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販売終了を匂わせて購買心を煽る企業は…


 牛丼チェーンの松屋が、11/27に「オリジナルカレーの販売を終了する」とツイートしたことが話題になった。自分は松屋のカレーも、肯定的に語る人が多いCoCo壱番屋のカレーも、絶対食べたくないとは思わないが積極的に選択する程美味しいと思ったこともないし、なんならコンビニのカレーやレトルトの方が美味しいと思っているので全然残念さはなかったが、SNS上には終売を惜しむ声が相応に投稿されていた。
 しかし松屋は、翌日の11/28 10:00に、「オリジナルカレー」の終売共に、これまで期間限定で販売していた新メニュー「創業ビーフカレー」をレギュラーメニュー化すると発表した。「松屋のカレーがなくならなくて良かった」という声も多いが、個人的には「購買心を煽るのに終売を利用した」、大袈裟に言えば「終売詐欺」じゃないか?とも感じられる。



 これが松屋のツイッター公式アカウントによる11/27のツイートだ。共に22:30頃に投稿されている。実質的には創業ビーフカレーへの置き換えとそれに伴う値上げなのに、
  • 松屋カレーショック
  • なくなる前に食べておく
  • また会う日まで
なんてハッシュタグをつけ、【大切ならお知らせ 大事件】とも煽り、明らかに松屋がカレー販売を止める、少なからずレギュラーメニューから外す感を演出している。しかし、「松屋 人気のカレー「やめます」、ツイッターでの発表に賛否 TBS NEWS」によると、松屋は「炎上商法ではないのか」という取材に対して、
炎上商法ではなく、今までやってきたとおりの終売告知をさせていただいたうえで、既存メニュー「オリジナルカレー」がお客様にとって大きな反響があったと弊社としては捉えている
と答えたそうだ。


前述のように自分は松屋のカレーに何の思入れもないので「なくならなくてよかった」なんてこれっぽっちも思えない。寧ろ過剰な煽り文句で購買心を煽ることに不誠実さを感じる。


 同じ様なジャンクフード系の終売煽りが話題になったことは以前にもあった。2010年8月に日清がラ王の生産終了を発表した際にも、今回の松屋のカレーと同様に惜しむ声が上がった。しかし日清はたった1ヶ月後に新商品を発表し(「ラ王」、生産終了わずか1ヶ月で復活 | ORICON NEWS)、当時も今回の松屋と同様に過剰に購買心を煽る行為という批判があった。


 バイク業界でもこの似たような事案が数年間に複数起きている。ホンダは2017年3月に、1967年から生産してきた50ccのミニバイク・モンキーの生産終了と、最終型を「50周年アニバーサリー」「50周年スペシャル」とすると発表した(ホンダ、モンキーを8月末で生産終了…排ガス規制強化で50年の歴史に幕 | レスポンス(Response.jp))。実際に50ccモデルは2017年8月末で生産終了となったが、それからたった3か月後・10月の東京モーターショーで125ccバージョンを発表し、翌2018年4月に市販することを発表した(Honda | 新型の原付二種レジャーモデル「モンキー125」を発売)。但し、50cc生産終了発表以前に行われた2016年のバンコクモーターショーにも、125cc版をコンセプトモデルとして出展していたので(【バンコクモーターショー16】モンキーの後継?それとも兄貴分?…ホンダのコンセプトモデル | レスポンス(Response.jp))、何となくではあるが、生産終了発表の時点で既に終売煽り疑惑はあったものの、当時125cc版はあくまでもコンセプトモデル扱いだった為、日本ではモンキー生産終了を惜しむ声は大きかった。
 50cc版の生産終了は前述の記事の通り、排ガス規制に対応出来なくなった為とされているが、モンキーのエンジンは歴代スーパーカブと同系統であり、スーパーカブは現在も販売を継続している為それはあくまで建前で、モデルチェンジと50周年記念モデルの話題作りの為に「生産終了」を謳う口実のようにすら思える。

 ホンダに次ぐ生産量を誇るバイクブランドのヤマハも2017年9/1に、1978年から生産・販売してきたSR400について、排ガス規制強化に伴う生産終了を発表し(ヤマハが生産終了を相次いで発表 40年のロングセラー車種も BuzzFeed Japan)、こんなツイートまでした。


しかし、たった数日後に規制に対応した新モデルを開発中であると発表している(ヤマハバイク生産終了モデルのご案内 - トピックス | ヤマハ発動機株式会社)。そして約1年後の2018年9月に、排ガス規制適合モデルと40周年モデルのリリースを発表した(排出ガス規制に適合、従来の乗り味とスタイリングを継承し復活 デビュー40周年を迎えたロングセラーモデル「SR400」を発売 40th Anniversary Editionを数量限定で同日発売 - 広報発表資料 | ヤマハ発動機)。ヤマハの場合は終売煽りというよりも、復活煽りと言った方がより正確かもしれない。しかし、公式SNSアカウントで煽るような投稿をした点は松屋と共通している。


 これらの購買心を煽るマーケティング手法が絶対的に不適切かと言えば、そう断定することは出来ないだろうが、絶対的に不適切でなかったとしても、フェアでないと感じてしまう。自分が通っていた高校の近所には年中「閉店セール」の垂れ幕を掲げている紳士服店があったし、〇万個限定を年中・CM放送後30分限定を毎日やっている通販など、「それって実質的には限定でもなんでもないじゃん」という広告手法も頻繁に見かける。個人的には、そんな手法のマーケティング・広告を用いる企業を信用できるとは全然思えない。そのようなことをするということは、何か都合の悪いことが起きれば、同じ様な恣意的な言い換えによる隠蔽を図るのではないか? 例えば今の日本の政府や与党のように。

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