2004年以前は「痴呆症」と呼ばれていた「認知症」。認知症#表記改正への賛否議論 - Wikipedia にもあるように、痴・呆ともに「愚か」などネガティブなニュアンスを持つ文字で、差別的だと感じる人が多いという調査結果に基づいた名称の変更だった。自分は、「障害者」を「障碍者」としたり、「ハーフ」を「ダブル」とするなど、表記や呼称を変えたところで、その表記や呼称にかかわらず、揶揄する人は結局揶揄するし、悪意を込める人は結局悪意を込めるので、新たな表現も時間を経れば結局ネガティブなイメージになりかねないと思っており、基本的には呼称変更の実効性は限定的だと考えている。
しかし、この痴呆症から認知症への呼称変更に関しては、「ボケ老人」という1990年代までごく普通に用いられていた、蔑称とも言うべき表現も同時に減少しているように思うし、それなりに効果があったように思う。つまり前述の自分の認識には改める余地もありそうだ。
認知症#中核症状 - Wikipedia によると、認知症の主な症状には、
- 記憶障害と見当識障害(時間・場所・人物の失見当)
- 認知機能障害(計算能力の低下・判断力低下・失語・失認・失行・実行機能障害)
いったん正常に発達した知能が不可逆的に低下した状態と定義されているので、元から記憶や判断・計算能力が低かった場合には認知症に当て嵌まらないのかもしれないが。
昨日の投稿で、伝統あるアメリカのニュース誌・タイムが2019年の「今年の人」に16歳の環境活動家・グレタ トゥーンベリさんを選出したの前提に、トランプ大統領が彼女を揶揄するツイートをしたが、彼女を「今年の人」に選出したタイムにはそれを向けない。つまりトゥーンベリさんを「今年の人」に選出したタイムではなく、選出された彼女を揶揄するトランプ大統領は、攻撃しやすい対象を攻撃しているに過ぎない、ということを書いた。これも、トランプ大統領の記憶と判断・計算能力の低下が原因と考えれば、彼には認知症の疑いがある、と言えるのではないか。
こんなことを書くから「痴呆症から認知症へ呼称を変えても、今度は認知症という表現のイメージが悪くなるだけ」ということになる、と批判される恐れも理解しているし、認知症患者や関係者から「トランプなんかと一緒にするな」と言われてしまう恐れも理解した上で、自分は彼のことを揶揄している。これ以降も似たようなことを書くので、賛同出来ない人や、胸糞が悪いと思う人にはブラウザのタブを閉じることを勧めておく。
先日行われたイギリスの総選挙では、EU離脱の実現を謳うボリス ジョンソン首相率いる保守党が勝利した(終わってみれば圧勝だった。イギリス総選挙、保守党の勝利がもたらすものは。BuzzFeed Japan)。前評では離脱派と残留派は拮抗していると言われていたが、2016年に行われた イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票 - Wikipedia と同様に、離脱派が残留派を上回る結果となった。
イギリスでEU離脱派が少なくない理由として必ず挙げられるのは「移民の増加」である。「1からわかる「ブレグジット」(1)なぜEUから離脱したいの?|NHK就活応援ニュースゼミ」でもそれについて語られている。
「イギリスよりも過酷? 「やりがい搾取」で追い込まれる日本の宅配ドライバーの現実 BuzzFeed Japan」や「「不自由な自営業者」たちが追い込まれる貧困の泥沼…これは日本の未来か(望月 優大) | 現代ビジネス | 講談社」などでも取り上げられている、先日日本でも公開が始まった映画「Sorry We Missed You/ 放題:家族を想うとき」でも描かれているように、
イギリスでも日本と同様に、というかそれ以上に貧富の格差が拡大している(イギリスの貧困世帯には、健康な食も人間関係も届かない | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)。そんな労働者たちの一部は「移民に仕事を奪われている」と感じているようで、それが、加盟国内の自由な往来を認めるEUのシェンゲン協定から脱し、国境管理を厳格化しようという話に繋がっている。
この移民に仕事を奪われる/移民が仕事を奪うという思考は英国特有のものではなく、ヨーロッパ諸国で極右勢力が台頭している理由もこれだし、メキシコ国境に壁を作る作る詐欺を止めないトランプ大統領を支持しているアメリカ国民にも、この思考が確実にある。日本における移民反対派の主な理由は、非日本民族の増加が治安の悪化につながるという話のようだが、日本の移民反対派にも移民に仕事を奪われる/移民が仕事を奪うという主張は少なからず見られる。つまり、この思考は世界共通と言っても過言ではない。
しかし、果たして本当に移民が既存住民の仕事を奪うのだろうか。自分にはこれも、認知の歪み、とすら言えないレベルの、著しく短絡的な判断による責任転嫁としか思えない。何故なら、既存住民から仕事を奪うのは移民ではなく、安い賃金で労働力を買い叩く企業や経営者だと考えるからだ。移民がいくら増えたとしても、企業や雇用主が安い賃金で労働者を買い叩かなければ、既存住民にアドバンテージが確実にある。同じ賃金を支払うなら、言葉がスムーズに通じて、且つ文化的にも近しい存在の方がメリットが大きいからだ。
自分達も労働力を安く買い叩かれている側なのに、労働者たちの一部は、なぜ労働力を買い叩いている企業や経営者・雇用主ではなく、自分達よりも更に立場の弱い移民に嫌悪の矛先を向けるのか。自分には、前述のトランプ大統領と同じで、攻撃しやすい対象を攻撃しているに過ぎないとしか思えない。日本人の30代以上なら誰でも知っているであろう、ザ・ブルーハーツの曲「Train-Train」に、
