スキップしてメイン コンテンツに移動
 

何も考えず、ただただ右へ倣えするだけ

  新型コロナウイルスに打ち勝った証として開催する、首相や関係者がそう豪語して開催されたのが昨夏の東京オリンピックだった。しかし、東京オリンピック開催中に感染爆発が発生し、その後も今年・2022年初頭に第6波が、そして7月頃からは第7波が発生、感染拡大が起きる度にそれまでの最悪を更新している。

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないのは日本に限ったことではないが、日本は検査もおざなりであり、実態把握すら怪しいなかで、今や世界でも最も状態の悪い国になってしまっている。


 オリンピックといえば、東京オリンピックが適切に開催されたかの点検や検証も行われないままに、政府や組織委員会、関係各所は、今度は札幌オリンピック招致に前のめりになっている。そんな中で、東京五輪・パラリンピック組織委員会の理事と、大会スポンサーで選手団がセレモニーで着用したジャケットなどを手掛けた紳士服量販店のAOKIによる贈収賄事件が発覚したのは先月・2022年7月のことだった。
 現在、自民党と統一教会の深刻な癒着が最も注目されていることもあって、このオリンピックにまつわる贈収賄事件は、そんなに大きくは注目されてはいない。しかしいろいろとちゃらんぽらんな東京オリンピックに関する極めつけの事案であることは間違いなく、全く報じられていないということもない。しかしこれについて、各種スポーツ団体や選手は沈黙している。オリンピック開催決定などポジティブな話題には飛びついて歓迎の意を示すくせに、これについて沈黙するということには、都合の悪いことは無視するんだな、という感しかない。


 水泳選手として数々の好成績を収め、また白血病と東京オリンピック出場にまつわるあれこれでも注目された池江 璃花子が、昨夏の東京オリンピック開催に関して、

私も、他の選手もきっとオリンピックがあってもなくても、決まったことは受け入れ、やるならもちろん全力で、ないなら次に向けて、頑張るだけ

と主張したことや、体操選手の内村 航平が、2020年11月に、オリンピック開催について

できないではなく、どうやったらできるかを考え、どうにかできるように考えを変えて

と述べ、その発言に関して、開催直前に、

ああやって言ったことで開催してもらえたとは僕は思っていない。選手が何を言おうか世界は変わらない。選手はそれぞれができることを一人ひとりがやり、感動を届けることしかできないのかなと思いますね

と振り返ったことなどは、強く記憶に残っている。
 決まったことに従うだけの選手が、何を言っても世界は変わらないと思っている選手が、どうやって観客に感動を届けることができるだろうか。出来るはずなどない。自分がやりたいことをやっているだけでしかないのだから。このようなスポーツ選手の発言から考えても、そして東京オリンピックにまつわる贈収賄事件に各団体や選手が沈黙していることから考えても、少なくとも日本のスポーツ選手は何も考えていないとしか思えない。何も考えず、ただただ右へ倣えするだけの人たちなんだとしか思えない。


 東京オリンピックの強行自体、スポーツ全般の印象を著しく毀損したが、それだけではなく、参加選手、いや参加しなかった選手も含め、ほとんどどの団体も選手も開催に異論を示さなかったこと、そして贈収賄事件が起きてもほとんど誰も批判もせずに沈黙していること、そんなことも各種スポーツ団体や選手の不健全さを示している。
 沈黙は意思表示だ。特に自分が関わる団体、業界、コミュニティなどの不正や不祥事について積極的に批判しないどころか沈黙するのは、黙認と思われても仕方がない。沈黙し結果として黙認するというのは、自分も同じ穴のムジナであると言っているようなものだ。

 同じことは政治にも言える、岸田は8/10に内閣改造を行ったが、新たな大臣や政務官のうちおよそ1/3が統一教会と関係をもっていた/もっていることが報じられている。これについて、党内から異論が出ている、という話は全く聞こえてこない。それもそのはず、自民党の国会議員のうち少なくともおよそ1/4が統一教会と関係していると報じられている。またこの1/4というのも、共同通信のアンケートに答えた議員だけの話であり、首相の岸田を始めとしてアンケートへの回答を拒否している議員が非自民議員も含めて120人以上もいて、仮にそれが全て関係をもっているとすると、自民党の国会議員の約半分が統一教会と何らかの関係をもっている恐れもある。またアンケートに誠実に回答していない議員がいる恐れを加味すれば、2/3以上になる、なんてことも考えられなくはない。


参考


このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。