今朝のMXテレビ・モーニングCROSSで、20代が注目したニュースとして「消費者心理 6か月連続悪化 商品値上げ影響か」という話を取り上げていた。内閣府や日銀が景気が悪いと感じている人が増えているという調査結果を発表したという話だった。実質賃金が上がらない、賃金自体は微増しているが、それを超えて社会保障費の負担が増えていたり、それを超えて物価が上昇しており景気が良いと感じられない、というか景気が悪いと感じる人が増えているという話だ。しかも今年・2019年10月には消費増が従来の8%から10%へ引き上げられる予定で、実質賃金は更に減少し、景気が悪くなったと感じる人は更に増えそうだ。
今の政権は経済政策の柱の一つに「デフレからの脱却」を掲げてきた。 バブル崩壊による景気の悪化によって、企業が商品の低価格化に活路を見出した結果利益も共に減少し、それが従業員や賃金削減に繋がり、従業員は消費者でもあるので購買力の低下を招き、需要が下がって商品が売れなくなり更なる低価格化を招く、という所謂デフレスパイラルの解消を目指した。
首相は、異次元金融緩和などの金融政策・所謂アベノミクス効果について、2017年11月の国会で
この数年、原材料費の高騰や人手不足による人件費の高騰などを理由として、主に食料品、そしてそれ以外の商品・サービス料でも値上げが度々ニュースになってきた。この4月には、秋の消費増税を見据え、消費増税のタイミングで値上げをすると便乗値上げを指摘されるという事を勘案し、様々な商品の値上げが行われた。以下はその1部を伝える記事だ。
このような状況に鑑みれば、確かに「もはやデフレではない」のかもしれない。しかし冒頭で紹介したモーニングCROSSのニュースのように、景況感はなく、実質賃金も上がらないのに、物価だけが上昇しているというのが現実ではないのか。
デフレ・インフレについては中学校の公民分野で習う。デフレーションは、物価が持続的に下落していく経済現象(Wikipedia)を指し、反対にインフレーションは、物価が、ある期間において持続的に上昇する経済現象(Wikipedia)である。中学の公民分野ではデフレ・インフレと共にスタグフレーションという経済現象が起きる事があるという事も習う。スタグフレーションとは、経済活動の停滞(不況)と物価の持続的な上昇が併存する状態(Wikipedia)を指す。
現在の日本の実質賃金が上がらない状況、景況感はなく、実質賃金も上がらないのに、物価だけが上昇している状況はスタグフレーションの定義そのものではないのか、と自分は感じているのだが、テレビを見ていても新聞を読んでも、ネットのニュースを見ても、現在の状況がスタグフレーションであることを懸念する記事・報道は殆どない。個人的な感覚では「全くない」と言いたいぐらいだ。首相や政府が「デフレ脱却」を掲げ、「もはやデフレではない」とその成果を強調しているが、実際はデフレよりも更に悪いスタグフレーションの恐れがあるのならば、メディアはその恐れをもっと指摘するべきなのではないか。勿論景気は消費者のマインドに強く左右されるものでもあり、いたずらに不安を煽るべきでないという側面があることも理解はする。しかし、一方で「デフレ脱却」を成果として強調する者がいる以上、現状は果てしてどうなのかについて適切に認識する必要も確実にあるだろうし、デフレ状態と比べて大した成果ではない、大した成果でないどころか更に悪い状況に陥り始めている恐れがあることを指摘する必要も確実にある筈だ。
自分はそのように感じている為、冒頭で紹介したモーニングCROSSのニュースを前提に、
そのような自分の所感をツイートしたところ、それを引用して堀さんは更に次のようにツイートした。
これまでも政府が誇る景気回復は実態を伴っていないのではないか、という指摘はしばしば行われてきたが、その恐れがいよいよ現実味を帯びてきたのは、昨年末に発覚した毎月勤労統計の不正や、それに伴ってそれ以外にも数々の統計で不正が発覚したこと、更に今年に入って複数の景気の減速を示す調査等が示されてからだ。つまり、2014年の自身の番組外での主張を根拠にするのではなく、この半年以内、できれば今年に入ってから、番組でスタグフレーションの懸念について積極的に取り上げた事例を示して貰いたい。視聴者である自分の記憶が正しくないのなら、それを是非指摘して貰いたい。それならば堀さんの「クロスではよく伝えています。」という話も納得できる。しかしそうではないので現時点では堀さんの主張に頷くことはできない。
