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合理性に欠ける「立憲・枝野氏」批判


 今朝、ツイッターのおすすめトレンドワードに「立憲・枝野氏」が挙げられていた。おすすめトレンドワードは、フォローしている人やフォロワーなどの傾向によって、人それぞれ表示されるものが変わるので、表示されていた人もいなかった人もいるだろう。ただ自分のアカウントでは、今日朝の時点のおすすめトレンドワードの上から4番目ぐらいに表示されていた。
 「何かやらかしたのか?」と思ってしまったのは、与野党問わず政治に不信感を感じているからかもしれない。そんな風に思いつつとりあえずクリックしてみた。「立憲・枝野氏」がトレンドワードに挙げられていた主な理由は、朝日新聞の記事「レーダー照射問題「我が方に理がある」 立憲・枝野氏」、厳密に言えば、その記事を転載したYahooニュースの記事だった。


 記事は枝野氏の発言録だ。昨日・1/19に枝野氏は会合出席や街頭演説等の目的で鹿児島にいたそうで(福井新聞の記事)、前述の朝日新聞の記事によると、枝野氏は記者会見なのか会合でなのかは不明だが、
 (海上自衛隊の哨戒機に韓国海軍の駆逐艦が火器管制レーダーを照射したとされる問題について)これは政治問題化をせず、実務的に粛々と事実関係を明らかにしていけば、いま我々が承知している範囲では、明らかに我が方に理があると思っている。できるだけ粛々とやっていく方が、国際社会の理解も得ながら、あるべき結論に近づいていくのではないか。
と述べたそうだ。 この記事を引用したツイートが多かった為に、「立憲・枝野氏」がトレンドワードに挙げられていたようだ。

 自分が当該トレンドワードのタイムラインを開いた時点では、枝野氏に対して批判的なツイートがずらっと並んでいた。例えば、

このツイートのように。例えばと言うか、百田氏のツイートに感化されたのか、彼とは無関係なのかは分からないが、ほぼ同じ様な内容の、彼を批判・非難するツイートのオンパレード・大合唱状態だった。彼らの多くは、これまでは「立憲民主はレーダー照射問題について一切言及しない」などと批判していた。中には「韓国側を批判しないということは韓国の手先」みたいな事を言っている人までいた。にもかかわらず、枝野氏がレーダー照射問題について言及し「現状では日本側の主張に整合性があると思える」と述べたことによってその手の批判が出来なくなると今度は、「言及するのが遅い」と言い出したというのが現在の状況だ。
 彼らの内の決して少なくない人たちは、野党やその支持者、というか自民・政権非支持者らが、自民党や政権を批判すると「安倍憎しというだけで批判に終始している」などと揶揄する傾向にある。中には安倍ノセイダーというネットスラングを用いて嘲笑する場合もある。彼らが自民・政権批判を安倍ノセイダーだと言うのであれば、彼らのこの一連の立憲・枝野批判も、枝野セイダーだという事になりそうだが、彼らは一体どのように考えているのだろうか。

