昨夜ツイッターのタイムラインに、
という酷い誤認、というか視野狭窄、歴史を歪曲して解釈したツイートが流れてきた。彼は1918年米騒動も、昭和恐慌も、蟹工船も、あゝ野麦峠も知らないのだろうなと思い、どんだけ、あの時代を落としたいんですかwww— 差別反対 (@18sFEpn7s3JVVhT) 2019年3月21日
軍事産業も発展し、それに伴う技術革新で一気に近代化に走り、国民は皆んなして好景気を楽しんでいました。
生活保護も採用されて、軍人や遺族の生活も保証されていました。
学校も整備され、特に女子学生は高学歴が当たり前でモガを中心に各地で働いていた
どんだけ、あの時代を美化したいんですかwwwと皮肉を込めてリプライすると、次のようなツイートが返ってきた。
別に美化なんてしてませんよ?— 差別反対 (@18sFEpn7s3JVVhT) 2019年3月21日
明治維新以来、戦前、戦後、現代と繋ぐ経済政策。
それを順番に見て検証しているだけですから。
これ、当時の写真です。
残飯を漁る貧民って、何処に居るんですかね? pic.twitter.com/7Nia0WFYIB
彼は明治維新以来、現在までの経済政策を順を追って検証しているそうだ。この文言は後々矛盾を生むことになるので強調しておく。たった2枚だけ写真を提示して、そこに残飯を漁る貧民が写っていないからそんな者はいなかった、日本は経済的に常に潤っていたと説明できる感覚はとても理解できない。明治元年は1868年である。太平洋戦争に日本が敗北したのは1945年のことだ。つまり彼は近代日本約80年間の全てを、たった2枚の写真で説明できると言っているようなものだ。
その旨リプライしたところ、返ってきたのはこのツイートだ。
たった2枚の写真で近代日本約80年の全てが説明できるわけないという話に反論できなかったようで、現在の日本はこんなに裕福なのに、戦前の日本が貧しかったというのはどう考えてもおかしい、という主張に路線変更したようである。現在の日本が、世界的に見て他地域よりも比較的良好な経済状態にあることの始まりは、概ね高度経済成長期からだし、戦後経済の復興の足掛かりになったのは朝鮮特需なので、戦前と戦後の日本経済が繋がらないのはある意味当然のことだ。「どう考えても今と繋がらない」、それで何もおかしくはない。そう?— 差別反対 (@18sFEpn7s3JVVhT) 2019年3月21日
別にあれだけで、証明出来る訳じゃないけどね?
そもそも貴方達が言う最貧国の日本って、どんな状態なの?
どう考えても今と繋がらないんだけど?
再びその旨をリプライしたところ、このツイートが返ってた。
朝鮮特需程度で現在の日本が作れるなら、全世界が日本以上に発展していますよ?— 差別反対 (@18sFEpn7s3JVVhT) 2019年3月21日
そもそも朝鮮特需は戦後ね?
戦前の日本は、どうやって軍事大国になったの?
満州国の開発は?
半島の開発は?
高度経済成長期の話は吹っ飛び、「発端」とした朝鮮特需が今の日本経済の全てを作ったと歪曲して解釈し、反論されては、まともなやり取りになる筈などない。
なので、前ツイートとほぼ同じ内容でその旨を説明し、「戦前と戦後の日本経済には、太平洋戦争と敗戦による断絶があるのだから、繋がらないのは当然」とリプライすると、このツイートが返ってきた。
断絶?— 差別反対 (@18sFEpn7s3JVVhT) 2019年3月21日
無いよ?
そんなもん。
断絶したら、そこでお終いだよ?
まぁ それ以前に貴方達の中の異世界日本では、何にも始まっていないんですけどね?
朝鮮特需なんて、そもそも本当にあったのか?
って疑うレベルですよ?
戦争復興経済なら分かりますけど?
戦前と戦後の経済に太平洋戦争と敗戦という断絶もなければ、朝鮮特需もないと言い出す始末である。しかも朝鮮特需はなかったが戦後復興経済はあります! ときた。こちらの事を異世界云々と言っているが、彼は、全く事実に基づかないいい加減な歴史観が正しいとされるパラレルワールドに住んでいるようだから、こちら側が異世界に見えるのもある意味当然の事だろう。一つ前のツイートで感じた「まともなやり取りが成立しない」事を改めて再確認したので、その旨を伝えて諦めることにした。
それでも彼は、
何で敗戦程度で、経済が断絶するの?— 差別反対 (@18sFEpn7s3JVVhT) 2019年3月21日
そもそも貴方達の中の異世界日本では、最初から何も始まっていないんだけど?
最初から無いのに、何で敗戦から始まるの?
意味不明。
と太平洋戦争と敗戦による経済の断絶を否定している。では次のように彼に聞いてみたい。
彼は戦前の日本経済は潤っており、貧民もいなければ、残飯あさりもなかったという。そして敗戦による日本経済の断絶もなかったとしている。戦前の日本経済が潤っていて、戦争による経済の断絶がなかったのだとしたら、敗戦後の日本経済は確実に豊かなままだったはずだ。戦争によって海外からの輸入は止まっていただろうが、敗戦によって輸入は再開できた筈だから、日本経済が豊かだったのなら、食べるものに困るような状況はなかった筈だ。しかし、戦争後も日本の多くの人が戦中同様に食べるものに困るような状況だったことは誰もが知っている。彼は明治維新以来、現在までの経済政策を順を追って検証しているそうだが、彼の検証・主張には大きな矛盾が生じることになる。
また彼は、この一連のスレッドでの他の人とのやり取りの中で、
その写らない貧困街や餓死者を、どうやって皆さんは知ったのですか?— 差別反対 (@18sFEpn7s3JVVhT) 2019年3月21日
とツイートしている。そもそも、他の人がツイートしているように、当時の貧しい日本を切り取った写真も複数残っている。
今は誰もがスマートフォンを持っていて、誰でも毎日何十枚も何百枚も写真が撮れるが、そんなのはこの20年くらいの話でしかない。カメラ機能付き携帯電話が登場する前も、戦前に比べれば写真は一般人も楽しめるレベルであったが、高度経済成長期以前、写真は特別なもので、時代を遡れば遡るほどその傾向は強まる。写真が切り取るのは社会のごく一部に過ぎない。それは、誰もが写真を無尽蔵に撮ることのできる今でも同じだし、戦前の日本や、それと同じくらい、もしくはそれ以上に貧しい現在の日本国外の地域では、そのような側面が今の日本社会よりも確実に強い。
また、彼が文献等活字による資料を一切合切無視するような姿勢であることも理解し難い。写真に写っていないと事実と言えないのであれば、フランス人発明家のジョゼフ ニセフォール ニエプスが1827年に初めての写真を撮る以前の歴史を、全て否定することにもなりかねない。日本に限れば、江戸後期以前の、というかカメラ・写真が一般に流通し始めたのは明治中期以降のことだから、彼の論が正しいとすれば、明治維新も「そもそも本当にあったのか?って疑うレベルですよ?」ということになるだろう。
このような主張を見ていると、歴史教育の重要性を実感せざるを得ない。アウシュビッツも南京事件も捏造だ、なんて言い出すような大人達はのさばらせておくと大変なことになりかねない。ナチスがいい加減なアーリア人至上主義を唱え、ユダヤ人虐殺に走ることになったように。