統一地方選の第1弾・知事/政令市長/道府県議/政令市議選の投開票が4/7に終わったばかりだが、第2弾・市区長/市区議/町村長/町村議選 の告示が来週以降段階的に行われ、4/21に投開票が行われる予定である。また統一地方選の第2弾と同時に、大阪・沖縄の衆院補選も行われることになっており、こちらは昨日・4/9が告示日だった(読売新聞の記事)。
大阪12区の衆院補選には元共産党の宮本議員が無所属として立候補して一部で注目されている(日経新聞の記事)。彼のツイートによれば、
野党の結束を促すという目的で無所属としての立候補を選んだようだ。大阪12区衆院補選に立候補した宮本たけし。— 宮本たけし (@ohsakamiyamoto) 2019年4月9日
参院議員1期6年、衆院議員4期10年の現職共産党議員が、その職を辞して、あえて無所属となって挑戦する🔥
なぜ、こんな無謀ともいえる決戦を挑むのか。獲りたいのは共産党の議席じゃない。「本気の共闘」のビッグウェーブだ。大阪から日本を変える! pic.twitter.com/vbXcr5P2vb
今の野党のいまいちまとまりに欠ける状態では、確かに夏の参院選で良い結果は望めないだろう。その状況を打破しよう、野党勢力結束のきっかけを作ろうという姿勢には賛同する。しかし、彼や、彼が所属していた共産党などの、野党結束の呼びかけ方には疑問を感じる部分もある。
昨日自分のツイッターのタイムラインに、立民・有田 芳生議員の
というツイートが流れてきた。自分は「安倍政権を終わらせる」という話を前面に押し出すべきではないと感じており、「その意気やよし」とは思えなかった。現職を辞任してどうして、と聞いたら「比例選出で安住していたらあかんと思ったからです。安倍政権を終わらさなければあきません」。その意気やよし。大阪、沖縄の補選に勝利するのが参院選へとつながります。明治から大正、昭和、平成と改元した政権はそれぞれ半年以内に崩壊しています。 https://t.co/AsbnLe0Lfw— 有田芳生 (@aritayoshifu) 2019年4月9日
しんぶん赤旗の記事「宮本岳志衆院議員を擁立 衆院大阪12区補選に無所属で 志位氏が発表」にも、宮本氏が
大阪12区の補欠選挙は、沖縄3区と並んで市民と野党の共闘で『安倍政治さよなら』ののろしをあげる、野党共闘の命運がかかった選挙です。なんとしても勝たねばなりませんと決意を表明、とある。またその記事には、共産党 志位氏の発言も掲載されており、志位氏も、宮本氏が無所属で立候補する理由について「「安倍政権に退場」の審判を下すため」と述べている。宮本氏も自身の昨日のツイートで「安倍政治さようならののろしを上げようと、無所属、野党共同候補として立候補しました宮本です」としている。
4/9 #宮本たけし 第一声— 宮本たけし (@ohsakamiyamoto) 2019年4月9日
いよいよ今日から日本の未来がかかった #大阪12区補選 。職を辞して安倍一強を打ち破る。市民と野党の本気の共闘を、安倍政治さようならののろしを上げようと、無所属、野党共同候補として立候補しました宮本です。野党全ての党から集まってくれた。ありがとうございます。 pic.twitter.com/TeOa9ZEENJ
彼らは未だに「安倍政治を終わらせる」というスローガンが効果的でないことに気付かないようで残念だ。それでぶちあがっているのは一部の支持者だけで、多くの有権者はどちらかと言えば冷ややかなのではないだろうか。現在自民の消極支持に回っている無党派層の支持を得るのに必要なのは「アベ政治を終わらせた後にどんな魅力的な政策を行うのか、その実現性の説得力」だろう。多くの有権者は、打倒自民政権で集まった民主党が、いざ政権の座についてどうだったかを知っている。
「安倍政治を終わらせる」で盛り上がるのは、嫌韓嫌中論などと同様に、外側に敵を作り敵愾心を煽り賛同を得ようとするようなものではないだろうか。その目的でしか団結出来ないようでは、その先には全く期待できない。もし「安倍政治を終わらせる」が実現しても、その後再び旧民主党のように仲間割れ・責任の擦り付け合いが始まる恐れが高い。だから「安倍政治を終わらせる」の目的化は野党勢力の支持向上に繋がらない。それはここ数回の選挙結果からも明らかだ。「安倍政治を終わらせる」のは、その後に公平性の高い社会・透明性の高い政治を実現する為の過程であって、「安倍政治を終わらせる」のが政治家・政治活動の主たる目的ではない。過程や手段を目的化してしまっているという意味でも妥当性は低い。
このような野党の動きを見ていると、もしこの衆院補選で宮本氏が当選できたとしても、夏の参院選での結果は期待できないのではないか、と思えてならない。