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自由を尊重もしないし、民主的でもない党なのに自由民主を名乗る党


名前が立派過ぎて実体が見劣りしてしまうことを「名前負け」と言う。たとえば実用性とコストパフォーマンスがウリの軽トラックに、スーパーロイヤルサルーンなんてグレード名を用意したら、間違いなくそれは名前負けの要因になる。正義と書いてまさよしと読ませるなど、正しいという字を用いた名前は少なくないが、そんな名前の人が詐欺や強盗などの罪を犯したというニュースを見ると、名前負けしているな…と感じる。

 日本語には全く正反対の慣用表現もある。「名は体を表す」はまさに「名前負け」の正反対に位置付けられる表現だ。名は体を表すとは、名称は実体に即する、つまり、名称と実体は自ずと合致する、の様なニュアンスである。
現在のドイツの正式な国名は「Bundesrepublik Deutschland」で、英語にすると「Federal Republic of Germany 」、更に日本語に直せば「ドイツ連邦共和国」である。現在のドイツは限定的な統治権を保有する16の州からなる連邦制且つ、君主のいない共和制の国であり、このドイツ連邦共和国という国名は、現在のドイツの国としての実態に即している。つまりこれは「名は体を表す」の例だ。
 1990年10月までドイツは西側と東側の2つに分かれた国だった。所謂西ドイツは現在のドイツと同じ名称、通称東ドイツは「Deutsche Demokratische Republik / German Democratic Republic / ドイツ民主共和国」が正式名称だった。東ドイツの政治体制は5つの政党による議会制民主主義の体裁ではあったものの、ソ連を中心とした旧東側諸国の政治体制の御多分に漏れず、SED:ドイツ社会主義統一党が実質的な独裁政党として指導権を有していた。他の4つの政党はその補完勢力でしかなかった。つまり東ドイツは民主制ではなく、また近世までのような君主制ではないものの、独裁という意味では君主制にも似た状況で共和制とは言い難い状況だった。つまり東ドイツの国名「ドイツ民主共和国」は明らかに「名前負け」していた

 東ドイツのように名前負けしている国が日本のすぐ隣にもある。通称北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国だ。朝鮮半島の場合は東西ではなく南北に分断されたが、朝鮮もドイツと同様に第2次大戦後東側と西側に分断された国である。
 北朝鮮は東ドイツと同様に旧ソ連側の国だった。北朝鮮の政治体制は、今も昔も朝鮮労働党による一党独裁である。一党独裁どころか、最高指導者の地位は金日成、金正日、金正恩と親から子への世襲が続いている。つまりその実態は間違いなく君主制の国だ。君主制且つ独裁が行われているのに、北朝鮮の国名には「民主主義」「人民共和」という文言が使われている。北朝鮮の国名は最早「名前負け」なんてレベルではなく、東ドイツよりもさらに盛っている。それは間違いなく優良誤認を狙った偽りの看板であり、羊頭狗肉と言う方が妥当だろう。


 実は日本にも、朝鮮民主主義人民共和国ばりに「名前負け」というか最早羊頭狗肉丸出しな政党がある。それは自由民主党だ。
 現在の安倍自民党政権は、政権を民主党より奪還した2012年の時点で既に「女性活躍」に言及している。

J-ファイル2012 自民党総合政策集 - j_file2012.pdf

女性力の発揮によるいい国づくり

女性の潜在的な力を活用することは成長戦略の原動力です。そのために、日本社会の基盤である伝統的な家族や地域の絆を大切にしつつ、社会全般の多様性の実現を目指します。
まずは、女性力の発揮による社会経済の発展を加速させるため、社会のあらゆる分野で 2020 年までに指導的地位に女性が占める割合を 30% 以上とする目標(“2020 年 30%”〈にぃまる・さんまる〉) の達成に向け努力します。

女性の就業環境の整備

女性への就労支援、特に子育て中の母親への支援として、再就職に積極的に取り組む企業に対する支援制度の創設、マザーズハローワーク事業の拡 充等を実 施するとともに、 資格取得についても支援し、就業と出産・育児の両立、つまりは継続して働くことが可能な環境を整えます。新しい家族像、家族ビジョンを踏まえ、夫婦が共に働き、共に家事を負担(協働・分担 )できるワークライフバランス※を推進します。
 大都市部を中心に保育所の拡充を図るとともに、放課後児童クラブ※のより一層の量的・質的向上だけでなく、待機児童が多い地域における自治体の取り組みについても支援します。

※ワークライフバランス 「仕事と生活の調和」の意味で、働きながら私生活も充実させられるように職場や社会環境を整えること。
※放課後児童クラブ 昼間保護者が家庭にいない児童に対し、放課後や長期休暇中、保護者に代わって行う保育。学童保育とも呼ばれる。
同資料15ページより

「2020年までに30%」は小泉内閣時代の2003年6月に決定した目標だ。ここで言う指導的地位とは国会議員や、中央省庁や民間企業の管理職のことである。
 安倍は、選挙などの度にこの「女性活躍」を声高に叫んできた。しかし昨日、毎日新聞がこのように報じた。

女性管理職3割目標 「20年30%」から「30年まで」に先送りへ 政府 - 毎日新聞

「指導的地位に占める女性の割合を30%程度」に上昇させる目標の達成年限について、「2020年」から「30年までの可能な限り早期」に繰り延べする調整に入った。現状では女性管理職などの割合は30%にほど遠く、「20年の達成は現実的に不可能」(政府関係者)と判断した。
記事によると、2003年当時は「目標」としていたのに、2015年には「努力目標」に格下げし、そしてその期限である今年・2020年に、今度は達成期限を10年も先送りするというのである。
  首相である安倍が「女性活躍・すべての女性が輝く社会づくり」というスローガンを幾度も叫び、2015年に「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律 - Wikipedia)」を成立させ、更に2018年には「候補者男女均等法(政治分野における男女共同参画の推進に関する法律 - Wikisource)」も勢力させているのに、後者が成立して最初の国会議員選挙だった2019年参院選について、与党・自民と公明は女性候補比率を全く無視した。

自公、女性擁立の数値目標見送り - ロイター


 そんなことをしておいて、目標達成がいよいよ不可能になると期限を先送りする。安倍、そして自民党が掲げた「女性活躍」が如何に名前負けだったか、というか寧ろ全く実 現する気もないのに掲げた羊頭狗肉だったか、これまでの経緯を見れば明らかだ。


 公約違反も甚だしく、現在男性に比べ尊重されていない女性の権利を確立する、言い換えれば女性の自由を確保する、つもりなど全くないのに、羊頭狗肉の「女性活躍」を叫んできたのが自民党である。自由民主党は「自由」を標榜する資質に欠けていると言える。

森友問題の再調査求め署名35万筆 自殺職員妻、首相充てに提出:東京新聞 TOKYO Web


 この記事の件に鑑みれば、「民主」に関しても名前負け・羊頭狗肉であることが分かる。

 自由を尊重もしないし、民主的でもない党なのに自由民主党を名乗る

のが、今の日本の政権与党である。

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