ファブリーズのCMは大嫌いだ。一切目に入れたくない。Youtubeで流れてくれば即拒否するし、TVで流れていたらチャンネルを変える。それくらい嫌悪感を持っている。なぜなら、何でもかんでも過剰に臭い臭いと言いまくるからだ。最早、出演タレントらにも「そんな表現に違和感がない無頓着な人なのか」という嫌悪感を抱くレベルである。
トイレの臭いや部屋干しの生乾きの臭いをくさいと言う分には、そんな嫌悪感は生まれないが、営業活動かなにかで汗ばんだスーツの男性を、エレベーターに乗り合わせた大勢の女性が取り囲んで、くんくんと臭いをかぎながらくさいくさいとやるような表現だったり、ファーストフードや出店の焼きそばやイカ焼き、お好み焼きのにおいをくさいくさいと言いまくる表現だったり、そんなのがしばしばあるので、CMは一切見たくないし、ファブリーズという商品自体、販売元のP&Gの印象も最低だ。
昨日ツイッターで 香害は公害
というハッシュタグがトレンドにあった。シャンプーや柔軟剤の臭いが我慢ならない、無香性のものを使え!
という趣旨の主張の為のタグである。臭いについては、2018年4/18にも書いたことがあるが、そのときにも同様の話があって、多分同じ人たちが今も同じ主張をしているんだろう。
そんなに他人の臭いが気になるなら、他人と大きく距離をとれる地域に住めばいい。都会ではどうやったって集団生活になる。隣人の洗濯物の臭いが気になるなら、都会の集合住宅ではなく隣人と大きく距離の取れる郊外の一軒家に住むべきだ。まわりの人の髪の匂いや香り、服のにおいがそんなに気になるなら、満員電車に乗らなくても住むような地域に移住するか、公共交通機関は一切使用せずにクルマや自転車などを主体の生活をして、混雑を極力避けるようにすればいい。
香害は公害 というハッシュタグを肯定的に使ってる人たちの多くは、他人のシャンプーや衣類の洗剤のにおいなどを臭い臭いと言っている。自分には、幼稚園や公園で遊ぶ子どもの声がうるさい!と言う人達と同類にしか見えない。例えば、電車の中でくさややドリアンを食べているとか、何日も風呂に入っていないであろう臭いが漂っているとか、ゴミを貯めていて何かが腐った臭いが隣家から漂ってくるだとか、そんな状況なら臭いと言われても仕方がないだろうし、若者が住宅地の公園で夜中まで音楽をガンガンかけて騒いでいるなんて状況であれば、うるさい!と言われるのも当然だろう。だが、前者のようなレベルの話は、迷惑だ!という声のほうが過剰としか思えない。
公園内のバーベキュー施設から漂う焼き肉のにおいで平穏な生活が害され、精神的苦痛を受けたとして、男性が公園を管理する市に対して、バーベキュー禁止と損害賠償を求めた訴訟が以前あったが、男性側が敗訴している。毎日毎日24時間バーベキューが行われている、という状況なら理解する余地もあるが、絶対にそんなことはないし、多分平日や冬場なんかはちらほらとしか利用者はいないだろう。それでも一切においから逃れたいと言うのなら、においが気になって仕方がない側が別の場所に住む選択をすべきだ。
他人の出す匂いや生活音、振る舞いなどが過剰に気になってしまい、それが我慢ならないのであれば、自らが他人と距離を置く努力をすべきだ。
他人と大きく距離をとれる地域に住めばいい、と思い、そのようにツイートもした。だが、自分へのリプライではないが、こんなツイートをしている人がいた。
他人と距離のとれる場所に住むことは何の解決にもならない。なぜなら、ある日突然化学物質過敏症になる場合があるから。というのがこのツイートの趣旨だ。スギ花粉などにさらされ続けていると、それまでなんともなかったのにある日突然花粉症になってしまうこともある。だからスギ花粉自体を減らすべきだ、と同じような論法で、だから化学物質で香りづけされた洗剤や柔軟剤は使うべきでない、という話である。
この人の論にはツッコミどころが複数ある。まず化学物質とは?ということについてだ。独立行政法人製品評価技術基盤機構のサイトでは、化学物質について次のように説明している。
1.化学物質とは何ですか? -人工的に作ったものだけが化学物質なのではありません-
科学的には、元素や元素が結びついたものを、化学物質と呼びます。ですから、自然のものも、人間が作ったものも、全てが化学物質です。毎日、食べている塩はナトリウムと塩素からできた化学物質です。水も化学物質です。サトウキビなどから取れる砂糖は、このような複雑な形をした化学物質です。
化学物質とは、香り付けの為などに、人間が合成した成分だけを言うのではない。自然界に存在する花の匂いの成分だって化学物質の範疇だ。だから、この人の論が正しいなら、花屋は全て廃業させないといけないだろうし、花を愛でたり、屋内に飾ったりすることも、過敏症になる恐れがある、ということで禁止すべきということになるだろう。また、花に限らずどんな匂いも化学物質によるものだから、たとえばガソリン、オイル、料理、なんでも当てはまる。そんな話が妥当と言えるか。
また、この人が人間が合成した香りのことに限定して化学物質が云々と言っていると仮定しても、別のおかしさはある。人間が合成した化学物質によって過敏症が引き起こされる懸念がある、ということであれば、花や料理の匂いはそれに該当しないということになる。つまり、自然由来の匂いはOKで、人間が合成した香りがNG、ということだ。
しかし、だとしたら問題があるのは ”香り” ではなく 人間が合成した化学物質の危険性 だ。なのに、香害は公害 というハッシュタグと関連付けて、あたかも香り全般が問題かのように煽っているのはどういうことなのか。たとえば、近代以前は現在のように気軽に入浴できなかったから、身分の高い人達の間では、衣類に香を焚き染める、お香で衣類に香り付けする文化があった。おそらく 香害は公害 というハッシュタグを使ってる人の大半は、自然由来成分にこだわったお香で衣類に香り付けをしても、臭い臭いと言うだろう。つまり、香害は公害という話に、化学物質云々を結びつける事自体が詭弁としか思えない。
同ハッシュタグでツイートをしている人の中には、こんなに無香性の柔軟剤・洗剤があるからそっちを使え、と言っている人もいるが、無香性のものにだって間違いなく化学物質は含まれているのだから。
このようなことから考えてもやはり、香害は公害 というハッシュタグを肯定的に用いている人の大部分は、幼稚園や公園で遊ぶ子どもの声がうるさい!と言ったり、バスや電車の中でベビーカーを邪魔で迷惑だ!と言う人達と大して差はない、としか思えない。
参考:
トップ画像には、男性用 香り 香水 - Pixabayの無料写真 を使用した。