなスタンスを取っているように見える人もいる。しかし、そんなのは与党も同様だ。今年のレインボープライドには与党の議員も参加していたようだし、その中には単なるスタンスにしか見えない人も含まれていた。
LGBT問題やセクハラ問題の本質を捉えられず、右か左かのような論調で片付けようとする人こそ、それらの問題を不必要に政治問題化して利用しようとしている人であると思う。自分の主張と対立する勢力を批判しているのに、自分が批判しているのと同じことをしている自分に気付かないその姿は滑稽でしかない。
似たような経験は他にもあり、結局のところ、右も左もそれを自称する極端な人というのは、自分の主張に反する主張に右、若しくは左とレッテルを貼りたがる人が多く、恐らく、よく考えるのが面倒で、もしくは考えることが出来ず、右とか左と批判すると何となくそれらしく感じられると認識しているから、それに終始しているんだと思う。結局、論点を右か左かにずらすことしかできないから
中身がほとんどない話にしかならない。そのように自分は感じている。
政治家が国会で論点ずらしばかりに終始しているのだから、国民の間でこのような風潮が生まれる、そして一定程度の広がりを見せるのも無理はない。ただ、無理はないで片付けられる問題でもない。まず、国会の議論の正常化が何より必要ではないだろうか。