スキップしてメイン コンテンツに移動
 

テレビで放送される街頭インタビューの特性・特徴


 昨夜・10/20放送のテレビ朝日・池上彰のニュースそうだったのか!! は「世界地図で見ていくと日本の問題がもっとよく見えてくる!」をテーマに、様々なテーマで世界各国の状況・データと日本のそれを比較し、日本の現状を知ろうというような企画だった。日本と他国の比較という趣向の番組は多く、古くは1998年から2002年に放送されたTBS・ここがヘンだよ日本人などでもその手の企画があった。自分の記憶にないだけで、他にもそれ以前から存在していたかもしれない。近年では2011年から2016年まで放送された日本テレビのネプ&イモトの世界番付はその手の企画を柱に据えた番組だったし、現在放送中のTBS・世界くらべてみたらも、ほぼ世界番付と同じ路線の番組だ。
 この手の番組が扱う話の中には、明らかな間違いとは言えないまでも、誤った認識を誘発しかねない、必要以上に誇張された情報が紛れていたり、ディレクターや出演している外国人等のあくまでも個人的な見解が、あたかも取り上げた国全体のスタンダードであるかのように扱われているように見える事もある。勿論それ以上に日本で生活していると知り得ない各国の状況を紹介してくれるので、前述のような側面もあることを認識した上で視聴するという条件を付けたいが、基本的には見る価値のある番組だと自分は思う。


 昨日の池上彰のニュースそうだったのか!!では「日本食レストランが今海外で大流行中…!」という話も取り上げていた。「日本発祥の」とか「日本の伝統的な」のようなニュアンスがある和食ではなく、日本式の中華麺料理・ラーメンや、発祥は確実に中国だが調理法が日本式である餃子なども含まれる「日本食」が世界的に人気を博しているという話は確かだし、和食から現代的な日本食まで、日本式の料理を提供する店は世界的に増えているようだし、番組で取り上げていた話に目新しさは少なかったものの、日本の食材・加工食品などが意外な国へ輸出されている、輸出が昨今増えたというような事も取り上げており、それなりに興味深く見ていた。
 しかし一つだけ違和感を感じた点がある。それは日本食が世界中で注目を浴びている、人気が高まっているという事を強調する為に行ったと思われる、外国人を対象にした「自国料理と日本食のどちらが好き?」というインタビューを、日本にいる外国人に対してのみ行っていた点だ。日本に来ている外国人たちは、観光目的にせよ別の目的にせよ、少なからず日本に興味・好意のある人達だ。日本に来ている外国人、しかも観光目的で来日し日本食を意識的に食べたばかりの、もしくはこれから食べようとする外国人にそんな問いを投げかければ「日本食が好き」と答えるのは当然の事かもしれない。勿論中にはそれでも自国の料理が好きと言う者もいるだろう。しかし番組では、イタリアやフランス等の自国の料理に相応のプライドがあるであろう国の人については、「イタリアでも週に2回は日本食は食べる」などのコメントを強調して取り上げていた。恐らく彼らは「自国の料理が好き、ただ、」というような前提でコメントしたのだろうが、「日本食も好き、若しくは一目置いている」という点が強調されている編集に見えた。

 同番組は厳密に言えば情報バラエティである。しかし扱うテーマについては報道的な内容も多く、またMCを務める池上彰さんのイメージもあるのだろうが、個人的には、時事ニュースに詳しくない人、言い方が良いか悪いかは分からないが初心者向け・入門者向けの「報道」バラエティだと思っている。冒頭で挙げた純粋に外国・外国人をテーマにした所謂外国バラエティであれば、前段で指摘したようなバラエティ的な趣向の強い、誇張があると言えそうなインタビューが取り上げられたとしても、当然違和感を感じる事は感じるだろうが、あくまでバラエティ番組としてある程度は許容できたかもしれない。ただ、池上彰のニュースそうだったのか!!は、そのタイトルでもニュースを掲げており、もっとまともなインタビュー・調査をしないと、番組のその性質上問題があるようにも感じられた。

 同じような傾向は、夕方6時台、というか最近は4時-5時頃から各局で放送されている、ニュース番組とワイドショーの中間に位置付けられるような報道系番組でも見られる。それらの番組は昼のニュースや、概ね23時台に放送されるニュース番組に比べれば情報番組的な側面が強く、扱うテーマ・情報の中には外国人バラエティ・報道バラエティ番組と似たようなものも少なくない。しかしそれらの番組はあくまでも報道番組という体裁で放送されているように自分には見える。
 勿論、報道番組だから真剣に、バラエティだからある程度いい加減でもOKという話ではないが、報道を柱に据える番組は、見る側も報道番組という認識で見るだろうから、信憑性に疑いがあるような手法のインタビューやアンケート等は出来る限り控えて欲しい。また、見る側も、報道番組の街頭インタビューだからそれは社会の傾向が反映されていると認識するのではなく、特定の場所での少ないサンプルだけに対して行われた街頭インタビューであること、どうやっても編集した者の意向が少なからず反映されていることを理解した上で見なくてはいけないと、認識して欲しい。バラエティ系の番組で行われる街頭インタビューなどは尚更その傾向が出やすい事も認識しておく必要がある。要するに、街頭インタビューは街頭インタビューであって、それ以下でもそれ以上でもない。厳格な調査とは言えず、必ずしも社会の傾向を反映しているとは言えない。しかしその一方で、街頭インタビューに寄せられる声が社会の中にあるという事も事実ではある。

このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

フランス人権宣言から230年、未だに続く搾取

 これは「 Karikatur Das Verhältnis Arbeiter Unternehmer 」、1896年ドイツの、 資本家が労働者を搾取する様子を描いた風刺画 である。労働者から搾り取った金を貯める容器には、Sammel becken des Kapitalismus / 資本主義の収集用盆 と書かれている。1700年代後半に英国で産業革命が起こり、それ以降労働者は低賃金/長時間労働を強いられることになる。1890年代は8時間労働制を求める動きが欧米で活発だった頃だ。因みに日本で初めて8時間労働制が導入されたのは1919年のことである( 八時間労働制 - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになる

 攻殻機動隊、特に押井 守監督の映画2本が好きで、これまでにも何度かこのブログでは台詞などを引用したり紹介したりしている( 攻殻機動隊 - 独見と偏談 )。今日触れるのはトップ画像の通り、「 戦闘単位としてどんなに優秀でも同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も特殊化の果てにあるものは緩やかな死 」という台詞だ。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。