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発言の整合性に欠ける、首相を始めとした自民党関係者たち

 ブーメランとは、狩猟やスポーツに使われる棍棒の一種で、日本語では特に投げた後にある程度の距離を飛行した後に、回転方向と同じ向きの弧を描いて手元に戻ってくるタイプのことを指す(ブーメラン - Wikipedia)。スラングとしては、過去の発言と矛盾した言動をしていることが発覚した人物等に対しても使われる表現だ(ブーメラン効果#ブーメラン(インターネットスラング)-Wikipedia)。


 インターネットスラングとしてのブーメランという表現は、しばしば嘲笑を込めて「ブーメランwww」のように、しかも短絡的に使われることが多い為、個人的にはなるべく使いたくない表現だが、この投稿では敢えてこの表現を使うことにした。何故かと言うと、まさにインターネットスラングとしてのブーメランの典型的な例を、国を代表する最たる人物である首相自らが複数見せているからだ。

 まず一つ目は、10/20に菅の著書「政治家の覚悟」の新書判が出版されたのだが、単行本版にあった、民主党政権の東日本大震災対応に絡んで公文書の重要性を指摘する記述が新書では削除されたという話である。この本は自民党が野党だった2012年に出版された本だ。

菅首相の著書改訂「公文書重要」バッサリ削除|【西日本新聞ニュース】

 菅は安倍自民党政権で常に官房長官を務めた人物だが、同政権では前代未聞の財務省による公文書改竄事件が発生し、それ以外にも自衛隊の日報隠蔽など複数の公文書にまつわる問題が起きているし、政権の後半は都合の悪い議事録は残さない、若しくは隠すという風潮が蔓延していた。にもかかわらず、菅の著書から民主党政権の公文書管理を批判する部分が削除されたというのは一体どういうことなのか。
 記事には、西日本新聞の取材に対し文春新書編集部は

ページ数など全体のバランスを考え、編集部の判断で割愛した。特定の文言の削除を意図したものではない

と回答したそうだ。菅の意に反して編集部が勝手に原稿を書き換えた(当該部分を削除した)なら、公文書管理の重要性を訴える菅なら即座に異論を示しそうなものだが、そのような話は全く聞こえてこない。つまり編集部の判断という話になっているが、実際は菅サイドも了承した上での書き換え、若しくは菅サイドの要望による書き換えだったと見るのが自然ではないだろうか。
 しかもこの本のタイトルは「政治家の覚悟」なのだから笑えない。菅の覚悟とやらは、簡単に書き替えが出来てしまうようなレベルのもの、ということになるからだ。

 二つ目は、日本学術会議の会員候補6人を菅が任命拒否した問題について、

任命された会員は公務員になる。国民に理解される存在であるべきだ

と述べたという話である。

菅首相、学術会議会員は「国民に理解される存在であるべきだ」 具体的な判断理由語らず - 毎日新聞

記事によれば菅は同じインタビューの中で、任命拒否した理由について、

会員の人選は出身にとらわれずに、広い視野に立ってバランスの取れた活動を行っていただきたい。そういう意味で総合的・俯瞰的(に判断した)と申し上げている

と説明したそうだが、これは従来からの説明を繰り返しているだけだ。共同通信が10/17-18に行った世論調査の結果では、日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命拒否問題について、首相の説明は「不十分だ」との回答が72.7%だったそうだ(学術会議、首相説明不十分72% 内閣支持率60%、共同通信調査)。
 政府や首相は、学術会議にも増して国民に理解されなくてはならない存在である、ということに異論がある人はそう多くはないだろう。菅は学術会議に対して「国民に理解される存在であるべき」だと言っているのに、自分は世論調査で国民の72%が「不十分」という判断を示した説明を繰り返している。しかも「と申し上げている」と半ば逆ギレ気味の感すらある。
 学術会議に対して「国民に理解される存在であるべき」だと言うなら、まず自分が会員候補6人の任命拒否した理由を明快且つ具体的に示して、国民の理解を得るべきだろう。これを「自分のことを棚に上げる」若しくはブーメランと言わずして、一体何を言おうか。

 

 因みに直近では #野党時代の自民シリーズ と題したツイートが話題になっている。菅だけでなく自民党の議員が野党時代に言っていたことが、与党となった現状と矛盾していることを示したものだ。当該ツイートと、そこに挙げられた自民党議員らの野党当時のツイートを掲載しておく。

 このようなものを目の当たりにすると、公文書や議事録を残すこと、政治家などがどんな発言をしたか記録・ログを残しておくことが如何に大事かを再確認させられる。しかし昨今、政治家、特に与党の政治家らは、不適切な発言に及んでも謝罪すればなかったことに出来ると考えているとしか思えない。

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