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矛盾ばかりで支離滅裂な日本の首相と、それを指摘出来ないメディアの不甲斐なさ


 これは東京メトロ・新宿三丁目駅のE7出口の写真である。自分は「矛盾」という言葉を聞く度にこの風景を思い出す。見ての通り、新宿三丁目駅の看板の前に新宿区新宿四丁目という住所を示す更に大きな看板があるからだ。googleマップや「構内図 | 新宿三丁目駅/M09/F13 | 東京メトロ」などで確認すれば分かるように、1959年に開業した丸ノ内線と1980年に開業した都営新宿線の新宿三丁目駅は、確かに新宿三丁目にあるのだが、2008年に開設された副都心線の駅があるのは四丁目だし、駅の出口は二丁目から五丁目までの広範囲に及んでいる。


  3/14、共同通信は「WHOトップ、安倍首相を称賛 異例の対応、リップサービスか | 共同通信」という記事を掲載した。


記事は、
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が13日の記者会見で、新型コロナウイルス感染症への日本の対応について「安倍(晋三)首相自ら先頭に立った、政府一丸となった取り組み」と称賛する一幕があった。
としている。テドロス氏が、日本がウイルス対策で新たに1億5500万ドル/約170億円を、感染国への緊急支援用としてWHOに拠出したことにも触れたとも書かれている。原文を見つけられなかったので、テドロス氏が実際に何と言ったのか、果たして記事の和訳が適当なのかは定かでないが、訳のニュアンスが間違いでないなら、テドロス氏は日本の首相や政府、厚労省などと同様に「都合の悪いことから目を背けている」と言えるだろう。

 何故なら、そのテドロス氏が「すべての国に訴えたい。検査、検査、検査だ。疑わしい例すべてに対してだ」という見解を示したと、今日報道各社が一斉に伝えているからだ。

WHOトップ「検査、検査、検査」連発し隔離徹底要求


新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の数字を読む - 下條信輔|論座 - 朝日新聞社の言論サイト」に、各国の検査数等を比較した表が掲載されている。他でも各所で指摘されているように、日本は他国に比べて検査数が極端に少ない。この表は概ね3/9時点の数値をまとめたもので、米国の検査数は日本以下だが、この数日で米国も積極的に検査を行う方向に移行している。しかし日本の検査数が他国に比べて極端に少ない状況であることに変化は見られない。


これらを勘案すれば、テドロス氏が「首相自ら先頭に立ち、政府一丸となった日本の取り組みを称賛した」のが事実ならば、そこには大きな矛盾を感じざるを得ない。


 昨夜、G7首脳が緊急のテレビ会談を行ったそうだ。安倍氏はその直後に記者に向けて声明を発表し、その中で
ウイルスに打ち勝つ証しとして(東京オリンピックを)完全な形で実現することにG7の支持を得た
と述べたそうだ。

【ノーカット】新型コロナ G7緊急テレビ会談後会見


「オリンピックの完全な形での実現」とは一体何を意味しているのか。それが明確にされない発言からは、「完全な形」という如何様にも解釈できる表現を用いて優良誤認を誘おう、という意図が感じられた。
 個人的には、「完全な形でのオリンピック開催」は予定通りで何も変更のない開催、時期・規模・日程、勿論観客も予定通り入れて行うオリンピックの開催を示している、と考える。その認識には間違いないようで、橋本五輪担当大臣は今日の閣議後の会見で、「(首相発言は)予定通りの日程で、無観客などではないということか」と問われ、延期も規模縮小もせず、観客も入れて予定通りに開催する、という認識を、改めて示した。

五輪「観客あり、延期なし」へ準備 橋本五輪相が認識 - 東京オリンピック [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル


 つまり、安倍氏がテレビ会談後に示したのは「G7首脳が予定通り東京オリンピックを開催することを支持した」ということだ。
 しかし、トランプ米大統領が、
専門家は新型コロナの流行について7、8月ごろまでと話している。だから、それぐらいの期間にわたる可能性がある
と会見で述べたと、今日昼のニュースで各社が一斉に報じている。

「新型コロナは夏まで流行か」とトランプ大統領


7-8月までは新型ウイルスの流行が続くと認識している米大統領が、果たして本当に7-8に開催される予定の東京オリンピックを予定通り開催することを支持したのだろうか。

 前述したように、安倍氏は会議後に示した声明の中で、
オリンピックについては、人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証として、東京オリンピック・パラリンピックを完全な形で実現するということについて、G7の支持を得たところでございます。
 このコロナウイルスとの戦い、大変手強い相手ではありますが、G7でしっかりと結束して、国際社会で共に戦っていけば必ず打ち勝つことができるとそういう認識で一致ができたと考えています。
 完全な形で実施するということで、G7で一致したところであります。
と述べたと、日本の首相官邸も伝えている(令和2年3月17日 G7首脳テレビ会議についての会見 | 令和2年 | 総理の一日 | ニュース | 首相官邸ホームページ)。
 しかし、米大統領官邸・ホワイトハウスが、昨夜のテレビ会議を受けて掲載した「G7 Leaders’ Statement | The White House」では、Olympic にも Tokyo にも全く触れられていない。勿論、それらの言葉を用いずにオリンピックの開催に関して何かを感じさせる要素も一切ない。G7 Leaders’ Statement は日本語にすると「G7首脳声明」である。安倍氏の示した見解は本当に実状に即しているのか。自分には全くそうは思えない。


 これらに矛盾を感じない人は間違いなく鈍感、もしくは見たくないものから目を背けている。

 果たしてこれらの矛盾の元凶はどこにあるのか。個人的には全てに関わる安倍氏が原因である恐れがかなり強いと考えている。また、これらのような矛盾を積極的に指摘出来ない日本のメディアも確実にどうかしている。最早今の日本を取り巻く環境は

 矛盾が多過ぎて支離滅裂だ

と言っても過言ではない。

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