「ロシア極東の知事選、不正相次ぎ初の「無効」に 再選挙へ」AFPが伝えた、日本人にも馴染みのあるロシア極東の都市・ウラジオストクを首府とする沿海地方の知事選で、プーチン大統領が支持する候補者に有利になるような不正が発覚し、選挙委員会が知事選の結果を無効とする判断を下したという記事の見出しだ。記事によれば、選挙結果が無効とされたのはロシア現代史上初めてだそうだが、自分の記憶の限り日本でもそんな話を聞いた事はない(実際のところは、調べていないので定かではない)。恐らくこの記事を読んでも多くの日本人は「日本では起こり得ない話」とか、対岸の火事程度にしか感じないだろうし、事実この件は全然話題になっていない。しかし自分は、そんな風にこの件を捉えていたら足元をすくわれかねないと感じる。
投票が終わった後もまだまだ自民党総裁選への注目は高く、その影響で注目度が下がっているようにも思うが、現在沖縄は翁長知事の急逝に伴う県知事選の真っ只中である。9/13に告示され選挙戦が始まっており、9/30に投開票が行われることになっている。4人の候補が立候補しているが事実上、政府与党などが支持する佐喜眞 淳氏と、翁長知事の路線継承を表明している玉城 デニー氏による一騎打ちになると多くのメディアが報じている。佐喜眞氏は態度を明確化していないが、この知事選の争点は確実に普天間飛行場の辺野古移設を認めるか否かだ。普天間基地の早期除去についてはどの候補も違いはない。経済政策には一応差はあるようだが、それについても国からの支援を得る為に辺野古移設をどうするかという事が絡むし、結局辺野古移設に話は集約されていると言っても過言ではないだろう。
その沖縄県知事選について、沖縄タイムスが「誰に投票したか撮影して報告、とネットで話題に 沖縄知事選 弁護士有志が禁止要請」という記事を掲載している。
特定の候補に投票したことを明らかにするため、投票用紙に候補者名を記載した場面を撮影して報告を求める企業があるという指摘があることについて、沖縄弁護士会所属の弁護士有志の「投票の自由と秘密を守り公正な選挙を求める弁護士の会」が県選挙管理委員会に対し、県知事選の投票所での写真撮影や録音・録画などの禁止の告知を徹底するよう要請した、ということを伝える記事だ。
この手の話は都市部ではあまり聞かないが、「地方では今でも似たような話があるよ」という声をしばしば耳にする。平成以前のようにあからさまにカネがばら撒かれるなんてことは流石に殆どないようだが、沖縄タイムスが報じたような事案は今でも日本各地で行われている恐れが確実にある。要するに、ロシアの件は対岸の火事だなんて口が裂けても言えないということだ。
ロシアの選挙不正を対岸の火事とするのではなく、反面教師・人の振り見て我が振り直せ、にしなくてはならない。特に昨今、国会で多数を長期間占めている与党や政権関係者による、長期政権の弊害ともいうべき言動、場合によっては確実に不適切な行為が目立つし、しかもそのような行為があっても有耶無耶のまま終わるということが決して珍しくない。政府支持候補と反対派候補がぶつかりあう沖縄知事選だけでなく、今後予定されている選挙、特に来年・2019年夏に予定されている参院選などについても、同様に注意を払わなければならないと再確認させられる。