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偉大な国の裸の大統領


「米国、そこまで偉大だったことない」とNY知事、トランプ氏が非難
CNNが8/16に報じた記事の見出しである。内容はほぼ見出しそのままで、ニューヨーク州知事のクオモ氏が15日に行った演説の中で、「米国が過去にそこまで偉大だったことはない」と述べたことに対して、トランプ大統領がツイッターで、

「私たちはアメリカを再び偉大にすることは出来ない、何故ならこれまでも大して偉大ではなかったから」(クオモ氏の発言)。これがアメリカで最も課税が厳しい州の知事の発言と信じられるか? アンドリュー クオモは完全に気が狂った!
と批判した。アメリカは尊敬するべき部分もあるが、例えば原爆の使用やベトナム戦争など軽蔑するべき部分も多く、個人的には決して偉大な国だとは思わない。しかし実際にアメリカが過去に偉大だったかどうかは別として、自画自賛的に偉大さを必要以上に強調する者には、日本人的な感覚の所為かもしれないが、ある種の胡散臭さを感じてしまう。勿論、誇るべき事を誇る事には何も問題はないのだが、前述したような原爆の使用やベトナム戦争などの過ちに触れることなく、若しくは度外視し、トランプ氏はプロパガンダ的に「アメリカは偉大だ」とか「再び偉大な国に」と言っているようにしか見えず、ニューヨーク知事の感覚の方がまともに思える。


 仮に、過去にアメリカが偉大な国だったことがある、という事が間違っていなかったとする。「Make America Great Again」というトランプ氏の選挙スローガンも肯定的に捉えることにする。しかしそう考えたとしても、自分の主張と意見が合わなかっただけで、その主張を行った者に対して「having a total meltdown!/ 完全に気が狂ってる、完全に終わってる」なんて、偉大な国の、若しくは国を再び偉大にしようと呼びかける指導者が言うべきだろうか。自分は、そんな指導者が国を偉大にすることなど出来ないと思うし、偉大にするどころか、国の代表なのだから、国全体の評価を下げかねない発言だとすら思う。
 要するに、トランプ氏自身がアメリカの評価を下げることに躍起になっているようにしか見えない。これも彼の言動に胡散臭さを感じてしまう理由だろう。

 トランプ氏の暴言はこれ以外にも枚挙に暇がないが、直近では、ロイターの記事「トランプ米大統領、暴露本出版の元側近と泥試合」などが伝えているように、今年の1月まで大統領補佐官を務めていたオマロサ マニゴールトさんが、トランプ氏の人種差別的発言を指摘し、暴露本を出版したことなどに対して、

頭がおかしく、騒がしくいかがわしい者に、ホワイトハウスで働く機会を与えてやったのは間違いだった。ケリー大統領補佐官があの犬を直ちに辞めさせたのは良い仕事だった
とツイートした。個人的にはマニゴールトさんの話を、現時点では真に受けるつもりはない。ただ、万が一彼女の主張が概ね事実と反していたとしても、それでも「犬」と呼ぶのは偉大な国の大統領のするべきこととは思えない。
 トランプ氏はこの件について他にも複数のツイートをしており、その中で彼女のことを「Wacky Omarosa/ 頭のいかれたオサマロ」「She was vicious, but not smart./ 性悪、頭が悪い」などとも中傷している。もしトランプ氏の主張が万が一適切な評価だったとすると、ではなぜそんな頭のいかれた性悪女を大統領補佐官として登用していたのか、という疑問も湧いてくる。国を偉大にする大統領がそんないい加減な人選をするだろうか。結局どう転がっても、彼の暴言は彼と彼が大統領を務めるアメリカ全体の評価を下げることに繋がるとしか思えない。

 マニゴールトさんもその経歴を見れば、トランプ氏と同様の暴言を厭わない態度でこれまでやってきた人のようだし、前述したように、個人的にはマニゴールトさんの話を現時点では真に受けるつもりはない。しかし、マニゴールトさんの話が全て正しくなかったとしても、一体これまで何人の関係者が政権を去っただろうか。このようなことの要因は、その度に中傷としか思えない暴言を吐く大統領自身が、人として基本的な問題を抱えているか、若しくは大統領の人を見る目が著しく低いかのどちらかではないだろうか。
 結局のところ、アメリカが過去に偉大だったかどうかにかかわらず、彼が大統領を務めている間はアメリカの評価が落ちることはあっても、偉大な国になることはないだろう。彼は2020年の2期目を賭けた大統領選に向けて、「Great Keep America/ アメリカを偉大に保とう」というスローガンを掲げるようだが、自分には、彼は裸の王様にしか見えない。トランプ氏のことを対岸の火事だと思っていると足元をすくわれるかもしれない。なぜなら、日本の副首相も彼と似たり寄ったりだからだ。

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