安倍が記者会見を開き辞意を示した。ツイッターのタイムラインに「緊急記者会見」という表現を用いたツイートが複数流れてきた。中にはメディアの公式アカウントが緊急記者会見としているものもあった。数日前から会見が行われることが分かっていたのに、一体どこが緊急なのだろうか。
📺STVからのおしらせ
— STV広報 (@STV_FF) August 28, 2020
本日の「どさんこワイド179」は、
安倍首相緊急会見のために
放送内容を変更してお送りしています。
会見で辞意を表明することは事前に分かっていた。これまで大抵土曜の午後6時に会見の開始時刻を設定していたのに、なぜ今回は金曜の午後5時に会見を設定したのだろうか。自分はもし会見をテレビ等で見られる状況でも、あの顔を見たり、声を聞いたり、好き勝手にいい加減な話を並べたてるアレを見るとイライラが止まらないので、リアルタイムで、というか動画で会見を見るつもりはなかったが、そのようなタイミングで会見を設定したことにも、少しでも有権者の目から逃れたいという、アレと周辺の思惑があったのではないかと考えている。
会見を見ずに批判することはできないが、前述の理由で会見を見る気にはならない。だから官邸の文字起こしを読んだ。最後の最後までいい加減な美辞麗句を並べたてた上辺だけの演説だったし、一部を除いて記者クラブ所属メディアの質問も全くの茶番だった。安倍政権は長くとも後1ヶ月前後で終わりそうだが、その後も自民党政権は続くだろうし、この忖度メディアが揃った官邸記者クラブや主要メディアの政治部も続く。つまり安倍が辞意を表明しただで何かが変わるわけではない。次に首相/自民党総裁になる者が安倍Ver.2.0ならば、これからも酷い状況が続くことになるだろう。多くの有権者の無関心/他力本願が変わらない限り、政治も社会も変わらない。
安倍が辞意を表明するという話が明らかになって、一部で #辞任と逮捕はセットだろ というハッシュタグが盛り上がっていた。桜を見る会での公選法違反疑惑の大きさと、他の事案へ捜査機関の対応などを考えれば、逮捕拘束して取り調べを、と望む声が上がるのも決して不自然ではないし、著しく妥当性に欠けているとも思えない。しかし「安倍 逮捕」でツイート検索して出てくる中には、逮捕を懲罰、もしくは有罪の確定と勘違いしているとしか思えないツイートも決して少なくなかった。もし辞任と同時に逮捕がなされても、それだけでは何も終わらない。逮捕されても不起訴になることは多々ある。最低でも必要なのは起訴/立件で、本質的には合理的な追求と審理が必要である。
このような部分でも有権者の認識が変わらなければ、政治家や権力者の上辺だけの対応にまた騙されかねない。何か不適切な行為があっても逮捕だけで有権者が満足するなら、権力者は、逮捕>不起訴、という筋書きを実行するだろう。
共同通信が
安倍首相は自民党本部での幹部会合で、辞任の理由について「病気が理由で正しい判断ができなくなる」と説明した。出席した党幹部が明らかにした。
と、昨日の記者会見直前に報じた(病気が理由で正しい政治判断できないと首相 | 共同通信)。しかし産経新聞は、ほぼ同時刻に
安倍晋三首相は28日、関係者に対し、臨時代理を置かず、後任の首相が選出されるまで執務に当たると伝えた。
と報じた(安倍首相、臨時代理置かず - 産経ニュース)。病気で正しい判断が出来ないなら、即刻職を辞し代理をすぐに立てるべきだし、首相だけでなく国会議員も辞めるのが筋ではないだろうか。なにせ正しい判断が出来ない程病状が深刻なのだから。
しかし会見では、そのような矛盾を指摘する記者は誰もいなかった。日本のメディア、少なくとも主要メディアの政治部、官邸記者クラブ所属メディアの記者のレベルなんてそんな程度でしかない。有権者にも変わる必要があるだろうが、間違いなくメディアにも変わる必要があるだろうし、メディアが自主的に変わらないなら、そんなメディアがのさばっている状況も有権者が批判し変えなくてはならない。
また、メディアの多くは安倍政権の功績と今後の人事にばかりフォーカスしており、このままでは安倍とその周辺が行ってきた数々の不適切な行為への追求が有耶無耶になりかねない。もしそんなことを許したら、あの死神はまた舞い戻ってくるかもしれない。第1次政権でも急に放り投げて辞めたのに、2012年にまた首相に返り咲いたように。そんな懸念を込めて作ったのが今日のトップ画像だ。
このように、安倍が辞任しただけでは何も変わらない。日本の政治が正常化するか、社会の適正化が実現するかはこれからにかかっている。
余談だが、
「株価がナイアガラフォール」 安倍晋三首相の辞任意向報道で、株価が一時600円以上下落 | ハフポスト
こんな記事を読むと、安倍が如何に大企業や不労所得収入を得る者に向けた政治をしていたかが分かる。安倍辞任で株価が下がるということは、大企業にだけ都合のよい政治が終わる可能性がある、と多くの人が考えているということだ。政権が変わることで企業の業績の停滞や悪化による株価下落が起きる、と予想した人が売りに走った結果がこれなのではないだろうか。でなければ株価がこんなに急に下落することはなかっただろう。