読売新聞の記事「来年GWは10連休、皇太子さま即位の日が祝日」によると、安倍首相は、新天皇として現皇太子が即位する予定の2019年5/1と、即位礼正殿の儀という儀式を行う予定の2019年10/22を祝日にしたい考えを示し、秋の臨時国会に法案を提出するとしたそうだ。この祝日は恒久的な祝日とはせず、来年限りの祝日とする考えのようだ。また、5/1に関しては、前後がGW中の別の祝日に挟まれる平日になる為、実質的には3日間の休日を作り出すことになり、これによって来年・2019年のGWを10連休にするという目論見でもあるようだ。GWのカレンダーについては、東京新聞の記事「立皇嗣の礼 20年4月19日 来年5月1日祝日、10連休」が分かりやすく掲載している。
両新聞とも、既に来年・2019年の5/1が祝日になる事、GWが10連休になる事は決定済みかのような見出しの付け方をしており、個人的にはやや違和感を覚える。影響力のある大手メディアが言葉足らずの見出しでニュースを報じれば、「既に決定した事項」というような間違った認識を世に広めかねないからだ。この記事で言えばそれほど悪影響はないかもしれないが、他のことでもこのような言葉足らずの見出しはしばしば見受けられる。
この2019年5/1、10/22祝日化の意向発表を受けて、既にカレンダーや手帳等を販売する企業や関係者から不快感が示されているようだ。理由は既に来年のカレンダーや手帳は印刷済み、印刷済みどころか既に販売が始まっているからだ。もし日本人がもっと大雑把な国民性であれば、このような不満は出ないのだろうが、実際に祝日がこのタイミングで決まれば、一部の完璧を求めすぎる神経質な人達が「カレンダーが間違っている」とクレームを付けることを想定し、業者はシールを配布するなどの対応策を取るだろう。当然その分の経費が余計に掛かることになるし、勿論その分の費用は業者が自腹を切ることになるだろう。
毎日新聞の記事「退位19年4月30日 政府8日に閣議決定」によれば、2019年4月末の退位/即位のスケージュールは、2017年12/1にほぼ決まっていたのだから、それらの日の祝日化も同時に検討できたはずなのに、何故首相や政府は、昨年中ではなくこんな時期に急に、来年の5/1、10/22を祝日になどと言いだしたのだろうか。自分はこれまで祝日が確実に休日になる業種や環境で働いた経験はほぼなく、GWが10連休になる政策を打ち出されたところで「だから何?」程度の受け止めでしかないが、学生や祝日が確実に休日になる好ましい環境で働いている労働者にしてみれば「やったー!」と思えることだろう。要するに、首相は人気取りの為、そして自分の主な支持者である保守層に対して、天皇を強く敬う姿勢をアピールする為に、このような政策を打ち出したのだろうと考える。しかし自分には、このタイミングで発表したという事は単なる思い付き、行き当たりばったりな考えの表明のようにも思えるし、もし以前から祝日化を検討していたのだとしても、わざとそれを表面化させずに、支持率や好感度を保つためのベストなタイミングでの発表を優先し、結果として影響を受ける業者等への配慮を欠くことになったようにも思える。前者ならば考えたらず、後者で言えば自分本位でしかも考えたらずな政策の表明であるだろう。
行き当たりばったりと言えば、来年・2019年10月に消費税率が10%に引き上げられるのに際して導入が検討されている軽減税率について、コンビニに関する財務省の検討案もかなり行き当たりばったり感が強い。毎日新聞「コンビニ食品に「店内飲食禁止」条件 財務省」によると、店内で飲食しないなら軽減税率適用、店内に飲食スペースを設けると所謂外食に当たる為軽減是率適用外という方向性のようだが、自分には、コンビニを殆ど利用しない人達が実態も把握せずに机上で方針を検討しているとしか思えない。例えば店内で飲食しなくとも、店が店頭に設置した休憩用のベンチで食べる場合は実質的に店内のイートインスペースと変わらないし、店内のイートインスペースで食べるのと、来店時に乗ってきた自動車を店舗の駐車場に止めて食べるのとで一体何がどれほど違うというのだろうか。確かにどこかで線を引かなくてはならないことは分かるが、線の引き方が下手糞過ぎれば不満が出るのは当然だろう。
政策を決めることに関しても、一つ一つ決めていかなければ次の問題点が見えてこないというのも事実だろうが、流石に見通しが甘すぎるのではないか。オリンピックの予算に関しても、招致の際に声高に叫んでいたコンパクト五輪なんて、とうの昔に誰も言わなくなる程予算が膨らみ、3倍以上になる見込みであるという報道もある。政治とは一体誰の為に行われるものなのか、行政全体に今一度見つめ直して貰いたい。