維新の関係者が、相変わらず生活保護受給者への嫌悪を煽ったり、「共産党を殲滅」とか「駆逐」などと、まるで勧善懲悪の映画やマンガに影響されまくった〇学生のようなことをツイートしたり、その一方で無所属(会派は立民)の小西ひろゆき議員も、首相のことを「狂人のレベル」とツイートしたり、もともと成熟していたとは言い難いこの国の政治家・政党は、近年保守も革新も右も左も低レベル化がどんどん進んでいる、と感じられることなど、殆ど毎日政治絡みの投稿をしていても、ツッコミを入れるべき話は枚挙に暇がない。
そんな現状が政治不信・政治への諦め感の広がり、投票率の低さの大きな理由で、60%かそこらの投票率で「国民の信を得た」などと誇っている与党総裁兼首相を見ると、裸の王様とはまさに彼のこと、しかも同程度の投票率があった沖縄県民投票の結果は軽々と無視して除けるのだから、信憑性もヘッタクレもあったもんじゃないと思いつつ、毎日そんな事ばかり書いていると更に気が滅入るという風にも思っている。
昨日は呆れるしかない、しかしどこか微笑ましくもある「堺筋線が『サカイマッスル線』? 大阪メトロ公式サイトの英訳が自動翻訳でめちゃくちゃに」(ハフポスト)という件が話題になっていた。見出しが全てを物語っているが、大阪メトロ(旧市営地下鉄)の英語版サイトで堺筋線が「Sakai Muscle Line」となっているなど、いくつかの誤訳が見つかったのだが、その原因は、
業務を効率化するため、同サイトの英訳には米・マイクロソフトの自動翻訳を使用していたからだそうだ。
この件を聞いて、
サイバーセキュリティ対策担当大臣が、パソコンを使ったことがないと堂々と公言する国にありがちな話だと思った。昨年の内閣改造に関して、首相は相変わらず社交辞令、厳しく言えば馬鹿の一つ覚えのように「適材適所」をアピールしていたが、新たにサイバーセキュリティ対策担当に任命された桜田 義孝氏が国会で「パソコンを打ったことがない」「USBが何であるかもわからない」「USBは穴に入れるらしいですけれども、わからないので、官僚に聞いてください」などと発言し、世界中の笑い者になった(J-キャストニュースの記事)。にも関わらず、首相や官房長官らは相変わらず彼の起用は適材適所だと言い張っている。恥の上塗りとはこのことではないのか。
今回の大阪メトロの件は更に酷い話だ。サイトなのかソフトなのか定かでないが、自動翻訳の精度がどの程度なのかというのは、PCやネットを日常的に使用している者であれば専門家でなくても知っているレベルの知識だろう。現在の自動翻訳を鵜呑みにすると間違いがしばしば起きる、特に固有名詞の翻訳に関しては丸投げなど以ての外の代物であるということは、ハッキリ言って常識レベルの話だろう。それを知っている人が、大阪メトロのウェブ作成を担当する部署やその管理者の中に一人もいなかったというのは驚きだが、元公営の組織だからこそ誰もそんなことすら知らない状況だったのかもしれない。これは如何に役所が世間の感覚とズレた組織であるかが分かる事案なのかもしれない。
個人のブログ、個人商店のメニューや注意書き等でそんな誤訳があっても、ある意味笑い話のレベルだが、まがりなりにも公共交通機関、しかも元は公営の交通機関だった大阪メトロでは笑いごとでは済まされない。今回は自動翻訳の精度の低さによる笑える表現だったが、一歩間違えば差別的な表現がされていた恐れもある。
一方で、SNS上でも「間違っているが、笑えるし大阪らしいからこのままでもいいのでは?」といった声が多数あるように、自分もこの件がここまで話題になったのだから、このままSakai Muscle Lineを英訳として採用してもいいのではないか、とも思っている。さらに、他の「筋」が付く路線も
- 堺筋線:Boundary Muscle Line
- 御堂筋線:Temple Hall Muscle Line
- 今里筋線:Contemporary Village Muscle Line
少し日本語や漢字を学んだ外国人からは「何故で筋はStreetとかBlvdとかAveじゃなくてMuscleなの?」と聞かれてしまいそうだが、日本語の表現の中にも(日本語だけでなく他の言語でも)、誤用が一般化して定着した表現というのは結構多く、これについてもそれを説明すればいいだけだろう。説明をされたら印象には強く残るし、これを元に落語家さんにも噺にして貰えば、文化としての広がりもありそうだ。
もし大阪がそれをやらないのであれば、東京が今回の件を参考に、例えば山手線をYamanote Line でも Uptown Line でもなく、Mountain Hand Line と表記したり、品川駅を 3box 3Line Station と表記するようなキャンペーンを行い、正式名称ではなく通称として話題作りをしてもいいように思う。そのようなキャンペーンは外国人観光客の漢字への興味、つまり日本語表現への興味を喚起することにもつながると思う。
と思っていたら、大阪メトロは既にそのようなキャンペーン(ではない)(ハフポスト/朝日新聞)を既にやっていた。是非そのまま話題作り、外国人観光客が漢字へ興味を持つきっかけ作りに活かして欲しい。禍を転じて福と為すという言葉もある。