結論から言えば、堀 潤さんに限らず、他のメディアに関わる人達の多くもスタグフレーションの恐れを「よく伝えている」つもりなのだろう。しかし、デフレだインフレだという表現は積極的に使うのに、スタグフレーションという表現、スタグフレーションの懸念を積極的に示さないのであれば、それは何かへの忖度であるかもしれないようにも見えてしまうし、何かを隠したいからなのかもと感じられてしまう。
自分は経済学者ではなく、高卒大卒レベルの経済的な知識しか持ち合わせておらず、自分のスタグフレーションに対する認識も決して適切とは言えないかもしれない。しかし、昨今の政府の発表のいい加減さや、幾つかの不適切なメディア報道を見ていると、スタグフレーションという言葉が用いられないのは、意図的なのか無意識的なのかは定かでないが、「何かを」隠そうとしているからではないのか、とつい疑心暗鬼になってしまう。
今の政権は経済政策の柱の一つに「デフレからの脱却」を掲げてきた。 バブル崩壊による景気の悪化によって、企業が商品の低価格化に活路を見出した結果利益も共に減少し、それが従業員や賃金削減に繋がり、従業員は消費者でもあるので購買力の低下を招き、需要が下がって商品が売れなくなり更なる低価格化を招く、という所謂デフレスパイラルの解消を目指した。
首相は、異次元金融緩和などの金融政策・所謂アベノミクス効果について、2017年11月の国会で
もはやデフレではない状況を作り出したとその成果を誇った(日経新聞の記事)が、 2018年2月には、
現段階では「デフレ脱却とはいえない」という趣旨の発言もしており(ロイターの記事)、 デフレを脱却したのか否か、時と場合、そして都合によってその主張を変える、というか相反する主張を使い分ける矛盾した様子が見て取れる。
この数年、原材料費の高騰や人手不足による人件費の高騰などを理由として、主に食料品、そしてそれ以外の商品・サービス料でも値上げが度々ニュースになってきた。この4月には、秋の消費増税を見据え、消費増税のタイミングで値上げをすると便乗値上げを指摘されるという事を勘案し、様々な商品の値上げが行われた。以下はその1部を伝える記事だ。
- 4月から値上げラッシュ! 専門家に聞く“3月中に買っておくもの”リスト(FNNプライム)
- ドトール、マック、スタバで値上げ(ハフポスト/朝日新聞)
- 手紙は2円値上げで84円、はがきも63円に…消費増税の影響(ハフポスト/朝日新聞)
このような状況に鑑みれば、確かに「もはやデフレではない」のかもしれない。しかし冒頭で紹介したモーニングCROSSのニュースのように、景況感はなく、実質賃金も上がらないのに、物価だけが上昇しているというのが現実ではないのか。
デフレ・インフレについては中学校の公民分野で習う。デフレーションは、物価が持続的に下落していく経済現象(Wikipedia)を指し、反対にインフレーションは、物価が、ある期間において持続的に上昇する経済現象(Wikipedia)である。中学の公民分野ではデフレ・インフレと共にスタグフレーションという経済現象が起きる事があるという事も習う。スタグフレーションとは、経済活動の停滞(不況)と物価の持続的な上昇が併存する状態(Wikipedia)を指す。
現在の日本の実質賃金が上がらない状況、景況感はなく、実質賃金も上がらないのに、物価だけが上昇している状況はスタグフレーションの定義そのものではないのか、と自分は感じているのだが、テレビを見ていても新聞を読んでも、ネットのニュースを見ても、現在の状況がスタグフレーションであることを懸念する記事・報道は殆どない。個人的な感覚では「全くない」と言いたいぐらいだ。首相や政府が「デフレ脱却」を掲げ、「もはやデフレではない」とその成果を強調しているが、実際はデフレよりも更に悪いスタグフレーションの恐れがあるのならば、メディアはその恐れをもっと指摘するべきなのではないか。勿論景気は消費者のマインドに強く左右されるものでもあり、いたずらに不安を煽るべきでないという側面があることも理解はする。しかし、一方で「デフレ脱却」を成果として強調する者がいる以上、現状は果てしてどうなのかについて適切に認識する必要も確実にあるだろうし、デフレ状態と比べて大した成果ではない、大した成果でないどころか更に悪い状況に陥り始めている恐れがあることを指摘する必要も確実にある筈だ。
