森友学園問題における、財務省による公文書改竄事件に関連して自殺した職員の遺書が出てきた(「すべて佐川局長の指示です」森友事件で自殺した財務省職員「遺書」入手 | 文春オンライン)。早速そのことが昨日の国会でも取り上げられたが、財務省 茶谷官房長は「一連の問題についてのけじめをつけたものと思っている。再調査を行うことは考えていない」と述べた。どうしてこうも毎日、”ひっくり返りそうになる”ことが起きるのか。
【報ステ】「佐川局長の指示」自殺した職員の手記
NEWS23ダイジェスト TBS NEWS - TBSの動画ニュースサイト(2020.3.18放送分)
財務官僚だけでなく、この事件の引き金になった「私や妻が関わっていれば、総理大臣も国会議員も辞める」という発言をした首相自身も(東京新聞:森友文書改ざん「本省の指示」 自殺職員の妻、佐川氏と国を提訴:社会(TOKYO Web))、改竄事件に関して、
財務省においては麻生大臣のもとで事実を徹底的に明らかにしたと、昨日記者に対して述べた。
近畿財務局の元職員自殺で総理「本当に胸が痛む」
あまりにも酷いので呼び捨てにするが、安倍は、麻生がこの件に関してどのような最終報告を行ったのか、を覚えていないのだろうか。財務大臣である麻生は、2018年6月、同事案に関する調査報告書と職員に対する処分を財務省が公表した際に、記者から「なぜ文書を改ざんする必要があったのか」と問われ、
それが分かれば苦労しない。それがわからないからみな苦労している。これがどこからスタートしたのか。佐川自身が局長として改ざんしろと、書き直せと言った形跡がありませんもんでと言っていた(麻生氏、改ざん動機「分かりゃ苦労しない」 辞任は否定:朝日新聞デジタル)。 これを安倍が「財務省においては麻生大臣のもとで事実を徹底的に明らかにした」と認識しているのだとしたら、首相は当然のこと、国会議員、政治家として、というか分別のある大人としての資質に著しく欠けていると言わざるを得ない。
因みに、NEWS23のダイジェスト映像なるものもこの投稿で引用したのだが、 TBSのNEWS23の扱いにも強い疑問を感じている。以前、TBS NEWSのサイトは NEWS23 の放送内容を伝える記事だけ文字起こししないので、NEWS23の放送内容は、記事化されているのに検索でヒットしない、と指摘した。だが最近は、ダイジェスト動画を掲載するのみで記事にすらしていない。他の記事や放送動画は少なくとも数日間は閲覧できる状態なのに、NEWS23のダイジェスト映像は前日分しか閲覧できない。TBS上層部にとって、というかその上の存在にとって、NEWS23はどれだけ都合が悪いのだろうか。
昨日はそれ以外にも、感染拡大による経済の落ち込みへの緊急対策として、政府と与党が1人あたり1万2000円以上の現金給付を検討している、という報道もあった。
コロナ対策「現金給付1万2000円以上」政府与党検討
この件についてはどの報道機関も軒並み、政府高官は「リーマンショックの水準を超える規模(の対策)が必要」としており、リーマンショック時に実施された給付額・1万2000円を上回る額の給付を検討している、と伝えている。
しかしこの話はどうも腑に落ちない。何故なら、たった3日前の記者会見で日銀 黒田総裁が、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響について、
リーマンショックほど大きく実体経済が落ち込むとは誰も見ていないと述べていたからだ(黒田日銀総裁「リーマンとは違うショック」 新型コロナ、影響長期化も:時事ドットコム)。
しかも、そのような見解を示したのは黒田氏だけではない。
西村経済再生担当相「リーマンショック並みの消費マインド」 TBS NEWS
この記事のタイトルは、西村氏が「リーマンショック並みに消費マインドが悪化している」という認識を示した、ということになっているが、西村氏はこうも言っている。
金融危機が実体経済へ波及したリーマンショックと比べ、今回は感染拡大による実体経済の悪化が金融市場に影響しているこの発言について、記者は「リーマンショックの際と状況が異なっていると強調」と分析している。また記事の最後には、前述の黒田氏の示した見解と、財務大臣 麻生が3/13に示した
リーマンショックの時とは全く違うという見解にも触れている。
そもそも、この数日間の米国株価市場や日本の株価の暴落を見ていて「リーマンとは違う」とか、「リーマンショックのようにはならない」という認識を、政府の経済政策を担う要人が揃いも揃って示しているのだから、今後も日本の経済は更に深刻な事態に陥る懸念がかなり高い。また、リーマンショックのようにはならないと予測しているのに、なぜリーマンショック時の給付額を超える対策が必要になるのか、ということも全く説明がつかないし、大きく矛盾している。
よくも毎日こんなにも、”ひっくり返りそうになる話”が次々と出てくるものだ。こんな政権の支持率が未だに40-50%もあるというのだから、もしその数字が実態に即しているのだとしたら絶望感しかない。こんな支離滅裂な政権が支持されているようでは、一人ひとりの日本人を含めて、日本全体が今後更に国外からの信用を失うことになる。
トップ画像は、Photo by Quino Al on Unsplash を使用した。