文部科学省の国際統括官・川端 和明氏が受託収賄罪で逮捕されたそうだ。7/22の投稿でも触れたように、つい先日も科学技術・学術政策局長の佐野 太氏が、東京医科大から私立大学研究ブランディング事業の対象大学選定での便宜を図るよう依頼され、その見返りに、入試で息子を不正合格させてもらった疑いで逮捕されている。短期間に相応の立場にある者がたて続けに逮捕されたことにメディア各社も注目しており、昨夜から今朝の番組では、出演者らが「文科省は解体レベルで出直さなければ改善しないのではないか」という見解を示している。このような主張はツイッター等でも多く見られる。
確かに昨年の天下り問題、加計学園認可に関する問題、3/16の投稿でも取り上げた、政治家の意向を受けて愛知県の中学校に圧力をかけた問題など、文科省は問題続きだ。それを勘案すれば、旧大蔵省同様に「文科省は解体レベルの改革が必要」という見解に至ることは理解出来る。しかし、個人的には「文科省だけ解体しても焼け石に水ではないか?」と思ってしまう。
前述のような理由で文科省の解体が必要なのであれば、2件も同じような日報隠蔽を行っていた、しかも1件目で批判を受けていたにもかかわらず、もう1件を隠蔽した防衛省も解体しないといけないだろうし、不適切な国有地払い下げ価格に関して、実務の責任者が国会で虚偽の答弁をやってのけ、しかもそれと整合性を図る為に公文書の改ざんに手を染めた財務省も再び解体しなければならない。年金データの杜撰な管理、裁量労働制の必要性の根拠としていたデータ、高プロをめぐるデータの捏造などに手を染めた厚労省も同様だ。少なくともこれらの省庁は文科省と団栗の背比べ状態だ。その他にも国交省や経産省などでも不祥事が報告されているし、文科省だけをやり玉に挙げたところで、行政全体に蔓延る不正横行体質が改善されるとは到底思えない。
個人的には、これほど行政機関の不祥事が続いているのに、なぜ行政の長の責任が軽んじられているのか不思議だ。確かに中央省庁内での不祥事が報告されるなんてのは、決して昨今始まったことではない。不祥事が発覚したのが昨年から今年にかけてであって、いくつかの不祥事に関しては現政権が成立する以前からその風土があっただろうし、全てが全て現在の行政の長・すなわち安倍首相の責任とは言えないかもしれない。しかし、現政権の成立以前からその風潮があったのだとしても、それを正すのは行政機関を統治統括する各大臣や総理大臣の職務の1つではないのか。そしてこれまでの政権が見逃してきたのが事実だとしても、それを同様に見逃していたのであれば、彼らもこれまでの政権と五十歩百歩、特に彼らが度々批判する前民主党政権と大差ないということにもなってしまうだろう。悪い方と比べて同様だとしても、彼らに非がないということにはならない。
また、現政権・行政の長の責任が軽いと感じられる理由は他にもある。防衛省の隠蔽、文科省の隠蔽未遂、財務省の改ざん、厚労省のデータねつ造など、現政権の方針に沿うような方向で不正が行われているのに、何故か彼らは「役人が勝手にやったこと」であるかのように説明する。というか個人的には全く不自然な言い訳をしているようにしか見えない。例えば、それらの内1件だけなら、たまたま政権の方針に合致した不正だったという話も理解できるかもしれないが、こんなにたて続けに起こるということは、推して知るべしだ。
政権支持率に関する世論調査で、支持する理由として「他の政権よりよさそうだから」という理由が上位にくるという話をしばしば耳にする。個人的には、前民主党政権と比べて現政権は確かに経済面だけは上かもしれないが、それ以外の面では下回るようにしか思えない。また、民主党政権は相当評価が低かったのだから、それよりよさそうなのはある意味当然だ。この投稿で書いた件に限らず、消費税・議員定数に関する方針・保育無償化に関して平然と公約を覆す姿勢、身内に兎に角甘い体質などを考えれば、決して「他の政権よりよさそう」なんて言えないのではないだろうか。
他の党と政権交代しなくても、せめて自民党内で他の政権に変わってほしいというのが個人的な願いだが、現状を見れば、今後もしばらくの間、この惨状を更に広げる政権が続くだろう、という絶望感しかない。よく考えた上で現政権を指示する人がいることは仕方がないが、よく考えもせずに「他の政権よりよさそうだから」なんて理由で現政権を指示するのであれば、それは緩やかな自殺にも等しい行為だと認識して欲しい。