自分はそのように感じている為、冒頭で紹介したモーニングCROSSのニュースを前提に、
と番組タグを付けてツイートした。すると、番組MCの堀 潤さんは、このツイートを引用し、スタグフレーションに陥ってる恐れを、どのメディアも指摘しないのは何故か。#クロス— Tulsa Birbhum (@74120_731241) 2019年4月8日
とツイートしていた。自分はほぼ毎日欠かさず同番組を見ている。少なくともこの半年間で同番組が「現在の日本の状況はスタグフレーションである恐れがある」という事を、スタグフレーションという言葉を使って伝えていた記憶はない。勿論「自分の記憶では」であって、番組内でスタグフレーションという言葉が一切用いられてこなかったかどうかまでは定かでない。しかし積極的にその恐れについて言及していないのは確かだろう。もしこちらの記憶違いで、そのような主張をコメンテーターの誰かがオピニオンとして行っていた、その手の報道について番組が積極的に取り上げていたのであるならば是非指摘して欲しい。クロスではよく伝えています。 https://t.co/OPji3xUma5— 堀 潤 JUN HORI (@8bit_HORIJUN) 2019年4月8日
そのような自分の所感をツイートしたところ、それを引用して堀さんは更に次のようにツイートした。
彼が「【衆院選2014】本当に「この道しかない」のか? 私たちの現在地を知るためのナビゲーション」でスタグフレーションの恐れについて、2014年に書いているのは確かだし、一連のやり取りを勘案すれば、彼が現在もスタグフレーションの恐れを懸念しているのは確かなのだろうが、2014年の記事はモーニングCROSSでの言及ではないし、しかも3年も前の話だ。それに付け加えるように「番組でも度々」と言われても、それは自分の認識とは大きく異なる。3年半前の総選挙時に書いた記事。「スタグフレーションを警戒。対応する政策が打ち出せるか?」と主張した。以来番組でも度々。→【衆院選2014】本当に「この道しかない」のか? 私たちの現在地を知るためのナビゲーション(堀潤)|ポリタス 「総選挙」から考える日本の未来 https://t.co/o2wPmk8asq https://t.co/C0oJG6Lhtj— 堀 潤 JUN HORI (@8bit_HORIJUN) 2019年4月8日
これまでも政府が誇る景気回復は実態を伴っていないのではないか、という指摘はしばしば行われてきたが、その恐れがいよいよ現実味を帯びてきたのは、昨年末に発覚した毎月勤労統計の不正や、それに伴ってそれ以外にも数々の統計で不正が発覚したこと、更に今年に入って複数の景気の減速を示す調査等が示されてからだ。つまり、2014年の自身の番組外での主張を根拠にするのではなく、この半年以内、できれば今年に入ってから、番組でスタグフレーションの懸念について積極的に取り上げた事例を示して貰いたい。視聴者である自分の記憶が正しくないのなら、それを是非指摘して貰いたい。それならば堀さんの「クロスではよく伝えています。」という話も納得できる。しかしそうではないので現時点では堀さんの主張に頷くことはできない。
結論から言えば、堀 潤さんに限らず、他のメディアに関わる人達の多くもスタグフレーションの恐れを「よく伝えている」つもりなのだろう。しかし、デフレだインフレだという表現は積極的に使うのに、スタグフレーションという表現、スタグフレーションの懸念を積極的に示さないのであれば、それは何かへの忖度であるかもしれないようにも見えてしまうし、何かを隠したいからなのかもと感じられてしまう。
自分は経済学者ではなく、高卒大卒レベルの経済的な知識しか持ち合わせておらず、自分のスタグフレーションに対する認識も決して適切とは言えないかもしれない。しかし、昨今の政府の発表のいい加減さや、幾つかの不適切なメディア報道を見ていると、スタグフレーションという言葉が用いられないのは、意図的なのか無意識的なのかは定かでないが、「何かを」隠そうとしているからではないのか、とつい疑心暗鬼になってしまう。