昨日・10/1の朝、週末に日本列島を縦断した台風の影響がまだ残っており、首都圏の公共交通機関や道路事情はかなり混乱していた。自分はこれを見越して週末前から昨日は午前半休を設定していたので、自宅でニュースなどでそれを見ていた。倒木や架線の不具合などによって鉄道は案の定平常運行出来ておらず、多くの駅で入場規制が起きてると伝えられていた。ツイッターのタイムラインにもその混乱を伝えるツイートが流れてきていたし、駅構内が人で溢れんばかりで身動きが取れないような状態、その所為でいざこざが発生していたところもあったようで、個人的には、「これまでの災害経験を振り返れば予想できたであろう状況なのに、わざわざなんでそんなとこに突っ込んでいくのか理解に苦しむ」と感じていた。
9/4に台風21号が関西を直撃し大きな影響・被害が出たが、その際にJR西日本、関西私鉄各社はあらかじめ、昼以降当該地域のほぼ全ての路線を運休することを宣言し、それによって不要不急の外出を控える事が促されることになり、人的被害の軽減に繋がったと評価された。調べてみると、この事前に計画運休を宣言する方針は、2014年頃からJR西日本がとっているようで、今回効果の大きさが実感できる規模の被害が関西で出たことによって、やっと高評価につながったという事のようだ。被害が大きかったから効果を実感するというのは皮肉だが、それでも、やっとではあるがまともな評価に至ったのは好意的に受け止めるべきかもしれない。ただ個人的には前段でも示したように、日本人の多くが自ら積極的に不要不急の外出を控えられないという事がそもそもおかしいと思うし、視点を変えれば、そのような感覚はブラック企業・労働が存在しえる環境を、経営者だけでなく多くの労働者が自ら作り上げていることの証拠のようにも感じる。
台風21号への対応・関西の鉄道計画運休が高評価だった事も踏まえたのだろう、先週末(9/29-10/1)に日本列島を縦断した台風24号の影響を最小限にする為に、関東でも10/1 20:00以降の計画運休が事前に宣言され、10/1の、特に台風の最接近が予想される時間帯の不要不急の外出は大きく抑制されていたように思う。ただ、このような対応がなされたのには、10/1が日曜日だったことも関係しているように思う。そう感じられたのは、冒頭で触れたように、翌10/2朝の交通網が大きく混乱していたにも関わらず、職場や学校を目指す人があまりにも多かったからだ。自分のツイッターのタイムラインには「JRが10/2の朝も平常運行できるか分かりません、ともっと強く言っておくべきだった」という見解が幾つか流れてきた。しかし個人的には、そんなのは、前述のように、これまでの災害経験を振り返れば予想できたであろう状況だと思う。確かに交通機関が運休を宣言していれば大きな混乱はなかったかもしれない。しかし一方で交通機関は早期の復旧を目指すべきだし、自分は、各個人ががむしゃらに目的地を目指すという盲目的な行動をとることで、混乱を余計に広げていると思うので、交通機関に混乱の責任を転嫁してはならないと考える。
以前にも、2度このブログで書いている東日本大震災の時の話をもう一度書く。
あの地震が起きたのは金曜日の午後で、地震後電車は動かなくなり、道路も混乱して多くの帰宅困難者が出た。直後の週末は関東でも電力不足や安全確保が出来ていないなどの理由で電車が動かず、製油所・流通網の被害などでガソリンも売切れになり、自動車やバイクでの移動にも不安があった。週明けの月曜は動き出した電車もあったが、完全復旧には程遠い状態でかなり混乱しており、自分が、当時の勤務先の上司に「職場に行けない」と伝えると、その上司は、職場が契約していたガソリンスタンドがガソリンを確保してくれていた為、自分が社用車で通勤できることを前提に「どうにかしておまえも来い」と言ってきた。東日本大震災以降も大きな災害は幾つも起きているし、災害とまでは言えなくとも、関東では豪雨・大雪の影響でで交通網が混乱する事態がそれこそ何度も起きている。その度に自分は思う。半日潰して大混乱の中を移動しようとすることに何の意味があるのか?と。行くことが目的化しているのではないか?と。疑問形で書いたが「重要な仕事があるから職場を目指すのではなく、行くこと自体が目的化している」ようにしか自分には思えない。
自宅から勤務先への電車はまだ動いていなかったし、自分の車もバイクもガソリンの残量がほぼなく、いつガソリンの供給が安定するのかも不透明で無駄に使いたくなかったので、結局自分はそれを無視し職場には行かなかった。後で「職場に行ったところで何もできなかったし、することもなかった」と、当時会社の近所に住んでいて出社できた同僚に聞いた。
案の上、地震から3日が経った週明けのその月曜も、流石に地震当日の金曜程多くは無かったが、不完全な交通状況下で無理矢理通勤した人たちの一部が、また帰宅困難となり関係各所が対応に追われる事態になったことが報道されていた。
どんな状況でも出来るだけいつも通りに仕事をこなそうとする姿勢は、決して非難するべき姿勢ではないが、半日潰して移動しなくてはならないのならば、そもそも「いつも通り」ではない。前述の感覚は絶対的に非難するべきものではないが、バランスを欠けば非難するべき側面が確実に現れる。東日本大震災当時の自分の上司がそのいい(悪い)例だ。このような感覚が改善されない限り、日本の労働環境からブラックな側面がなくなることはないように思う。要するに労働環境が改善しない主たる要因は経営者にあるだろうが、労働者各個人にもその責任がないとは言えない。