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自民党にあらずんば日本人にあらず

 平安時代中期に勢力を拡大した藤原氏。その栄華を象徴するのが、藤原 道長が晩年に読んだとされる和歌「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば」だ。現代語に訳すと「この世はまさに自分の為にあるようなものだ。満月のように満ち足りていて足りないものなど何もない」という意味である。


 藤原氏の没落後、院政期を挟んで台頭したのは平氏だった。平氏も実権を握り栄華を誇った。平家で最も隆盛を誇ったのは平 清盛だとされているが、彼の義弟である平 時忠は「一門にあらざらん者はみな人非人なるべし」と言ったそうだ。現代語に訳すと「平家にあらずんば人にあらず」、つまり平家以外は人じゃないと言ったそうである。

 安倍政権や現菅政権の自民党を見ていると、藤原 道長や平 時忠に通ずる傲り高ぶりを感じる。憲法や法律の解釈を勝手に変え、公文書は改竄・隠蔽する。「それはおかしい」と指摘されても「批判は当たらない」「全く問題はない」と繰り返すだけで、「丁寧に説明していく」と言いつつ具体的な説明は一切しない。このような振舞いの原因はどう考えても、我々が全てである、常に私たちが正しく間違いを起こすはずはない、という考えが通底しているからと言うのは果たして言い過ぎだろうか。そんな風には全く思えない。
 そんなことを、タワーレコードの広告「No Music, No Life!」のパロディで表現したのが今日のトップ画像、

No Jimin, No Politics!
自民党でなければ政治じゃない!

だ。

 しかしもしかしたら彼らの頭の中はもっとヒドいのかもしれない。自民党でなければ政治じゃない!どころではなく、自民党にあらずんば日本人にあらず、と思っているのかもしれない。そんな風に感じるのは、自民党所属の足立区議が「LGBTの権利を法律で保護するのも反対」と、同性愛者は人にあらず、のようなことを平然と言ってのけたり、警察に政権批判を排除させたり、内閣が自民党政権に批判的な学者を、推薦を受けたにも関わらず日本学術会議に任命しなかったりしているからだ。

 「日本は独裁に向かっている」と言っても、政治に関心が薄い人は「何を馬鹿なことをいっているんだ(笑)」と思うだろう。政治に関心がある人だって自分の国が独裁に向かっている、なんて認めたくないだろうし、政治への関心が薄ければ尚更だし危機感も感じにくいだろう。しかし、法治や民主主義から独裁への変化というのはある日突然起きるものじゃない。そして、あからさまに「独裁します!」と言って独裁に向かうものでもない。そんなことをしたら反発されるのは分かり切っているからだ。つまり独裁というのは徐々にしかもなるべく気付かれないように侵行するものだ。場合によっては独裁化を進めている者すら「自分達が進めているのは独裁ではない」と本気で思っているかもしれない。イジメやパワハラに及ぶ人の多くが、自分の行為をイジメやパワハラと認識せずに行うように。

 しかし今の自民党政権は確実に憲法や法の解釈を勝手に一方的に、そして強引に変える。つまり法を軽視する傾向が強い。また、公文書改竄・隠蔽事案も頻繁に起きている。つい昨日もまた、2017年の海上自衛隊の部品調達に関する公文書に改竄の疑いがあると報じられている(大臣承認文書、偽造疑い 海自調達で不正、告発―防衛装備庁:時事ドットコム)。
 今の自民党が法治を軽んじ、人治に向かっているのは紛れもない事実だ。その事実を直視するかどうかはこの国の将来を大きく左右する。自分の子や孫の世代に胸を張れるかどうかの瀬戸際が今ここにある。

 

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