弱い者達が夕暮れ さらに弱い者をたたくという歌詞がある。この曲は1988年の曲だが、そんな状況は30年を経て今日もまだ続いているし、寧ろそんな風潮が強まっているようにすら感じる。このような認識や思考も、記憶と判断・計算能力の低下が原因と考えれば、認知症の疑いがある、と言えるのではないか。前近代的の日本では、庶民の政治嫌悪の矛先を少しでも緩和する為に、えた・ひにんという身分が設けられたという話があるし、ナチ等がユダヤ人の迫害を行ったのにも、同様の側面があると言われている。自分には、今はそれが移民などに置き換えられているだけ、のようにしか思えない。
TBS・報道特集の昨日放送回では 「中村哲さん~平和への思い」と題して、1984年にハンセン病医療の為にパキスタンへ赴任し、医療の充実の為には貧困の解消、貧困の解消の為には戦争で荒れた土地の再生が必要だとして、今日までパキスタンやアフガニスタンで治水/灌漑に取り組んでいたが、残念なことに武装勢力の襲撃によって12/4に他界してしまった中村 哲さんを特集していた。彼の死によって彼のことが報じられ、多くの人に知られるのはとても皮肉だ、と感じながらこの番組を見ていた。
中村哲_(医師)#思想 - Wikipedia にも、
アフガニスタンでの活動について、「向こうに行って、9条がバックボーンとして僕らの活動を支えていてくれる、これが我々を守ってきてくれたんだな、という実感がありますよ。体で感じた想いですよ。武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ。それを、現地の人たちも分かってくれているんです。だから、政府側も反政府側も、タリバンだって我々には手を出さない。むしろ、守ってくれているんです。9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。」と語り、憲法9条の堅持を主張した[25]。また佐高信に対しても「アフガニスタンにいると『軍事力があれば我が身を守れる』というのが迷信だと分かる。敵を作らず、平和な信頼関係を築くことが一番の安全保障だと肌身に感じる。単に日本人だから命拾いしたことが何度もあった。憲法9条は日本に暮らす人々が思っている以上に、リアルで大きな力で、僕たちを守ってくれているんです」とも語っているとあり、「「平和は目的でなく、結果でしかない」──21世紀に生きる私たちへの中村哲医師のメッセージ | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト」でも、
中村医師は、国際社会が強いるさまざまな形のダブルスタンダード(二重規範)を常に非難していた。2001年9月の同時多発テロを受けて、アメリカは10月にアフガニスタンに対して空爆を行った。そのときも中村医師は、超大国アメリカの武力による解決を批判した。アフガニスタンへの自衛隊派遣に対しても「有害無益」だとして批判的な考えだった。と紹介されているし、 報道特集でも同様の内容を放送していた。
このように、中村さんは憲法9条の堅持、集団的自衛権行使反対の立場を明確に示していたにも関わらず、日本人の一部には、中村さんの死を理由に「9条は日本人の命を守れない」と主張している者がいる(中村医師が亡くなった事で、憲法9条議論を始める人達まとめ - Togetter)。しかもそんな者が与党・自民党の政治家にもいるのが実情だ。
残念ですが「憲法9条」は他国の攻撃から日本人を守らないことを証明してしまいました。中村哲医師のご冥福を心からお祈りします。— 小野寺まさる (@onoderamasaru) December 5, 2019
【アフガンで活動の医師・中村哲さんに聞く:憲法、守るより実行すべきだ 9条はリアルで大きな力「日本人だから」命拾い何度も - 毎日新聞】https://t.co/xeLuUja9Tw
彼らの多くは「だから9条など必要ない。無くすか、日本も武力行使できるように変えるべき」のような論調なのだが、中村さんの死をそんな話の根拠に持ち出すなんて、中村さんへの侮辱にすら感じられる。
たとえば、日本だけでなく法治国家のほぼ全てに殺人を禁止する法律がある。しかし、殺人事件とその被害者はゼロにならない。だとしても「だから殺人罪など必要ない。無くすか殺人の予防が理由なら人を殺してもよいという法に変えるべきだ」という話には絶対ならない。それを考えれば、彼らの主張が如何に短絡的で認知が歪んでいるか、というかそんな言葉すら勿体ないくらい判断・計算能力に欠けた思考だと分かるのではないだろうか。つまり彼らにも認知症の疑いがあると言えるのではないか。
これを読んだ人がどう感じるかはそれぞれの自由で、批判するのもその範疇だと考えるが、認知症やそれを患う人達を貶すつもりは一切ないことを一応確認しておく。しかし、短絡的で合理性に欠ける主張を、恥ずかし気もなく出来る人達というのは、そしてそれを指摘されても認める事ができない人達というのは、認知症ではなかったとしても、何かしらの病に侵されれているのではないか?とも思っている。もし彼らが本当に病に侵されているのなら、社会全体への影響を最小限にする為にも、何かしらの治療が必要なのではないだろうか。
引っ込みが付かなくなって、前言の過ちに気付いても同じ主張を頑なに続ける人というのは相応にいるが、ここは、首相がついた稚拙な嘘を認めないが為に、官房長官や内閣府の役人ら取り巻きまで一緒になって、どうしようもない嘘を重ねる国だから。 https://t.co/g5IWMEDLfI— Tulsa Birbhum (@74120_731241) December 14, 2019
トップ画像は、Convegni_AncisaによるPixabayからの画像 と xiarimemechaによるPixabayからの画像 を組み合わせて加工した。