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TikTokの問題から、日本の行政とメディアの問題を考える

 安全保障上の懸念を理由に、中国企業・ファーウェイの排除にトランプ政権が動き出したのは2018年だった。ファーウェイに限らず、中国の情報系企業への懸念は2000年代からあったが、具体的な動きはその前後からである。ファーウェイ製端末は現在も販売されているが、アメリカ製ハイテク部品やソフトウェアの供給を事実上禁止する措置が行われているため、Youtubeやgoogleマップなどのアプリケーションをインストールできない状態だ。


 現在ファーウェイに関する話題はやや落ち着いているが、 2019年12月にトランプ政権は、ファーウェイと同じく中国系企業が提供している、ショートムービーを投稿するSNSサービス・TikTokに国家安全保障やプライバシーの懸念があるとして、軍や沿岸警備隊で使用される端末での同サービスの利用を禁止した。
 更にトランプは8/6に、TikTokを運営するByteDanceが45日以内に米企業にTikTok事業売却の契約を完了させなければ、米国のアプリストアでのTikTokアプリ配布を停止する、という内容の大統領令に署名した。その後8/14に、期限を45日延長する大統領にも署名し現在に至っている(トランプ大統領、中国ByteDanceにTikTokの米事業を90日以内に売却せよとの大統領令 - ITmedia NEWS)。
 トランプは

ByteDanceは米国の国家安全保障を損なう恐れのある行動を取るかもしれないと確信する証拠がある

としているが、その証拠が一体どんなことなのか、具体的に明らかにされていない。因みに米国は、大量破壊兵器を保有しているとしてイラク戦争を始めたが、実際には大量破壊兵器などなかった。

 中国は独裁国家で監視社会だと認識しており、何が仕込まれているか分からないと考えているので、中国企業が主体的に開発/販売/提供する端末やアプリケーションを積極的に利用する気にはならない。だが、では米国・米企業は信頼できるのかと言えば、中国・中国企業よりはましかもしれないが、決して全面的に信頼できるとは思えない。つまりGoogleやTwitter、Amazonなどにだってプライバシーの懸念は強く感じる。個人的には米中どちらにも同様に懸念はあると考えている。なので、安全保障上の懸念を理由に軍や政府関係者の利用を禁止するという措置は理解出来ても、一般市民の利用まで排除しようとか、米国企業に買収されないと排除なんてのは、1980年代のジャパンバッシングの現代版のように思う。
 6月にオクラホマ州で大統領選に向けた集会をトランプが開いた際に、同陣営は100万人近くの申し込みがあったと強調していたにも関わらず当日は空席が目立ち、動員も当初の予想を下回る事態が発生したのだが、TikTokの利用者や韓流K-ポップのファンなど若者が、ソーシャルメディアで無料チケットに登録だけして現地に行かないというムーブメントを起こした結果とも言われている(TikTokユーザーの運動が原因? トランプ氏集会の空席 - BBCニュース)。現在トランプがTikTokの排除に躍起になっているのはその所為とも言われている。

 TikTokに関連して、こんなニュースが8/14に伝えられた。

TikTok運営会社、インドネシアで検閲 中国批判記事を削除 - ロイター

TikTokを運営するTikTokを運営する中国企業・ByteDanceが2018年から今年半ばにかけて、インドネシアのニュースアプリ・Babe上で、中国政府に批判的なコンテンツを検閲していたことが関係者6人の話で分かった、という内容である。
 TikTokを運営するByteDanceによる、中国政府に批判的な言説の検閲が報じられたのはこれが初めてではない。17歳のアフガニスタン系アメリカ人のフェロザ アジズさんが、メイク方法レクチャー風の中国政府によるウイグル人弾圧を批判するムービーをTikTokに投稿したろころ、アカウントを停止/動画を削除されたという話も、2019年11月に話題になった(17歳少女がメイク動画に見せかけて中国のウイグル弾圧を批判しTikTokアカウントが停止されてしまう - GIGAZINE)。

 中国企業によるこのような動きは、中国系企業が主体となって開発/提供/運営される情報端末やサービスには、国家安全保障やプライバシーの懸念がある、という印象を強化する。つまり信頼性に欠けるという話に説得力を与える。そのような論に違和感を覚える人は決して多くはないだろう。つまり、検閲によって政府批判を排除しようとする企業・組織には、国家安全保障やプライバシーの懸念があると考えられる、と言えるのではないか。
 では我が国ではどうだろうか。昨夏、首相や大臣を批判した市民を警察が排除するという事件が複数件起きた。

前段の定義に沿って考えると、TikTokと同様に、日本の警察には国家安全保障やプライバシーの懸念がある、ということになりそうだ。TikTokの排除を検討する必要があるならば、日本の警察も一度解体して組織を抜本的に作り直す必要があるのではないだろうか。この様な警察を野放しにしている、というか警察にこのようなことをやらせているのは間違いなく行政機関、つまり現政権であるから、現在の安倍自民党政権にも、程度の差はあれど、中国共産党政権と同種の懸念がある、と言えるだろう。

  また、日本のメディア、特にテレビは積極的、または消極的に政府に都合の悪い表現を排除しているように見えてならない。かなり雑かもしれないが、日本のメディア、特にテレビも、TikTok同様に国会安全保障上の懸念を抱えている、と言えるのではないだろうか。そんな日本のメディア、特にテレビが、TikTokが国家安全保障やプライバシーの懸念から問題視されている、なんて伝えているのを目の当たりにすると、「日本はつくづく人の振り見て我が振り直せが出来ない国」と思えてならない。



 トップ画像は、Gerd AltmannによるPixabayからの画像 を使用した。

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