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焼け石に水、暖簾に腕押し


 干ばつによる水不足が深刻化している時に、「少しでも水を貯めよう!」とどれだけバケツを並べようが、雨が降らないなら全く無意味だ。「世帯に何人いようが関係なく各世帯に布マスク2枚を配布」や、直近の資金繰りが厳しく廃業の危機に晒されている者も多いのに、「年末までの間に今までと比べて収入が半減していれば助成金給付」なんて話は、そんな焼け石に水の最たる例だろう。
これまでの人生の中で、最も強く「焼け石に水」だと感じたのは、津波被害を受けてメルトダウンを起こし、冷却装置にも支障が生じた為に更なる放射能拡散の恐れがあった福島第一原発に対して、少しでも温度の上昇を避ける為にと行われたヘリコプターからの放水だった(福島第一原発へ自衛隊がヘリからの放水を開始、地上からは機動隊が高圧放水 - GIGAZINE)。
 当時はかなり緊急性が高く、策を講じる為の時間も殆どない中で考え出された苦肉の策だったのだろうが、ニュースで伝えられるその様子を目の当たりにして「全然水が建屋にかかってないじゃん…」とか、放射能の影響を最小限にする為だろうが、ホバリングせずにただただ建屋上空を通り過ぎながら、的を絞ることもなくヘリコプターから水を垂れ流す様子に「え?これ意味あるの?」と感じた。

 今回の新型コロナウイルス感染拡大については、既に感染拡大の懸念が明らかになってから約3ヶ月が経過している。2月の頭には感染者が確認されたクルーズ船が横浜港に入港しており、 どんなに少なく見積もっても既に2ヶ月は経過している。しかも、その間に各国も対応に当たり、また対応に失敗した例も複数あるにもかかわらず、日本の政府は相変わらず「焼け石に水」をやっているのが現状だ。
 自民党は東日本大震災当時、そして福島原発事故当時、散々当時の民主党政権の対応を批判/指摘していたのに、そして安倍氏は何度も「悪夢の民主党政権」と揶揄し続けてきたのに、策を講じる時間があったのに未だに「焼け石に水」をやっているのは、一体どのようなつもりなのだろうか。


 昼のニュースでは「都が緊急事態宣言に伴う休業要請をまもなく発表」などと伝えている。

都の「休業要請」発表へ 理髪店や百貨店は対象外


 国が緊急事態宣言を出したのは4/7、つまり今から3日前のことだ。なぜ宣言がなされてから休業要請の対象や補償の具体的な内容を検討し始めているのか。3月頭に休校要請を首相が突然言い出した際に、あれだけ「見切り発車だ」という批判を受けたにも関わらず、緊急事態宣言でも相変わらずだ。休業要請だけでなく、保育園対応も一本化されていない(緊急事態宣言、東京23区の保育園はほぼ全て「休園」か「自粛要請」に【新型コロナ】 | ハフポスト)。こんな政権に行政を任せていても埒が明かない。


 朝日新聞の記事によると、都内のタクシー会社が乗務員全員、約600人を全員解雇する方針を示しているらしい。

東京のタクシー会社、全乗務員600人解雇へ 自粛影響 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル


 見通しのつかない休業補償に期待するよりも、確実に至急される失業手当を選んだ対応だそうで、会社自体もこの状況が収束まで休業するそうだ。しかし、もし失業手当が無くなる6ヶ月後に状況が好転していなかったらどうなるのだろうか。勿論その間に新たな職を探して、ということなのかもしれないが、感染症が一段落したら必ず景気が戻り、職が見つかるとも限らないし、そもそも6ヶ月以内に感染症が収束するという確証もない。苦肉の策とは言え結局は政府の無策のとばっちりだし、これから他にもこんな企業が増えたらどうなるのか、という不安しかない。


 この記事を書いている最中に都の休業要請と補償に関する発表があったようだ(東京都 感染拡大防止協力金に最大100万円 休業要請の事業者に)。現在も相変わらず休業補償に消極的な国に比べれば、小池都知事がそれよりは積極性を見せており、その所為か小池氏を評価する声があちこちから聞こえてくる。

東京新聞:<ルポ「緊急事態」>4000人、どこへ行けば ネットカフェ休業相次ぐ:社会(TOKYO Web)


しかし、休業要請の余波によって、都内に推定4000人いるとされるネットカフェで暮らす人達への対応などはまだまだ不十分なようだし、前述の保育所対応などを見ても、決して上手く対応しているとは言えない。

