スキップしてメイン コンテンツに移動
 

Why Japanese People!

 Why Japanese People! と叫ぶ、厚切りジェイソンという芸人をテレビで頻繁に目にするようになったのは、もうかれこれ5年以上も前のことだ。厚切りジェイソンさんは日本在住の米国人で、日本語や文化に対する素朴な疑問を上げつつ、お決まりのWhy Japanese People! というフレーズを叫んで自分でツッコむというスタイルの話芸を披露する(厚切りジェイソン - Wikipedia)。


 彼の芸風は外国人から見た「ここが変だよ日本人」の表現だ。しかしそのネタになるのは、覚え難い漢字や字面だけ見るとおかしなことわざ、または古い日本の習慣などばかりで、日本社会に蔓延る不条理や差別や偏見、政治的な分野には踏み込まない。
 日本の芸能界や芸能人というのは基本的に政治や社会問題に触れない。厚切りジェイソンさんもワタナベエンターテインメントという日本の芸能事務所に所属しているので、社会問題や政治的な話題を Why Japanese People!の対象とせずネタにしないのは、事務所の方針なのかもしれないし、若しくは日本の芸能界で活動する彼の処世術なのかもしれない。若しくは、2016年に夕刊フジがこんな記事を載せていることから考えると、

トランプ氏劇勝で明暗? パックンは土下座謝罪、厚切りジェイソンは的確コメント - 芸能 - ZAKZAK

米国のIT企業の役員でもあるジェイソンは、トランプ当選を受けて、「政治経験が全くないからこそ世界に刺激を与えてくれるのでは。経済をリセットさせてくれる」とビジネスマンらしい目線で新大統領に期待を寄せるコメントをしている。「トランプ支持を表明していたわけではないが、民放の特番でもトランプ氏の優勢に『ワクワクする』と発言。ビジネスマンでもある彼がトランプを評価するのは理解しやすい。今回の大統領選はコメンテーターとして仕事を増やすことに成功しています。全国紙の朝刊でも、厚切りジェイソンのコメントを入れている社が多くありました」とマスコミ関係者。

そもそも彼は、現在の日本の(に限らないかもしれないが)社会問題や政治的な動きに、違和感や不条理、非合理性を感じるようなタイプの人間ではないのかもしれない。
 そこにこそ Why Japanese People! と叫べるネタがゴロゴロしているのに、何とも勿体ない話だ。

 この週末だけでも Why Japanese People!と叫びたくなる話が沢山あった。

こんな政府なのに、日本人の約半分は現与党に投票すると言う。まさに Why Japanese People! だ。

 Why Japanese People! は決して現政権絡みの話だけではない。 社会問題が多数存在し、特に差別や偏見が平然とまかり通っているのが現状だ。

 さらに、政治や社会の問題を伝えるメディアも変である。比較的リベラルな外資系メディアのハフポストすら政権に忖度しているとしか思えない記事を載せる。

 厚切りジェイソンさんに新ネタを要求する以前に、

 誰もが Why Japanese People! と叫ぶべき状況

が広がっている。自分の住んでいる国が旧態依然の状況から進歩出来ず、というか寧ろ退化し、そして落ちていくのを見ているのはただただつらい。


このブログの人気の投稿

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになる

 攻殻機動隊、特に押井 守監督の映画2本が好きで、これまでにも何度かこのブログでは台詞などを引用したり紹介したりしている( 攻殻機動隊 - 独見と偏談 )。今日触れるのはトップ画像の通り、「 戦闘単位としてどんなに優秀でも同じ規格品で構成されたシステムはどこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も特殊化の果てにあるものは緩やかな死 」という台詞だ。

フランス人権宣言から230年、未だに続く搾取

 これは「 Karikatur Das Verhältnis Arbeiter Unternehmer 」、1896年ドイツの、 資本家が労働者を搾取する様子を描いた風刺画 である。労働者から搾り取った金を貯める容器には、Sammel becken des Kapitalismus / 資本主義の収集用盆 と書かれている。1700年代後半に英国で産業革命が起こり、それ以降労働者は低賃金/長時間労働を強いられることになる。1890年代は8時間労働制を求める動きが欧米で活発だった頃だ。因みに日本で初めて8時間労働制が導入されたのは1919年のことである( 八時間労働制 - Wikipedia )。

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

馬鹿に鋏は持たせるな

 日本語には「馬鹿と鋏は使いよう」という慣用表現がある。 その意味は、  切れない鋏でも、使い方によっては切れるように、愚かな者でも、仕事の与え方によっては役に立つ( コトバンク/大辞林 ) で、言い換えれば、能力のある人は、一見利用価値がないと切り捨てた方が良さそうなものや人でも上手く使いこなす、のようなニュアンスだ。「馬鹿と鋏は使いよう」ほど流通している表現ではないが、似たような慣用表現に「 馬鹿に鋏は持たせるな 」がある。これは「気違いに刃物」( コトバンク/大辞林 :非常に危険なことのたとえ)と同義なのだが、昨今「気違い」は差別表現に当たると指摘されることが多く、それを避ける為に「馬鹿と鋏は使いよう」をもじって使われ始めたのではないか?、と個人的に想像している。あくまで個人的な推測であって、その発祥等の詳細は分からない。