スキップしてメイン コンテンツに移動
 

裁量労働制と長時間労働


 三菱電機で2014-17年の間に、5件の労災認定事案が発生し、内2人は自殺、別の3人は脳梗塞、くも膜下出血、精神疾患を患っているそうだ。しかも自殺者1人を含むこの内の3人は、裁量労働制の労働者だったことが伝えられている(毎日新聞の記事)。この件は、今朝のMXテレビ・モーニングCROSSでも取り上げていた。それに対する視聴者ツイートの中に、
という主張があって驚いた。確かに、自殺や疾患が引き起こされた直接的な原因は長時間労働であることに違いはない。しかし、5件の内3人の労働者が裁量労働制で働いていたのだから、裁量労働制が長時間労働を悪化させた恐れは否めない。言い換えればその間に因果性は無くとも相関性がある恐れは充分にあると言えるだろう。


 Googleで検索してみたところ、 三菱電機の現在の従業員は2018年現在・13万8700人だそうだ。5/13万8700人と考えれば、過労自殺や労災はイレギュラーと考えられるかもしれない。前述の毎日新聞の記事によると全社員(正社員及び契約社員という意味だろうか)は3万人だそうで、3万人のうちの1/3程度が長時間労働だったとしても、長時間労働と過労自殺・労災との因果関係はおろか、相関関係すらないとも言えるかもしれない。しかしその考え方では、労災を被ったものは運が悪かった、とか、自殺した者や精神を患った者は心が弱かっただけ、体を患った者は体が弱かっただけ、と一蹴することにもなりかねない。自分の子どもや家族が長時間労働を強いられて身体を壊したり、精神を病んだりした時に、他に同じ条件で働いても、体や精神に異常をきたす者の方が少ない事を理由に個人の問題とされたとして、それを受け入れられる者が果たしてどれ程いるだろうか。

 自分は、裁量労働制は長時間労働と因果関係、因果は言い過ぎでも相関性もないと言いたげな、「裁量労働制が問題ではない」という発想は、そのような発想と似たような感覚に因るものだと考える。裁量労働制を労使共に上手く活用する・出来る事例も、確かにあるだろうし、裁量労働制下でなくとも長時間労働を強いられることはしばしばあり、長時間労働の原因の大半を裁量労働制が占めるとは言えないのは間違いない。しかしそれは、現状裁量労働制の適用はかなり限定された条件でしかできない為、そもそもデータ上の裁量労働制労働者自体が決して多くないからだとも言えそうだ。
 毎日新聞の記事によれば、三菱電機に裁量労働制で働く労働者は全労働者3万人のおよそ1/3・約1万人いたそうだ(この件で三菱電機は裁量労働の全廃を決めた)。また、この記事で紹介されている労災・過労自殺は長時間労働によるものと認定されているようだから、労災・過労自殺に至った者の割合が、裁量労働制の労働者1万人の内3人、非裁量労働制の労働者2万人の内の2人という事は、裁量労働制という働き方に何かしらの問題性があるかもしれない、裁量労働制は長時間労働を悪化させる恐れがあると推測するべきではないだろうか。

 また、昨日のTBSニュースで労災認定された者の家族がインタビューに答えていたが、裁量労働だからと、自殺や疾患に至っても労災認定されないケースがあったり、そもそも被害を訴えないケースも多いと指摘しており、裁量労働制にはまだまだ問題が多いと言わざるを得ないことを再確認させられた。もし、労働者側が裁量労働制を希望するのなら、個人事業主となり企業と個別に契約を結ぶという形でも同じような状況を作ることは可能だし(勿論、裁量労働制よりも企業から受けられる保障は減るなどの短所もある)、人が死に至るような状況を悪化させかねない懸念のある裁量労働制を、充分な対策なしに導入する必要があるとは思えない。

 裁量労働制が長時間労働を悪化させる恐れがあるのだから、間違っても「裁量労働制が問題ではない」なんて言えない。それは確実に詭弁である。

このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

「幼稚園児以下だ」は暴言か

障害者雇用、職場でパワハラ「幼稚園児以下」と暴言も TBSニュースが11/6に報じた記事の見出しである。障害者雇用枠で採用された知的障害のある男性が、指導役の女性から暴言を受けたとして、会社と女性に対して賠償を求める訴訟を起こした件で、11/6に和解が成立したという記事の見出しだ。記事には  女性が「幼稚園児以下だ」という表現を暴言と認めた、会社も責任を認め、“今後は知的障害者の特性を理解し、これを踏まえた職場環境を用意すること”を約束した とある。 男性は「私みたいな障害者にも働きやすい環境にしてほしいというのが私の願いです」とコメントしており、恐らくパワハラに相当する行為が実際にあったのだろう。また男性の、  『幼稚園児以下』もそうですし、『バカじゃん』とか、『いつまでたったら仕事を覚えるんだ』とか言われた  とりあえず耐えて、我慢し続けて働いていたので などのコメントも紹介されており、記者は“幼稚園児以下”“バカでもできる”という表現を添えており、それらが暴言に当たるということを示唆しているように見える。

李下に冠を正さず

 安倍首相は加計学園問題についての野党らの追及を受けて、「 私の知り合いだから頼むといったことは一度もない 」と便宜を図ったのではないかという疑惑を否定した。森友学園問題にしろ、加計学園の件にしろ首相・政府与党は一貫して便宜を図った事実はないとしている。一方で、森友学園問題では籠池氏が「 神風が吹いた 」、加計学園問題では前川氏が首相補佐官から「 総理は自分の口から言えないから、私が代わって言う 」と言われたと、共に首相・政府若しくは行政などによる影響力が働いたことを示唆する発言をしている。  首相や政府は自分達が圧力を直接行使し便宜を図ったことも、官僚が自発的に首相らの意向に配慮して結果的に便宜を図った事実もないというスタンスを貫いているが、1件だけならともかく、2件も似たような疑惑が噴出し、しかも加計学園の件については官房長官などは単なるほら吹き扱いをしているが、辞めた経緯はどうであろうと文科省の事務次官だった人物が政府見解と異なる主張をしているのだから、単なるほら吹き扱いで片付けられるような程度の話ではなく、否定するにしたってそれ相応の説得力のある説明が必要であろう。国会への招致や再調査に消極的なようでは問題が終息しないのも当然だ。森友問題にしたって他の問題が次から次へと出てきているので有耶無耶になっているが、実際は話の途中で頓挫しているに過ぎない。

68%終われば100%終わったことにしてしまおう

  言葉遊び とは、早口言葉や尻取り、回文、しゃれ、韻踏みなど、主に言葉の音に注目して行うゲームや遊戯、音の重なり等を重視した表現を指す表現である( 言葉遊びとは - コトバンク )。いろは歌やドレミの歌などもその類だ。