昨日・7/14は恐ろしく暑かった。場所によっては38度上を記録したようだ。日差しは強く殆ど風もなく、というか多少風があっても大して状況は変わらなかったのかもしれない。扇風機を回していても、ただ熱く湿った思い空気をかき混ぜるだけで、涼しさは殆ど感じられなかった。滝のように流れる汗に風が当たれば何もしないよりもマシではあったが、焼け石に水とはまさにこの事程度でしかなかった。
この猛暑は西日本でも変わらなかったようで、先週の集中豪雨で多大な被害のあった地域では、この暑さの中で復旧作業をしなければならなかったのだろうから、さぞかし大変だっただろう。少し外を出歩くだけで結構な疲労感を感じるのに、1日中炎天下で作業するのはその比ではない。そんなことを考えていたら、2020年には、本当にこの時期にオリンピックを開催するのだろうか、とも心配になった。
ハフポストの記事「「校舎を80周走れ」30度超えの真夏日に顧問が指示。熱中症で生徒が搬送」は見出しが正確で、記事の要点はほぼそのままだ。補足情報を記事から抜粋すると、
- (ソフトテニス部の)男性顧問が7月12日午後4時ごろ、練習中にミスを繰り返した男子生徒に、罰として「校舎の周りを80周走れ」と指示
- 校舎は1周約230メートルで、80周走ると約18キロの距離
- 生徒は9周目の途中で倒れ、工事作業員に発見された際、意識がはっきりしない状態だった
- 過去にも、練習中にミスをした生徒に校舎を何周も走るよう指示しており、保護者からクレームが寄せられていた
というような内容だ。
自分も中高時代に真夏の炎天下で屋外を走ることを指示されたことはあったし、バスケットボールコート2面分ある内の半面をバドミントン部が使用しており、真夏なのに閉め切った状態(勿論エアコンはおろか、扇風機すらない)の、サウナのような体育館で部活の練習をするなんてこともしばしばあった。また、チーム内の練習試合や、何かしらの練習の際にチーム分けして競うような場合に、負けた方に腕立て伏せ○○回とか、練習後の体育館の掃除をするとか、ペナルティを課されることもあった。
自分が中学1年生の頃、秋の新人戦で他校に出向いた際に、1年生が分担して持参するはずのボール、三個入りのケースで5個分の内、担当になった3人が忘れてくるという事があった。顧問の先生は「たるんでいる」と激怒し、「1年生はいいと言われるまで校庭を走ってろ」と指示した。秋の新人戦の頃だから、季節的には確か9月末か10月初めだろう。3時間くらい走った頃、2年生の一人が伝令に来てようやくお許しが出た。自分たち1年生が走っている間、2年生は新人戦の試合をしていたのだが、後から2年生に聞いたところ、試合が終わって1時間強過ぎても先生が何も言わなかった為、心配になった2年生の一人が、先生に「まだ走らせておくんですか?」と聞いたそうだ。どうやら先生は走らせていたことを忘れていたらしい。自分たちが引退する時の打ち上げの会で、誰かが「あれはつらかった」と言うと、先生は忘れていたことを指摘された時「ヤバイ!」と思ったそうだ。そして「悪かった」とも言っていた。
その顧問の先生は基本的には部員に慕われており、当時は連帯責任は仕方ないと思っていたし、しかも試合前の練習に必要なボールを半分以上忘れてきたのだから、自分たちが走らされたのはある意味仕方ないと当時の1年生の多くは思っていただろうし、また運よくぶっ倒れるやつもいなかったので、大きな問題にはならなかったが、何か1つで間違いが起きていたら、この記事のように報道される程の大問題になっていたかもしれない。先生はそれを連想したから「ヤバイ!」と思ったんだろう。忘れていたことは褒められず、当時は「だったら先生もいいって言われるまで今から走ってきなよ」という冗談も言われていたが、先生がそれを「ヤバイ!」と感じるような人であったことは不幸中の幸いだったし、だから基本的には慕われていたんだろう。
練習試合など競争的な要素を取り入れた練習で、負けた方に何かしらのペナルティを課すことは、個人的にはペナルティの内容が行き過ぎていなければ特に問題はないと思う。しかし、ミスを犯したことに対して過剰なペナルティを課したところで、ミスをしない人間にはならないのではないだろうか。勿論、前述した自分たちのように、反省を促す側面はあるのかもしれないが、説教でも反省を促すことは出来る。懲罰的な側面が強い過剰なペナルティによってミスを断罪しようという姿勢は、パワハラ的な側面もあるだろう。要するに、ミスに対して必要以上にペナルティを課すことは、将来的にパワハラ行為に及ぶ予備軍を育てるかもしれないとも思える。
ミスにペナルティを与えるということは、例えば犯罪に対して刑罰が与えられるなど、ある程度は社会的に容認された行為かもしれない。しかし、部活でミスを犯してもそれは犯罪ではない。というか昨今では、犯罪者に刑罰を与えてもそれ自体には再犯を抑止したり、反省を促す効果は薄く、重要なのは再教育で刑罰ではないという方針の国や地域も既に存在しており、実際に再犯率が下がったなんて話もある。
気温30度以上の炎天下、18キロもの距離を走れと指示した教員には、18キロ走らせることがかならずしも当該生徒のミスを減らすことには繋がらない、寧ろ効果は薄い恐れの方が強い、嫌な思いをしたくないという動機を利用しようとすると、そのような指導を受けた人が将来的にパワハラ行為に及ぶ恐れもある。ということをよくよく認識してもらいたい。