コロナ危機が始まった2月から今月まで1人も感染者が確認されていなかった岩手県でも、ついに感染者が。7/29の、一日あたりの全国の新規感染者数も1000人を超え、9府県で過去最多の感染者が出ている。6月下旬以降、日本で新型コロナウイルスの感染拡大が再び起きているのは明白だ。
新型コロナウイルス感染症まとめ - Yahoo! JAPAN
もう何度も書いているので飽き飽きしているが、実際に感染が起きてから症状が出るまでには2週間程度の期間があるようだ。日本では未だ積極的な検査が行われておらず、また濃厚接触者の定義も厳しく、無症状な者の検査は殆ど行われていない。つまり、公表される新規感染者数は概ね、症状が出てから検査を行った人の数であり、言わば2週間程度前の感染の可視化である。2週間はあくまでも目安だが、対策が2週間前と変わっていなければ、今後状況が好転する可能性は低い。
これを6月下旬から自分は感じているが、結局政府や地方自治体による積極的対策は講じられず、そして明らかに感染者数が増えていることを考えると、今もまだ行政対応は2週間前、というか6月下旬と対策に変わりがないのだから、今後も状況が好転しないことが強く予測される。というよりも悪化が見込まれると言った方が妥当だろう。
旧ソ連だったベラルーシの大統領・ルカシェンコ氏が新型コロナウイルスに感染したそうだ。彼は「ウォッカを飲めば大丈夫」など、新型コロナウイルスの脅威を軽んじる発言を繰り返している。
コロナ、「ウォッカ飲めば大丈夫」発言の大統領が感染 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
ルカシェンコはソ連崩壊後の1994年に初当選を果たし、その後憲法改正で多選を可能にしたり、有力な対立候補を拘束したりするなど強権を振るっており、欧州最後の独裁者と呼ばれている人物である(ベラルーシ大統領選 「欧州最後の独裁者」ルカシェンコ氏の6選なるか :東京新聞 TOKYO Web)。
ブラジルのボルソナロ大統領も、ルカシェンコ同様に「新型コロナウイルスはただの風邪」など、コロナウイルスを軽んじる発言を繰り返している。ブラジルでは7/29、新規感染者が6万9000人となり過去最多を更新。累計で250万人が感染、死者は9万人を超えている。人口2億1200万人のブラジルでは検査が行き届いておらず、実際の感染者数は発表よりはるかに多い、とする専門家もいるようだ(ブラジル、新型コロナ死者9万人超 感染者は250万人超える 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News)。
ボルソナロ自身も7/7にウイルスに感染、そして今日、彼の妻の感染が報じられた。
ブラジル、今度は大統領夫人がコロナ感染 ボルソナロ氏「私には抗体」:時事ドットコム
ベラルーシやブラジルに比べると、日本の状況はそこまでは悪くないし、首相や官房長官、担当大臣も、流石に「ウォッカを飲めば大丈夫」とか「新型コロナはただの風邪」なんてことは言っていない。だが、日本の首相や官房長官、担当大臣らが現実を直視せずに具体的な対策を講じていないことは明白で、つまり両者の間には、あからさまに「ウォッカを飲めば大丈夫」とか「新型コロナはただの風邪」と言っているかいないか、程度の差しかない。
一方で、コロナウイルスの感染が欧州で最も広がってしまった国の1つ・イギリスの、3月末に自身もコロナウイルスに感染したボリス ジョンソン首相は、新型コロナウイルスの感染拡大初期に政府はウイルスを十分に理解していなかったと認めた。
ジョンソン英首相、「違うやり方もあったかもしれない」 新型コロナウイルス対策 - BBCニュース
これまでの政治家としての振舞いに鑑みて、ボリス ジョンソンを好意的に受け止めることは全くできない。だが、そんな政治家ですら、コロナウイルスに関して間違いを認めることが出来る国と、そうではない国がある。感染の再拡大を認めずに対策を講じず、予防効果はあまり期待できないと指摘されている布マスクの再配布を企て、批判を受けて尚「マスクはかさばるものじゃないんだから備蓄しておけ」と言い放って強行しようとする日本の現政権は、間違いなく後者である。
ブラジル、ベラルーシ、そして日本における新型コロナウイルス危機は、最早天災ではなく人災だ。
内閣府の研究会が2012年12月から始まった景気回復の期間が5年11か月だったと認定し、政府が「戦後最長になったとみられる」としていたのと異なる結果になったという話を各メディアが報じているが、NHKはこんな記事も掲載している。
「政府の景気判断は間違いなかったと確信」 西村経済再生相 | NHKニュース
西村経済再生担当大臣は「アベノミクス景気の山がこのように判定されたのは残念ではある。ただ、政府としての景気判断は総合的に行ってきており、間違っていなかったといまも確信している」と述べました。簡単に言えば、景気が回復しているという認識は間違っていたが、政府の判断は間違っていなかった、と経済再生担当大臣の西村が言い張っている。ということだ。
なぜこんなことを言い張るのか。それは単に合理的思考が出来ないとしか言えない。もう少し厳密に言えば、2019年10月に強行した消費税増税についての整合性が失われるからだ。つまり、間違いを認めると何かと都合が悪いので道理の通らない話を強引に言い張っている、ということだ。
このように自分達の都合に合わせて認識を捻じ曲げ、道理の通らない話を強引に言い張る政府に、果たしてまともな感染症対策が期待できるだろうか。いや当然出来る筈がない。そしてこの西村という男が、現在感染症対策の担当大臣も兼任している。こんな状況を自分はとても憂慮している。だが、自分の周辺には今も尚政治に無関心な者が多くないし、このような状況への恐怖を感じていない者が決して少なくない。
政治は国民の生活と密接に関わっている。言い換えれば、政治は生活を大きく左右する。つまり日本に住む人の全てにとって政治は自分事である。そんな自分のことすら他人事にしか思わない人が少なくないのは、間違いなく日本社会の闇であり、病である。