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堂々と偏見を垂れ流す議員の存在


 新潮45(2018年8月号)に掲載された、自民党・杉田水脈・衆議院議員が書いた「「LGBT」支援の度が過ぎる」という見出しのコラムが話題になっている。見出しですら既に首を傾げたくなるような表現だが、内容も悪い意味で期待、というか懸念を裏切らない。特に批判を浴びているのは、
 子供を作らないLGBTカップルは『生産性』がないので税金を使って支援する必要はない
という部分だ。彼女は批判を受けて「そこだけを切り取らずに全文を読んだら批判は当たらないということが分かる」という旨のツイートをしていたが、現在は関連ツイートを含め削除されているようだ。彼女は批判を受ける度にこの手の反論をする。しかし、自分が確認する限り、批判されている文章を全部読んでも、彼女の主張は批判されても仕方がない内容であることが殆どだ。


 昨夜ツイッターのタイムラインを眺めていると、彼女が「LGBTには生産性がない」と主張したのは今回が初めてではなく、2015年にもチャンネル桜というメディアの「【日いづる国より】杉田水脈、LGBT支援論者の狙いは何?」という番組の中でも行っていた、というツイートが流れてきた。自分が最初に目にしたツイートで紹介されていたのは、杉田氏の発言を抜粋した動画だったが、




と、杉田氏同様に「切り取られた部分だけを見て批判するのはおかしい」とする旨のリプライが付いていたので、一応番組を確認してみた。しかし案の定、いつものように批判されて然るべき内容でしかなく「LGBTには生産性がない」以外にも、「同性婚の結婚は憲法で認められていない」だとか、LGBTはあたかも異常者かのような表現をしたり、かなり胸糞が悪くなる内容だった。彼女(や一緒に出演していた中山恭子氏・すぎやまこういち氏)の主張は巧妙で、よく考えない者にはまともな話に聞こえるかもしれないとも感じるが、ハッキリ言って彼女らが「多様性の尊重」の何たるかを理解しているとは到底思えないし、社会的弱者の何たるかを理解しているとは全く思えなかった。男女平等などに関する見解にもツッコミたいところはあるが、今回は前述のLGBTに対する偏見に基づく差別・中傷だけに話を絞る。

 切り取られた部分だけを見ずによく確認してから批判しろ、ということだったので、確認した上で、前述のツイートに対して自分は、


とリプライした。自分が「多様性を認めないことも、多様性の一つとして認めろ」と言っているように感じたのは、杉田氏や番組の出演者ら、そして彼女を擁護するようなツイートをしていた ずにあ (@JI0NZE) さんだ。

 別の人から以下のようなリプライが返ってきた。


確かに、杉田氏や出演者らが問題にしているのは、
  • 男女平等と多様性を同列に扱っている。
  • 少子化への税金投入を優先してはどうか。
  • 憲法で全ての国民には基本的人権が尊重されているのに、特定の人に対する特別な支援は、特権になってしまう。
という事かもしれない。「特定の人を支援するのは特権になってしまう」という話に関しては、LGBT支援に限った話ではなく、子育て支援だって被災者支援だって、というか年金だって特定の人への支援だし、特権になるからするべきではない、なんて話はかなり馬鹿げているとしか言えないが、今回はとりあえず棚上げすることにする。
 もしこの人の受け止めや、番組が問題にしていることがいくら正かったとしても、それを主張する上で偏見に基づく差別や中傷などが許されるはずはない。それは某大学のアメフト監督のように、どんなに実績があっても悪質な反則を促す行為は許されないし、選手へのパワハラ行為も許されないのと同じだ。というかそれ以前に、そもそも偏見に基づいた問題提起が正しい筈などない。まるこし☆まんた (@Marucoshi_Manta) さんは、単に話を逸らそうとしているに過ぎない。というか、杉田氏の主張の何が問題視され批判されているかを適切に認識できないから、このようなリプライをしてしまうのかもしれない。
 一応、このツイートへリプライするとすれば、自分が、杉田氏が多様性を認めないと感じる所は、「LGBTには生産性がない」、「同性婚の結婚は憲法で認められていない」だとか、LGBTはあたかも異常者かのような表現をしているところだが、その種のリプライをけん制する為に、一方的に他の部分が杉田氏の主張の趣旨で、LGBT云々は取るに足らない話であると言いたげに、都合の良い論点を指定しようとしているのだろう。

 杉田氏は、前述のように現在は削除されているようだが、「LGBTには生産性がない」という表現に対する批判を受けて、
  自民党に入って良かったなぁと思うこと。 「ネットで叩かれてるけど、大丈夫?」とか「間違ったこと言ってないんだから、胸張ってればいいよ」とか「杉田さんはそのままでいいからね」とか、大臣クラスの方を始め、先輩方が声をかけてくださること。 今回も他党の議員が私が雑誌に書いた記事を切り取り
 ネットに出したことで色々言われています。LGBTの理解促進を担当している先輩議員が「雑誌の記事を全部読んだら、きちんと理解しているし、党の立場も配慮して言葉も選んで書いている。言葉足らずで誤解される所はあるかもしれないけど問題ないから」と、仰ってくれました。自民党の懐の深さを感じます
などとツイートしていた。率直に言って、こんな議員を公認し、更にもし本当に杉田氏の言うように、大臣クラスの先輩議員らが苦言も呈さず「胸を張れ」なんて言っているのだとしたら、自民党は、暴言や嘘を国会答弁で堂々と主張する足立康史議員を未だに抱え、差別発言を繰り返す長谷川豊氏に公認を出していた日本維新の会と、どんぐりの背比べのような程度の低さだとしか言いようがない。もしくは、足立氏の暴言で一応謝る維新以下かもしれない。
 そんな政党が議席で大多数を占めるということは、日本人の多くは、消極的にかもしれないが、差別主義者なのかもしれない。そうでなかったとしても、国外から見たらそのように見えるかもしれない。もしそうでないなら、自民党は少なくとも杉田氏、そして杉田氏に「胸を張れ」と言った議員らを処分するべきだし、もし自民党がそのような対処をしないようなら、日本国民は当然のそのような状況を考慮した投票行動を行わなくてはならない。

 日本以外の国でも差別的な主張を掲げる政党・勢力が、一定程度議席を獲得することはしばしばある。民主主義の仕組み上、ある程度仕方のないことだが、そんな政党が与党であるということは、一体どんな意味を持つのか、その結果今後どのようなことが起きるのかを、もっと深刻に想像するべきだと自分は考える。

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