渋谷・新宿・六本木・銀座等、都心の繁華街のコインパーキングの料金は、郊外のそれに比べて恐ろしく高い。自分は都心から車で約1時間程度の場所に住んでいるが、その周辺と比べても高いし、たまに他の地方へ出かけると更に安い場所も多く、都心の馬鹿げた料金(地価も高いだろうから法外に高いとは言えない場合もあるかもしれないが)を改めて実感させられる。
ただ、都心の繁華街周辺には、昭和初期から区画整理が進んでいない場所もあり、一方通行の狭い路地が入り組んでいたり、Google Mapなどでは通り抜けられるように見えるのに数段の階段があって通り抜けられなかったり、地域住民や仕事先がある者以外が車で近寄りがたい場所も多い。そんな影響なのか、幹線道路から少し入るとお得な価格設定がされているコインパーキングが見つかることもある。ただ、1日(8時から翌8時等)最大○○円、24時間最大○○円、夜間(20時から翌8時等)最大○○円など、価格の設定・最大料金の条件設定はまちまちで、分かり難い条件設定も多く、駐車する前に確認することが重要だ。
コインパーキングの利用料金に関するトラブルは昨今しばしばメディアでも取り上げられる。BuzzFeed Japanは、国民生活センターが11/22にコインパーキング利用に関する報道資料を発表したことを受けて「「高額な料金を請求された」コインパーキングの相談件数増加、国民生活センターが注意喚起」という記事を掲載した。記事の準見出し
「年末年始の特別料金が適用されることが入庫時にわからなかった」などの相談も寄せられているという。から判断すると、通常料金でも分かり難い条件があることもあるが、年末年始の特別料金設定に関する掲示物が小さく目立たない場合もあり、更に錯誤が生まれやすくなる恐れがあることへの注意喚起の為の発表・記事なのだろう。
記事でもやはり、駐車する前に料金設定をよく確認することが重要だと指摘しているが、しかし都心部に多い一方通行の狭い路地のコインパーキングなどでは、見え難い位置に料金看板があったり、車内から看板の小さい文字を読む為に道路を塞いでいる間に後ろから通行車両が来ることがあったりで、細かい条件を見落としてしまう事もままある。ただそれでも概ね最低料金は数百円からなので、駐車後に料金設定をしっかり確認すれば、思わぬ高額な駐車料金を請求される事はない。
自分が過去に見つけた分かり難い料金設定のケースを2つ紹介したい。まず1つめは渋谷周辺で見たパーキングだ。
このパーキングは約20台分の車室があり、「500円/20分 夜間(20-翌8時)最大2000円」と大きく書いてあったが、その下に小さく最大料金は〇番から〇番のみと注釈があり、夜間最大料金が適用されるのは図で黄色く示した奥の車室4台分だけだ。全ての車室に最大料金設定があると勘違いして手前の車室に停めると、12時間で最大1万8000円もの料金がかかる。
この駐車場は狭く、奥の車室に停める際に前進でクルマを進め、それなりに他の駐車車両があると奥で切り返す事が難しく頭からしか駐車出来ない。 つまり出庫時に駐車場奥からバックで出てこなければならず、奥の4台分はかなり不便だ。入庫時に道路からバックで入って駐車するという方法もあるが、奥の状況は道路から見え難く、それは一度利用した事がある者しか考え付かないだろう。そんな事を勘案すれば、奥の4つの車室は使い勝手が悪く敬遠されがちなので、その4台分だけに最大料金を設定してあるということなのだろうが、それにしても最大条件に関する注釈が小さく目立たないのは、錯誤を誘発しようとしているようにしか見えなかった。
尚、この駐車場は現在は料金設定を変更しており、奥の4つの車室以外にも夜間最大料金が設定され、2つの最大料金が同じ大きさで掲示されているので、錯誤を誘発する恐れは低くなっている。
前段で紹介したコインパーキングは、駐車後に料金看板を確認すれば高額な料金を思わず請求される事態を避ける事ができるだろうが、料金看板を見ても気が付けないような錯誤の誘発方法もある。
この図は以前に六本木周辺にあったコインパーキングだ。恐らく古い民家か商店を取り壊した場所に出来たであろう5台分の小さなコインパーキングで、狭い一方通行の途中にある。このコインパーキングはどう見ても1つの敷地にある5台分のパーキングにしか見えないが、よく見ると向かって左3台と右2台が別のコインパーキングになっている。左3台には24時間最大料金設定があり、右2台にはない。しかし、どう見ても同じ敷地の5台のパーキングに見えるし、一方通行を進んでくるとまず最大料金のある料金看板2が目に入る為、5台全てに最大料金設定があると思ってしまう。入庫後にしっかりと周りを確認すれば、車室が3台/2台に分けて線引きされているし、2台分の車室の後ろには最大料金のない料金看板が設置されている為、気付くことは可能なのだが、前述のような状況だと多くの人は料金看板2を見た時点で「料金は確認済み」と認識してしまうだろう。実際に自分の知り合いが2人ほどここで引っかかっている。
どう見ても同じ敷地だがこの2つのパーキングの運営会社は別で、土地の相続か何かの関係上このような方式になっているのかもしれないが、利用する側から見れば錯誤を誘発させようとしているようにしか見えない。因みにこのパーキングは既になくなっている。ただ自分はここ以外にもこの方式のパーキングをいくつか見かけたことがある。コインパーキングを利用する可能性のある人は、料金看板だけを確認して安心してはいけないことをを知っておくべきだ。
料金看板だけで安心してはいけないことは事実だが、料金看板以外のパーキング周辺を入庫後に確認すれば錯誤の誘発を狙っていそうな状況には気が付けるはずだ。Google Mapのストリートビューなどを用いて、事前にコインパーキングの料金看板・周辺を確認することなども割と有効な対策だろう。ただ、BuzzFeed Japanの記事でも「スマホアプリ上の料金表記と異なった料金請求があった」という例を紹介しているように、Google Mapの情報はリアルタイム更新されている訳ではないし、他のナビアプリの情報なども同様だ。だから最終的には現地で停める前にまず確認し、停める前に充分に確認できなくても、入庫後にしっかりと料金看板を中心に周辺をよく確認することが、やはり最も重要で、且つ思いがけない高額料金をされない為に最も有効な対策だろう。