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納税という課金で提供されるサブスクが行政


 最近は何にでもサブスクリプションサービスがある。最も身近なサブスクは動画や音楽の定期利用サービスだが、雑誌やアプリケーションソフトウェア、飲食店、洋服、自動車など各分野に広がりつつある。
 自分がこのサブスクを認識して最初に契約したのは、2011年に日本でもサービスを開始した動画サービスのHuluだったが、実はそれ以前にも、似た方式の月額定額サービスを契約していたことがある。

 サブスクリプション方式 - Wikipedia では、
商品ごとに購入金額を支払うのではなく一定期間の利用権として料金を支払う方式。契約期間中は定められた商品を自由に利用できるが期間がすぎれば利用できなくなるのが一般的
と定義されており、
  • 一定期間の利用件
  • 期間中は自由に利用できる
に当てはめると、PHSによる携帯電話/通信サービスを提供してたDDIポケットが、2005年にウィルコムに名を改めて始めた音声通話定額制や、Eモバイル(現Y!モバイル)の月額制ポケットWiFiを、Huluを契約する前から使っていた。期間中は自由に利用できる一定期間の利用件、という定義は、概ねどの携帯電話/通信サービスにも当てはまるので、現在のスマートフォンだってサブスクリプションの類だと言えるだろう。

 そう考えると、電気や水道、ガスなどもサブスクリプションサービスと言えるかもしれない。使用した量に応じた従量課金であり、使い放題ではないのでサブスクリプションとは言えない、という考え方もあるかもしれないが、例えば、クルマのサブスクを謳うトヨタの Kinto は、それ以前からあった自動車の個人リース契約だ。

【KINTO】クルマのサブスク、トヨタから


つまり、コミコミ定額と謳っているが、同サービスで自動車を使うには、他に間違いなくガソリン代が使う分だけかかる。次のCMは現在放映されているものではないが、


諸経費込みだから安い、と、自動車に関する出費がリース代だけで済む、かのようなニュアンスになっている。ガソリン代以外にも、自宅にクルマを止めるスペースがなければ駐車場代もかかるが、勿論その料金は別だ。

 ここで言いたいのは、「ガソリン代が従量制だから自動車リースはサブスクではない」ということではない。ガソリンは自動車とは別購入だから自動車リースはサブスクと言える、ガソリン代が別なのは当然、という考え方は勿論理解できる。その考え方を踏襲すると、電話の基本料金や電気ガス水道の基本料金は、クルマのサブスクで言えばリース代に相当するインフラ利用の定額料金で、そのインフラを用いた電気や水、ガスなどが使用に応じて従量制で料金が別にかかる、というのもサブスクと言えそうだ。
 つまりサブスクとは、厳密な定額使い放題ではない。飲食店や食料品のサブスクは利用できる上限が決まっている場合が多いし、衣料レンタルのサブスクも、月に何着までという上限があったりする。


 電気やガス水道などのインフラをサブスクと捉えられるなら、住民税という基本料金と、収入に応じた従量制の所得税、消費した額に対して従量制で課される消費税など、納税という課金をしている行政サービスも一種のサブスクと言えるだろう。免税や減税という措置があり、中には納税という課金をせずにサービスを受けている人もいるので、サブスクとは言えないのでは?と考える人もいるかもしれない。例えばAdobeのサブスク・クリエイティブクラウドには学割がある。一定の条件によって料金が免除されるサービスをサブスクと呼んでも差し支えはなさそうだ。

Adobe Creative Cloud学生・教職員個人向け | Adobe Creative Cloud


 例えば、動画のサブスクを契約していて、提供される動画の質やラインナップが料金が見合わないと思えば、世の中には見ないのに契約しっぱなしという裕福な人もいるだろうが、一般的には解約か別のサービスへの乗り換えを検討するはずだ。
 日本にはNHKという、かなり高額でテレビを買うと強制的に契約を迫られる動画サブスクが存在している。基本的にNHKの契約を他へは乗り換えられない。乗り換えられないのにただただ黙って料金を払うのはあまりにも馬鹿らしく、提供されるサービスが料金に見合わなければ、料金が見合わないので、
  • サービスの質を料金に見合う内容にしろ
  • 料金をサービス内容相当に値下げしろ
  • 強制加入を止めて自由契約制にしろ
などと注文を付けるのが合理的な対応だ。この話に異論がある人はかなり少ない筈だ。


 しかし、皆強制的に税金という課金をされているのに、何故か行政サービスに関しては、「政治は誰がやっても変わらない」なんて格好をつけたことを言う人が結構いる。一般的に、見もしない動画サブスク、聞きもしない音楽サブスク、読みもしない雑誌の定期購読、ほとんど乗らないクルマのリースをしている人は、ズボラな人として影で笑われる対象にすらなるのに、納税という課金をしつつ「政治は誰がやっても変わらない」なんていうと、なぜか格好がついてしまう日本の状況はかなり不可解だ。
 実際のところ、現在の日本の国際選挙は小選挙区制で、一度の選挙で選ばれる議員は概ね1人だし、自治体の首長選で選ばれるのも1人だけだ。つまりどうやっても「誰がやっても変わらない」は絶対証明できない。それ以前に「政治は誰がやっても変わらない」なんて言っている人は概ね、各候補者の主張の違い、これまでの実績を理解せずに言っていることの方が自分の経験上多いし、18歳の頃の自分もそんな感じだった。

 この投稿で何が言いたいのかと言うと、

 行政は納税によって提供されるサブスクなんだから、誰がやっても変わらない、なんて格好つけてないで、ちゃんと投票に行け

そうしない人は単にズボラ、税金取られ放題のいいカモ、ということである。

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