スーツとネクタイが大嫌いだ。と言っても、一種のファッションとして否定するつもりは一切ない。自分も数着はスーツを、何本かはネクタイも持っている。しかし馬鹿の一つ覚えのように毎日毎日、特にくそ暑い夏にそんなものを着るのはまっぴらごめんだ。毎日スーツを着ることを馬鹿の一つ覚えと揶揄したが、自分も馬鹿の一つ覚えで帽子はハンチングと決めている。好きで着ているなら、それを馬鹿の一つ覚えと揶揄するつもりはない。
若い頃は今よりも我が強く、結婚式などにもスーツを着ていかなかった。それくらいスーツとネクタイが嫌いだった。多分その強固なスーツへの拒否反応は、学校制服を強制されたことの反動だったと思う。何であんなものを着なくてはならないのか。馬鹿馬鹿しいにも程がある、と思っていた。
そんな自分にも、葬式には礼服を着ていくべきだ、という感覚はあった。ある職場の同僚の父親の通夜の帰り、クラブ友達だった女の子と偶然会って一杯飲みに行った時に、その子に「スーツ着てるとカッコいいね」と言われ、それまで大嫌いで着たくなかったスーツに対するアレルギーが少し緩和された。若い男なんてそんなものだ。
勿論、それで積極的にスーツを着るようになったかと言えばそんなことはなかった。だが、世の中でスーツを着るべきとされる場には、着ていくのもやぶさかでない、というくらいの気分にはなった。
今もスーツは出来るだけ着たくないし、ネクタイは相変わらず嫌いだ。だが、たとえTシャツでも、ジャケットを1枚羽織っているだけで、靴がスニーカーではないだけで、いつもが作業着で仕事をすることが多いだけに、そんな格好をすれば余計にちゃんとしているように見て貰えることを認識して、そんな服装も上手く(かはどうかは分からないが、少なくとも以前の頑なだった自分よりは上手く)使うようになった。
ただ、スーツを着てネクタイを締めていればなんでも信用されやすくなるか、と言えばそうとも言えない。以前していた仕事の現場で、日雇い派遣のバイトを使うことが何度かあって、スーツを着慣れていない、明らかサイズの合っていないスーツをだらしなく着ていたり、ネクタイの締め方が明らかに変な奴は、見るからにあからさまだった。ただそんな奴でも、ジーパンにTシャツより印象はマシだったはずだ。
「人を見た目で判断してはいけない」なんて話をよく耳にするが、見た目を判断の要素から全く排除することも容易ではない。つまり、”見た目だけ”で判断すると痛い目にあう恐れが高まる、ということであり、見た目も、人の良し悪しを判断する場合の要素として誰もが加味するものだ。
殆どの人が毎日スーツなんて着ることのない田舎町では、スーツにネクタイだと逆に怪しまれる、なんて話も耳にするが、都市部では、間違いなくスーツにネクタイの印象は概ね良くて、怪しまれる確立を下げられる。大雑把に言えば信用を得るのにスーツとネクタイは有効なアイテムだ、ということだ。
英語では詐欺師のことを con man と言う。con は confidence の略で、confidence という英単語の意味は、信頼・確信・信任などだが、confidence man になると急に詐欺師という、信頼のおけない存在になるのが興味深い。信頼をさせる(させて騙す)者、というような意味でそのような表現がされているようだ。最近日本では、あちこちで詐欺師染みた政治家が幅を利かせている。首相からして詐欺師のような男なのでそんな状況に陥るのも当然だろう。
新型コロナ感染拡大うけ 大阪「飲み会5人未満で」
大阪では未だに維新の府知事/市長らが一定の支持を集めているようだ。7/28に過去最多となる155人の感染が確認され、それを受けて府知事の吉村がこんなことを言っている。
人数は5人未満で抑えるようにして、大グループの宴会は20日間は自粛して下さい8/1から8/20まで5人以上での飲み会を控えるよう府民に求める、という話のようだが、既に感染者が再び増え初めて久しく、すでに拡大の只中にあるのに、なぜ今日からではなく3日後の8/1からなのかもよく分からない。そして、5人以上の宴会を控えることにどれ程実効性があるのかもよく分からない。
新型コロナウイルスは5人以下なら感染しない、ということはない。1人感染者がいれば、2-4人だろうが密接に関われば感染する恐れはある。また、バーカウンターがメインの小規模店などでは、2人の客が5組集まれば、それは10人で宴会しているのと何も変わらない。また、2人での飲食を、違う相手と毎晩繰り返せば、運が悪ければ感染は拡大する。つまり、5人以上での飲み会の自粛なんてのは、感染を防ぐ合理的な根拠に乏しい情緒的な話でしかない。
なぜこんな維新の首相が未だに一定の支持を集めているのか。それは吉村や松井がテレビに頻繁に露出して強弁し、一部のタレントや局アナなどが擁護する様子が頻繁に放送されているから、と言われている。テレビに出ているから信用できる、と考えるのは、スーツを着てネクタイをビシッと締めた詐欺師を、その見た目だけで信用してしまうようなものだ。
トップ画像は、Free-PhotosによるPixabayからの画像 を加工して使用した。