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レジ袋削減に関連して


 最近レジ袋の提供を有料化しているスーパーマーケットも多い。しかし、まだまだ無償の店もある。ディスカウントストアのドン・キホーテをよく利用するが、自分がよく行く店では未だに、「そんなにいらねぇよ!」という枚数を会計の際に買い物かごに入れてくる。最近は断るようにしているが、計画的な来店でなく咄嗟に立ち寄って鞄を持っていない場合などに、会計後ビニール袋に商品を入れると、大抵使った分と同数の袋が余る。重たいと破けるから2重にしろということなのか、「足りねぇよ!」というクレームへの対策なのかは分からないが、ほぼ確実に余る。そうやって余った袋が、その袋がパンパンになるくらい家に溜まっている。しばしば使っているが全然減らない。


 11/2に掲載された「レジ袋有料、来年7月から=中小含め全小売店で-政府:時事ドットコム」によると、2020年7/1以降、全ての小売店にプラスチック製レジ袋の有料化を義務付ける方針を政府が示したそう。「東京五輪・パラリンピック期間中には、レジ袋有料化を海外にアピールしたい」という思惑によってこの方針が決まったらしい。オリンピックにはいいことなど何もない、と思っていたが、全くないわけでもなさそうだ。しかし、オリンピックをやらないとこの様な決断が出来ないのだとしたら、それはそれで情けないし、ほんの僅かな善政の為に、その本質とはあまり関係のないことに莫大な予算を割くのも変だし、馬鹿げている。

 有料化で一体どの程度の額になるのだろうか。現在有料化しているスーパーマーケットなどでは、袋のサイズによっても価格が異なるようだが、価格は概ね2-5円/1枚程度に設定されているようだ。スーパーマーケットを利用する層は、広告などで比較して1円でも安く商品を購入しようとする人も多く、例え2-5円程度の有料化でも相応にレジ袋利用の削減効果はありそうだ。またスーパーマーケット等は、勿論思いつきで寄る場合もあるだろうが、多くの人が「買い物をするぞ」という目的意識を持って向かう場所であり、予めバッグを持って出かけることが比較的容易なタイプの利用客が多そうだ。
 しかしコンビニはどうだろうか。勿論コンビニにだって目的意識を持って行く客も多い。昼食等の調達などはその典型的な例だ。しかしコンビニでは、スーパーマーケットと違ってフラッと寄る客も多い。フラッと寄った客はそんなに多くの商品は買わないだろうから、レジ袋が必要ない場合も多そうだが、フラッと寄る場合はバッグを持っていないことも多そうだ。また、コンビニの利用客はスーパーマーケットの客程価格にシビアでない。2-5円/1枚程度の有料化なら期待される程の削減効果はないかもしれない。また、コンビニでポイントカードを利用した場合の還元率は凡そ1%で、つまり200-500円の買い物でレジ袋代を相殺できる。小学生以下の利用客を除けば、1回の利用でその程度の額は軽く上回る買い物をする人が殆どだろう。
 そんなことから、レジ袋有料化は、スーパーマーケットでの削減効果はあるかもしれないが、コンビニではそれ程でもないかもしれない、と想像する。


 レジ袋の削減に関連して、Gigagineも11/3に「レジ袋を禁止するのは海洋汚染防止にそれほど効果がない」という記事を掲載している。あなたはこの見出しからどんなニュアンスを連想するだろうか。自分は、記事を読む前に「それ程効果はないからレジ袋を禁止する意味がない、レジ袋を禁止する必要はない」という話か?と想像した。しかしこの連想は正しくなかった。
 記事の内容は、「ポリ袋は海洋プラスチックの0.8%以下であり、全ての国がポリ袋を禁じても大きな差異は生まれない」という、デンマークの政治学者でコペンハーゲン環境評価研究所の前所長であるビョルン ロンボルグ氏の研究結果について書かれた記事であり、記事の見出しは決して嘘や捏造ではなさそうだ。またこの研究を元に、裕福な国でポリ袋を禁じる法律を作るよりも、発展途上国における環境ポリシーを充実させ粗悪な廃棄物管理体制を改善することの方が重要・海洋汚染防止の効果が高い、という主張がなされている、ということも書かれている。
 しかし、ポリ袋を効率的に使用し環境への影響を抑えることはムダ、とは全く言っておらず、2002年にアイルランドが行ったポリ袋へ課税する政策によって、国民1人あたりのポリ袋使用量を年間328袋から21袋にまで減らすことができたという例も挙げられている。つまり記事の内容は、「ポリ袋の削減も意味がないわけではないが、それだけでは対策はかなり不十分で、中国・インドネシア・フィリピン・ベトナムといった環境汚染に大きく関与している国や、今後発展に伴い廃棄物が増えるであろう地域での施策や、海に浮かぶプラスチックの70%が漁業で使われるブイや網に由来しているので、漁業に関する対策が確実に必要」という話である。
 つまり端的に言えば、記事の内容は「ポリ袋削減だけで満足してはいけない。対策として不十分」なのだが、「ポリ袋を削減しても効果はない(だからやらなくてもいい)」のようにも見えてしまう見出しが付けられている。恐らく、その現在の一般的な認識と異なるニュアンスを強調した見出しの方が、目にした人に「え?本当?どういうこと?」という認識を生じさせることができ、クリックに繋がるという見立てでこのような見出しが付けられたのだろう。しかし再三指摘しているように、世の中には見出ししか読まない人というのが相応にいるので、例えば東スポのように「あそこの見出しはいつも眉唾物だから」というような認識が定着している、しても構わないならそれでもいいのだろうが、そうでないのなら内容を適切に反映していない見出しを付けるべきでない。なぜなら、そのような見出しはあらぬ誤解を広めてしまいかねないからだ。


トップ画像は、cocoparisienneによるPixabayからの画像 を加工して使用した。

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