 しかしよくよく考えて見ると、自分も数日前にハフポスト/朝日新聞が掲載した記事「「子連れ出勤」政府後押しへ モデル事業の補助率アップ」に対して、こうコメントしている。
 こういう話は素直に歓迎するべきなんだろうが、熊本議会の件から1年以上経っている事を勘案すると、相変わらず対応の遅い政府。他の事で批判が広がっているので人気取りの為のカードを切った感。
単純に考えれば、自分も枝野セイダーと大差ない論拠で、対象は違えど同じ様な事言っているように見えるだろうな、と思う。このような見解を見て彼らは安倍ノセイダーと揶揄するのだろう。ただ自分は、そう考えられる相応の根拠があってこのコメントを書いた。
 まず、熊本議会の件の後、海外で政治家の子らが公の会見の場などで無邪気な姿を見せても、批判されるどころか微笑ましい事として報じられた件がいくつかあったが、それらもそう思えた理由の一つだ。最近も「カリフォルニア州知事の就任演説、2歳の息子が壇上に乱入 自由すぎる振る舞いで主役の座をかっさらう」(ハフポスト)という件が報じられている。
 また、直前に厚労省の毎月の勤労統計で重大な不正が発覚し、大きな注目を浴びているのもそう思えた主な理由である。勤労統計不正は政府の掲げている「働き方改革」にとってかなり不都合な事件だ。子連れ出勤推進という話は、「働き方改革」に関するポジティブな要素と言えそうで、なぜ熊本の件から1年以上も経たこのタイミングで急にこんな話が持ち上がったのかと考えると、勤労統計不正によって「働き方改革」が羊頭狗肉だと言われかねない事態なので、そのダメージを少しでも緩和しようとこのタイミングでカードを切った、言い換えれば、これまでも対処できたのにカードを切るタイミングを見計らっていた、つまり後回しにしていた、若しくは本来こんなカードを切るつもりはなかったが、状況が状況なので仕方なくカードを切った、のように自分には見えた。

 一方で、立憲民主党や枝野代表らがこれまでレーダー照射問題に言及してこなかったのには相応の合理性があるのではないか?と自分には思える。自民党は現在政権を担う与党でもあり、政権関係者から情報を得る事も容易だろうが、立憲民主党は現在野党であり、自民党議員らに比べて立憲民主等野党議員らは、レーダー照射問題のような機密にも関わる事案に関して、オフレコ情報を含めても得られる情報は決して多くないのではないだろうか。だとすれば野党議員らは、私たち一般の国民と同様に日本政府や韓国政府が公に発する情報だけで、レーダー照射問題の実態像を判断・推察するしかない、ということになる。しかし一方で彼らは国会議員という国を代表する立場でもあり、迂闊な発言をしてしまうと最悪外交に悪影響を与えかねない。なので相応に情報が出揃うまで発言を控えることには妥当性があると言えそうだ。
 この件に関しては、年末に日本側が公開したビデオだけで「日本側の主張が正しい事、韓国側の主張に合理性がない事は明らかだ」と言っている人もいれば、「あのビデオだけでは何とも言えない」と言っている人も相応にいた。確かに韓国側の主張にもおかしな点は幾つもあったように自分にも思えるが、それはそれ、これはこれなので、日本側の主張が全て正しいかどうかはまた別の話だろう。このような見解を示すと、中には「日本人なら日本政府を信じるのが当然」のような事を言い始める人もいるが、公文書を改ざんしたり、隠蔽したり、不適切に破棄したり、挙句の果て捏造までする事案がここ数年頻発しているのだから、たとえ自国政府であっても、明確な根拠・証拠もなく手放しに信用するのが当然なんて話は確実に馬鹿げている。

 また興味深いのは、「立憲・枝野氏」というトレンドワードのタイムラインで批判・非難の大合唱をしている人達の多くは、北方領土問題に関するロシア・ラブロフ外相の強行な姿勢(ハフポストの記事)には殆ど不快感を示していない点だ。また、これに関して強気に出ない日本政府への批判も殆ど見られない。また、現在の日米間に存在する明らかな不平等条約・日米地位協定に関して、日本政府が弱腰な姿勢を示しても(ハフポストの記事)彼らは殆ど批判していない。結局彼らは、現政権に右へ倣えしているだけ、若しくは外交相手が中韓の時だけ高圧的且つ好戦的な態度を示すような人達なんだろうと思えてしまう。

 こんな事を書かなくても、前述の百田氏のツイートを筆頭に同じ様な事をツイートしている人達は、ツイートを見ただけで韓国憎し・野党憎しありきで主張していることが、隠しようがないくらい滲み出ているのだが、相応の根拠も示さずにそう斬り捨てれば、自分も彼らと同じ穴の狢になってしまいかねないので、彼らの主張が合理性に欠けていると言える根拠を長々と書いてみた。

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