 昨日の昼のニュース、

理髪店、ホームセンター、ゴルフ施設は除外?休業要請で都と国が調整 TBS NEWS


では、小池氏が休業要請の検討について

スピード感重視でいきたいと思います
と述べている様子が映し出されていたが、彼女は五輪延期決定まで殆ど対応らしい対応を講じなかったこと、その後も自粛要請ばかりで補償に関しては一切触れてこなかったことを忘れてはいけない。そのようなことを勘案すれば、小池氏が重視しているのはあくまでも「スピード感」であり、決して「スピード」ではない。もしスピードを重視していたのなら、五輪延期決定以前から、少なくとも独自の自粛要請をするのと同時に、自粛要請に応じた休業によって生じる損失の補償などについて積極的に触れていたはずだ。今更「スピード感」なんて一体どの口で言っているのか。

 「スピード感」というのは非常に便利で、曖昧にすることが出来る日本語的な表現だ。迅速な対応をしなくても、結果的に迅速な対応にならなくても、「感」だけ出ていれば嘘にならない。つまり「スピード感」とは「努力はするが結果は保証できない」という無責任な表現と言わざるを得ない。


 同じニュースの中で、この感染症への対応も務める西村経済再生担当大臣は、店などへの休業要請について「2週間程度延期する」よう打診した、とも伝えられていたし、また都が休業要請の対象に含めていた施設の内のいくつかを対象から除外するようにと、都と調整を図っていると伝えられていた。
 西村氏が除外を求めた施設は理髪店やホームセンター、ゴルフ施設などだそうだ。


理髪店…理解できる。ホームセンター…生活に直結する小売店で妥当。ゴルフ施設…!?は?なぜ?ゴルフは果たして必要至急なことだろうか。運動は必要かもしれないが果たしてそれがゴルフである必要性はあるだろうか。ゴルフ施設は不要不急としか思えない。ゴルフ施設が対象から外れるなら、他の娯楽施設全般も、運動の為、ストレス解消の為などの理由で対象にする必要はないのではないか。
 これまでにも何度も、1-10まで指摘しなければならないような見当違いばかりする政府には何を言っても「暖簾に腕押し」でしかなく、早急に退陣させなければならない、と書いてきたが、この期に及んでまだこんなことを言っている。
 1ヶ月を目途に緊急事態宣言をしているのに、2週間程度延期が何を意味するのか、を介さず、何故かゴルフ施設を対象外にせよと言い出すような者と比較すれば、小池氏がまともに見えてくるのは当然だ。しかし、何度も書くが、彼女が3月中旬まで一切具体的な対応をみせなかったこと、今になってやっと補償に触れ始めたことだけは忘れてはならない。
 DV夫や彼氏(勿論妻や彼女でも)も、たまには優しい一面を見せる。その所為で暴力や暴言を許してしまう人がおり、その所為でDV夫や彼氏(勿論妻や彼女も)が更に付け上がるという話は往々にしてある。


 今日のテレビ朝日の昼のニュース、

安倍総理「一致できて良かった」 休業要請で合意


では、都が国と休業要請の内容に関して合意したことを受けて、安倍氏が

一日も早く皆で笑って語り合える日を迎える。この思いは国も東京都も全く同じだ。お互いに一致できたということは本当に良かったと思います
と述べた、と伝えた。
 未だにどこに行ってもマスクは殆ど店頭に並んでいない。だが、2/12には菅官房長官が「マスクの品薄状態「来週以降」緩和」と言っていた。確かにどれだけ時間が経過しようが、未来永劫来週以降ではある。しかしこの場合の来週以降とは、多くの人が来週、遅くとも再来週までには、つまり次の1週間以内のようなニュアンスとして捉えただろう。多くの人が「菅は嘘を吐いた」「政府に騙された」と感じているのではないか。
 また、安倍氏は3月冒頭に「この1-2週間が瀬戸際だ」と言っていたが、4月の冒頭になると今度は西村氏が「瀬戸際の瀬戸際だ」と言い始める。一体いつが瀬戸際なのか。そもそも瀬戸際とは何を指しているのか。いつまで瀬戸際が続くのか。
 たとえこの感染症が収束しても、嘘吐きが首相である限り、そして政府が隠蔽・改竄・捏造体質である限り、また、何かにつけて憲法改正だ!と言い出す火事場泥棒体質である限り安倍首相、緊急事態対応についての憲法改正「極めて重く大切な課題」と発言【緊急事態宣言】 | ハフポスト)、皆で笑って語り合える日などこない
 政府や自治体が民間に休業を要請するなら、今の首相を始めとした政府の面々には即刻廃業を要請する。勿論補償は一切なしで。



 トップ画像は、Photo by Joel Muniz on Unsplash を使用した。

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