コメディアン/俳優として知られる小松 政男さんが、運転免許証を自主返納したそうだ。約60年間無事故無違反だったそうだが、6月頃に物損事故を起こしたことがきっかけになったらしい。返納にあたって「車がないと生活できない地域もある。免許を返上して生活に困るようではダメ。代替の交通手段にも配慮してほしい」ともコメントしたそうだ。
カーライフにサヨナラ、サヨナラ 免許自主返納の小松政夫 事故受け決意、にじむ啓発の思い:東京新聞 TOKYO Web
この記事にもあるように、小松さんは1960年代に俳優を目指して博多から横浜へ上京し、幾つかの職を経てクレイジーキャッツの植木 等さんの付き人になり、コメディアンとしてデビューを果たした。芸能界に入る前に経験した職の中にカーセールスマンもあり、その頃は話術を活かして好成績をあげていたそうだ。
1980-90年代を知る横浜市民・出身者なら、映画の上映前に流れる横浜トヨペットのCMが記憶にあるのではないだろうか。小松さんが特とする映画評論家・淀川 長治さんのモノマネで始まり、「僕はここのトップ・セールスマンだったんですよ」というセリフとは裏腹に、スクリーンに映るセールス実績を示す棒グラフでは、小松さんの成績はビリ、という1970-80年代の雰囲気が漂うCMだった。Youtubeで検索してみたが、映画館専用CMだったのか、流石に出てこなかった。1990年代、もしかしたら2000年代初頭まで使用されていたかもしれない。
そんな横浜にゆかりのある小松さんを、関内・馬車道で何度か見かけたことがあるが、テレビの中のふざけた印象とは違い、いつもビシッとした服装で颯爽としていてとてもカッコよかった。自分が前述のCMをよく見ていたのは馬車道に且つてあった映画館・東宝会館だったかもしれない。いや横浜駅の相鉄ムービルだったかもしれない。
横浜と言えば、8/22に毎日新聞がこんな記事を掲載していた。
横浜市民「なぜコロナ下で水道を値上げ?」 市の方針に疑問の声 - 毎日新聞
横浜市の水道料金が2021年に10-12%値上げされる、という話だ。記事によれば、横浜市のある神奈川県は、新型コロナウイルスの影響で増している経済的負担の軽減を理由に、県営水道の料金を10%減額しているそうで、横浜市の対応はそれと正反対の対応ということになる。横浜市は日本で東京23区に次ぐ規模の自治体だ。神奈川県の自治体ではあるが、政令指定都市である横浜は多くの分野で独自の行政を行っている。
横浜市が水道料金値上げを行う理由は、水道収入が2001年度の189億円をピークに減少傾向なことだそうで、減収の理由は、節水意識が浸透したことやトイレなど水回り設備の性能向上で使用料が減っているかららしい。つまり節水が進んだことで水道収入が減り、設備更新が出来なくなる見通しなのだそう。国が減価償却期間として定める40年を既に超えている水道管は、2018年度末時点で、横浜市内計約9300キロの内の25%だそうだ。今年・2020年の1月には、横浜市磯子区で、1973年から一度も交換されていなかった水道管が破裂し、周辺が浸水、近隣3万戸で断水が起きるという事故も起きている(横浜で3万世帯が一時断水…磯子区で水道管が破裂か : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン)。
市は毎年110kmの水道管更新を行っているそうだが、その更新量では不十分だそうだ。今後は1915年に開業した西谷浄水場の設備更新も必要で、20年間で1000億円がかかるらしい。そのような状況なら水道料金の値上げもやむを得ないと言えそうだが、逆に言えば、今よりも経済的に余裕のあった1980-90年代に対応を先送りしてきたことのツケが、現在に回ってきているとも言えるだろう。
ツケを将来に回す、と言えば、こんなことも報道されている。
横浜市のIR誘致、議事録作成せずに決定 市長と幹部の協議内容、検証できず - 毎日新聞
横浜市は、カジノ誘致決定に至った林 文子市長と幹部らの打ち合わせ記録や会議の議事録を作成していないという話である。昨今、国もコロナ対策の専門家会議の議事録を作成しないなど、森友学園問題に関連した財務省内での公文書改竄、自衛隊日報などの隠蔽が発覚し批判を受けてから、そもそも議事録を残さないという方向での証拠隠滅/責任逃れを図るようになっている。横浜市でも同様の手法が行政運営に用いられているということだ。
この記事を読んで、決して横浜市に限ったことではないが、この時代の大人は、将来政治に無関心だったことを馬鹿にされる時が来るだろう。そして、民主主義を形骸化させることに加担した人達として恨まれることになるだろう、と強く感じる。地方自治にしろ中央行政にしろ、政治に無関心であるということは、自分達の首を絞めることにとどまらず、次世代にそのツケを回すことでもある。自分の子どもや孫、その世代を苦しめたくないのなら、政治に無関心ではいられないはずだ。