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世界の常識から置き去りにされ、荒果てている日本


 Abandoned は、見捨てられた、放棄された、荒果てた等を意味する。写真素材サイト・Unsplash で検索ワードに用いると、廃墟や廃車などの画像が多くヒットする。Abandonには、置き去りにする、という意味もあるので、Abandoned は、置き去りにされた、という意味もある。
 なぜこのワードに触れたのかと言えば、今の日本が世界の常識から置き去りにされている、日本が荒果てていると感じるような事案が昨日の報道の中にいくつかあったからだ。


 昨日は日本時間の22:00頃から、事前に予告されていたカルロス ゴーン氏の会見があった。カルロス ゴーン氏が金融商品取引法違反で逮捕・起訴された事案に関して、以前から日本の捜査機関・司法における問題点、自白をするまで保釈を認めない所謂人質司法などへの指摘が国内外からされていたが、昨年・2019年末にゴーン氏が密出国を果たしたことによって、殊更それが注目を浴びることとなった。
 東京地検はゴーン氏の密出国に関連して、オマーンの販売代理店の経理担当幹部と接触していたのに「覚えていない」などと記憶に反する証言をした疑いがあるとして、ゴーン氏の妻の逮捕状を請求し取得したり、弁護士は業務上委託を受けて保管、または所持する物で他人の秘密に関するものについては押収を拒むことが出来るのにも関わらず、ゴーン氏の弁護人を務める弘中 惇一郎弁護士の事務所を訪れ、パソコン2台を差し押さえようとして拒否されたりと、最早支離滅裂と言っても過言ではないようなことをしており、日本の司法が如何に世界から置き去りにされているか、荒果てているかが強く感じられた。

ゴーン被告妻に逮捕状 非公開尋問で偽証容疑―東京地検、異例の公表:時事ドットコム

ゴーン弁護団、地検によるPC差し押さえ拒否-押収拒絶権を行使 - Bloomberg


 日本が世界から遅れている、つまり時代錯誤も甚だしいと感じたのはこの件からだけではない。昨日は、2016年に起きた、神奈川県相模原市の障害者施設の元職員が同施設で入所者19人を殺害、入所者と職員26人に重軽傷を負わせた事件(相模原障害者施設殺傷事件 - Wikipedia)の容疑者・植松 聖被告初公判の日でもあった。
 これに関するBuzzFeed Japanの記事「描いたのは、被告の似顔絵。相模原事件、初公判に「実名」で参加した父の思い」や「「愚かな、浅はかな…」相模原事件、被告退出の初公判。傍聴した施設園長の思い」には、
弁護側は客観的事実を争わないとしながら、危険ドラッグや大麻の影響に言及。「責任能力について明らかにしていく」と主張したという
とある。ハフポストの「「とんでもない遺族への冒涜・侮辱」。雨宮処凛さんが語る、傍聴席で見た植松聖被告の姿とは。」にも、
大麻や危険ドラッグの常用などで事件の約5カ月前、相模原市が措置入院させた際には、精神・行動の障害などと診断されている
とある。今朝のTBS・あさチャン!でも「弁護側が大麻精神病を理由に無罪を主張した」と報じていた。次の動画は「暴れて退廷 植松被告不在のまま、「やまゆり園」45人殺傷 初公判 TBS NEWS」に掲載されたものだが、あさチャン!で放送していたのとほぼ同じ内容だ。


 まず言いたいのは、人道に反する行為の責任を大麻に擦り付けるな、ということだ。大麻の影響で充分な判断能力がなかった事が、無罪を主張するに足る根拠になるならば、アルコール中毒と診断された者が、飲酒運転・人身事故を起こしたとしても責任を問うことが出来なくなるのではないだろうか。自分は法に詳しくないが、過去にそんな事案があるなら是非教えて欲しい。

 2018年10/18の投稿10/19の投稿でも書いたように、2018年10/17にカナダは大麻の嗜好品としての利用を解禁した。カナダ以外でも嗜好品としての大麻利用を解禁している地域はいくつかある。医療目的での使用も含めれば更に増える。このように、大麻解禁、もしくは非犯罪化/軽犯罪化が明らかに世界的な潮流だ。日本でまことしやかに囁かれ続けている大麻による精神病が事実なら、厳しく取り締まることを止めた地域は大きな過ちを犯していることになるだろうし、嗜好品としての使用を認めてから1年以上が経っているカナダでは大麻精神病が深刻な社会問題になっているはずだ。しかしそんな報道は一切ない。
 そもそも、国外では1990年代以降医学的な見地に基づく大麻に関する研究がなされ、賛否両方を示唆する研究結果が複数示されているが、日本では厳罰主義の影響で殆ど研究がなされていない。そんな国が示す見解にどれ程説得力があるだろうか。「大麻の医学的研究 - Wikipedia」によれば、
WHOは大麻精神病という疾患は明確に定義されていないのが実情であり、さらに推定される症状も統合失調症など他のすでにある精神疾患と判別がつかないため、大麻精神病を確認するには研究による証拠の提出が必要となるとしている。
そうで、そんな実態も定かでないことを理由に無罪が主張できるのだとしたら、もう何でもアリではないだろうか。

 凶悪な犯罪が起きる度に、且つてはテレビや映画やロック、そして1980-2000年代はゲームやマンガなどによる影響が指摘されてきた。それらの影響があまり槍玉に上がらなくなったかと思ったら、今度は大麻の影響か。認知の歪んだ責任転嫁は今後もなくならないのだろうか。


 日本てのは本当に後進国だな、というのがこれらの件に関する率直な感想である。


 トップ画像は、Photo by Matthew Henry on Unsplash を加工して使用した。

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