ダイハツが ’19 東京モーターショーへ、市販予定の新型コンパクトSUVとして出品したモデルは(【東京モーターショー 2019】ダイハツ、市販予定の新型コンパクトSUVを展示中)、その後すぐに、1980年代にも同社がSUV(当時はRV、又はライトクロカンなどと呼んでいた)に用いていた車名「ロッキー」の名称で発売された(DNGA第2弾となる新型コンパクトSUV「ロッキー」を発売 - 20191105-1.pdf)。ダイハツの新モデルは大概トヨタ版も共に発売されるのだが、ロッキーもトヨタ版・ライズが同時に発表された(TOYOTA、新型車ライズを発売 | トヨタ | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト)。
発表説明会も同時に行われた(ダイハツ「ロッキー」とトヨタ「ライズ」の細部を解説! 2台並んで展示された説明会レポート - Car Watch)この2台の差は、フロント周りとホイールのデザインぐらいだろうか。サイド・リア・インテリアは殆ど共通だ。
このトヨタ ライズには、初めて見た時からかなり強い既視感があった。いくつかの自動車系情報サイトなどでは、RAV4やC-HRなど同社のSUVのデザインを踏襲した、のような解説をしていた。
確かにライズのデザインは、RAV4を2周り程小さくしてC-HRのグリルを組み合わせたようなデザインだが、どうもその説明では自分の感じた既視感としっくりこない。もっと似ている何かがあったような気がしていた。最初はヒュンダイが主に新興国市場で販売しているクレタというモデルが頭に浮かんだ。しかしそれは、ライズより寧ろダイハツ ロッキーの方と似ている。モヤモヤしたまま数週間が経ち、Youtubeを見ていた時に関連動画の1つとして出てきたのがサンヨン コランドだった。
サンヨンは韓国の自動車ブランドで日本には進出していない。だから中々思い出せなかったのだ。現行型の第4世代コランドは、2019年2月のジュネーブショーで初公開されたモデルで(Wikipedia - SsangYong_Korando#Fourth_generation_(C300;_2019–present))、多分ジュネーブショーの記事か何かで見た記憶が残っていたのだろう。しかし、詳細デザインを確認する為に閲覧したサンヨンのグローバルサイトを見ると、更にライズに近いデザインのモデルがあった。それはサイズ感もライズとよく似たチボリである。因みにチボリにはロング版のチボリ XLVもあり、Cピラー周辺のデザインはXLVの方が似ている。
この比較画像からも分かるように、テールランプの形状は、ライズが横型でチボリは縦型とあまり似ていない。ライズのフロント周りはチボリにとてもよく似ているが、トータルではコランドの方が似ているように感じる。ホイールの雰囲気も相当近いものがある。
この気付きによって自分が数週間感じていたモヤモヤは取り除かれた。このようにやっとの思いで気付いたことは誰かに言いたくなるものだ。このことを自動車好きの後輩との話のネタにして、ライズとコランドの画像を携帯で見せると、その後輩はこう言った。
流石韓国仕事が早いw彼は「韓国は模倣するのが素早い」と言いたかったのだろう。
しかし前述のように、コランドが初公開されたのは2019年2月で、ライズが発表されたのは11月だ。前述の比較画像から分かるようにRAV4とコランドも割合似ており、現行型の第5世代RAV4が発表されたのは2018年3月のニューヨークショーだ(Wikipedia - Toyota_RAV4 #Fifth generation (XA50; 2018–present))。しかし、コランドとRAV4のフロント周りはそれ程似ているとは言えない。昨今の自動車業界では、部分的に類似したデザインを持つモデルは、日韓に限らず欧米ブランドでもよくあることだ。チボリの発表は2014年11月だが、比較画像のフロントデザインは2019年5月の改良時に採用された(Wikipedia - SsangYong Tivoli #History)。つまり、どう考えてもライズが最も後発であり、コランドやチボリがライズのデザインを模倣したということはほぼありえない。
チボリのフロント周りは、それよりもかなり前の2014年9月に、最初のコンセプトモデルが初公開されたC-HR(TOYOTA、パリモーターショーにコンパクトクロスオーバー「TOYOTA C-HR Concept」を出展 | トヨタ | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト)にかなり似ているものの、ライズがRAV4のデザインを踏襲したものでサンヨンのデザインの模倣ではないと言えるならば、チボリのフェイスリフト後のデザインも、コランドのデザインを踏襲したものでトヨタのデザインの模倣ではないと言えるだろう。
この、ライズよりも半年以上前にコランドが発表されている、という事実を彼に伝えると、彼が最初に見せた「流石韓国仕事が早いw」という反応を考えれば、ここでは「流石トヨタ仕事が早いw、ってことですねw」と反応するのがバランスの取れた感覚だろうが、彼はそのような反応は示さずに「そうなのか…」とだけしか言わなかった。
驚いたのは、その後少し間をおいて彼が続けた
にしても似すぎじゃないすか?という言葉で、「後発はトヨタだけど、トヨタが似せたってこと?」と聞くと、「あ、そうか…」と。兎に角「韓国が真似ている。日本が韓国を真似るわけがない」という認識が抜けないのだ。彼はネトウヨタイプとは決して思えないのだが、この程度に中韓をナチュラルに見下している人は結構いるのかもしれない。
彼がそんなことを言っているわけではないが、しばしば「中韓・東南アジア諸国は日本に比べてまだまだ/民度が低い」などと思っていることが滲み出ている人に出会う。果たして民度が低いのはどこの国だろうか。
中韓・東南アジア諸国への偏見と言えば、数日前から、東大准教授が「(自分の運営する企業では)中国人は採用しません」「中国人って時点で書類で落とす」などとツイートしたことが話題になっている。
この東大准教授は、
AI の場合は単に精度が高ければ何でもいいんですよ。— 大澤昇平 :: AI 救国論 🇺🇳 (@Ohsaworks) November 22, 2019
設計時に人間が主観(「事前分布」といいます)として差別的な情報入れたら NG ですけど、
ラーニングの結果として差別が生まれるのであれば、それは単なる自然の摂理です。 https://t.co/VzE99wucDC
というツイートもしており、このような人物によってAIが開発されれば、AIが差別や偏見を行うようにもなるということがよく分かった。AIが差別や偏見を行った例は、マイクロソフトが開発していたAIがナチスを容認するSNS投稿をしたり、アマゾンが採用に用いていたAIに女性差別が発覚するなど、既に複数ある。