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自粛要請・時短営業が、逆に密集に繋がっている恐れ


 錯綜、物事が複雑に入り組んでいること。入り交じって混乱すること(錯綜(サクソウ)とは - コトバンク)。まさに今の日本の状況を示すのに最適な表現ではないだろうか。「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えますから」という目論見で、466億円もの予算をかけて、何人家族だろうが1世帯2枚が各世帯に配られることになった、鼻を隠すと顎が出るサイズの布マスク。結局これが更に不安を煽ることになっている。

布マスクで「不安パッと消えます」 官僚案に乗って炎上 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えますから」。首相にそう発案したのは、経済官庁出身の官邸官僚だった。

東京新聞:アベノマスク、3社90億円契約 厚労省調達先、総経費466億円:政治(TOKYO Web)

厚生労働省は21日、新型コロナウイルスの感染防止対策として全世帯に配布する布マスクに関し、計90億9千万円の契約で3社から調達したと明らかにした。社民党の福島瑞穂党首の問い合わせに書面で答えた。政府は配布にかかる経費を466億円としており、福島氏は差額について問い合わせている。

 4/20の投稿で、安倍以外は誰も国が配布するという布マスクを付けていない。これは今日に限った話でなく、以前からずっとこの状況である、と書いた。今日の政府専門家会議に関するニュースの映像でも、使用されていたのは数週間-数日程度前の映像だが、誰一人として当該マスクを着用している者はいない。

午後 専門家会議「接触8割減 徹底」 TBS NEWS


 昨日は毎日新聞が

虫混入、カビ付着…全戸配布用の布マスクでも不良品 政府、公表せず - 毎日新聞


という記事を掲載していた。4/20の投稿では、一般世帯配布が始まる前に既に配布が開始されていた、妊婦/介護施設/学校向けに配布されたマスクの不良率に触れ、その程度なら問題視する程ではないとしたが、その後、妊婦配布用マスクの総配布数50万枚に対して7870枚と、不良率が1.5%以上に達した為か、厚労省は配布を一時停止した(妊婦用マスク配布一時停止 不良品7800枚に、原因調査―厚労省:時事ドットコム)。

 政府関係者がこの「不安がパッと消える」はずのマスクを首相以外誰もつけないことと、不良品が多数報告されていることを考えると、政府関係者は配布されるマスクがどんな代物かを知っていた、若しくは簡単に想像できたので、これまでも今も、同マスクを首相以外誰も着用していないのではないか?と思えてくる。つまり、首相が政府関係者からすらも信用されていないように見える。
 首相以外政府関係者が誰も付けたがらないマスクを配るのに466億円もの予算と、配送等にかかるコスト、策をまとめる為の時間を割いているような政府や首相が信頼できるか?寧ろ不安が増すばかりである。政府や首相が不安を取り除こうとして不安を煽るようでは、

 本末転倒

である。


 今日の昼のニュースでは、これらも伝えられていた。

スーパー入店人数を制限「早急に検討」小池知事、家族連れなどで混雑避ける TBS NEWS

混雑時間を店頭で表示 「ローソン」が“3密”対策

営業続けるパチンコ店 国と東京都は TBS NEWS

政府対策本部 休業要請問題など協議 TBS NEWS

  • スーパーマーケットが買い物客で混雑している
  • パチンコ店の7割が休業している為、営業店に人が集まっている
  • 政府は営業しているパチンコ屋を公表する方針
  • ローソンは24時間営業しているが、客の少ない時間帯の利用を促す
が、自分の注目した点だ。

 現在、世界で最も感染拡大が深刻なのはアメリカ・ニューヨークだ。4/16にニューヨークの死者数は1万人を超えた(米NY市の死者、一気に3700人増え1万人超に なにが起きた? - BBCニュース)。なぜニューヨークで感染が拡大したのかと言えば、同市が世界でも有数の人口過密状態だったこともその一因だろう。だがこんな指摘もある。

NY感染拡大「地下鉄の運行数減が原因」米大学教授


 これは4/17のテレビ朝日の報道だ。ニュース原稿には「ニューヨークの地下鉄が先月下旬から運行数を減らしたことが乗客の密度を上げ、感染拡大を加速させたと指摘」とある。これと同様の、イギリス・ロンドンの地下鉄でも、運行本数削減によって混雑する列車が増えた為、そこで感染が拡大したのではないか?という指摘もある。

 今、スーパーマーケットは時短営業している店舗が多い。買い物で店が混雑している理由には、この時短営業の影響もあるのではないか。混雑を緩和するには、営業時間短縮は寧ろ悪手なのではないか。
 また、今も尚営業を続けている3割のパチンコ店に集まる人達は、恐らく営業する店がある限り出向くような人達だろう。営業を続ける店の名を公表するのは、政府が「この店開いてますよ!」と宣伝することになるだけではないだろうか。手厚い補償と共に閉鎖を強制する措置をとらないのであれば、座席間隔を1つおきにするなどの制限を設けた上で、パチンコ店に営業を認める、などの方針の方が、政府の言う「クラスター発生」を抑えるのには寧ろ有効なのではないか。
 それを既にやっているのがローソンのように思う。24時間営業を維持し、混雑する時間帯を啓蒙して、比較的すいている時間帯での利用を促す。これこそが人の密集を抑制する為には必要なのではないか。責任を取りたくないが為に強制ではなく自粛要請と脅しで対応しようとしている政府や自治体には

 本末転倒

を強く感じる。


 ビーチの閉鎖を一部解除したフロリダ州で、解除された途端に多くの人がビーチに集まった、とハフポストが伝えている。

「ビーチ閉鎖」を解除したフロリダ、途端に人が押し寄せる【新型コロナ】 | ハフポスト


 今後どうなるのかは全然予想もつかないが、一部には収束には1年以上かかるという見解もある。人を家にずっと閉じ込めておくのは無理だ。長くとも1-2か月程度が限度だろう。一律外出禁止や自粛要請をするのではなく、住民/労働者の1/3くらいずつが2日おき程度の間隔で、密集を避けるという条件で自由に外出できるような仕組みを考える必要があるのではないだろうか。


 トップ画像は、Photo by Deleece Cook on Unsplash を用いて加工した。

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