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汚職の横行は乱世に陥る理由の一つ

 三国志にハマる多くの人の入り口は、横山 光輝のマンガだろう。自分も小学生の頃に読んだ。しかし、テレビゲーム第一世代と言っても過言ではない自分の世代では、ファミコンから三国志に入った人も少なくない。今、三国志のゲームと言えば、最も有名なのはコーエーテクモだろう。テレビゲーム以前から続く同社のシミュレーションゲームシリーズは昨年14作目が発売された(三國志シリーズ - Wikipedia)。


 光栄(現コーエーテクモ)のシミュレーションゲーム「三國志」は、ファミコンでも最初のバージョンがリリースされていたが、ファミコンでは光栄の三國志よりも3か月早く、ナムコの「三国志 中原の覇者」が発売された(光栄・三國志 (ゲーム) - Wikipedia が1988年10/30発売で、三国志 中原の覇者 - Wikipedia は1988年7/29発売)。自分が初めて触れた三国志は、このナムコの中原の覇者が最初だった。光栄は1988年3月にファミコンで信長の野望 全国版を既にリリースしていて、初めて触れた歴史シミュレーションゲームはそれだったが、三国志はナムコ版が先だった。
 このナムコ版三国志で遊んだことがきかっけで、横山 光輝の三国志を読むことになる。そして翌1989年、ファミコン第三の三国志ゲーム「天地を喰らう」が発売される。天地を喰らう - Wikipedia は、週刊少年ジャンプで1983年から1984年まで連載された本宮 ひろ志のマンガだ。因みに自分はこのマンガのリアルタイム世代ではなく、マンガはゲームをプレイした後に後追いで読んだ。
 このカプコンが発売した 天地を喰らう (ファミリーコンピュータ) - Wikipedia が他の三国志を題材にしたゲームと違ったのは、シミュレーションゲームではなくドラクエタイプのロールプレイングゲームだったことだ。三国志シミュレーションゲームの場合、大抵プレイヤーは魏蜀呉のどれかの陣営を選んでプレイすることができるが、天地を喰らうはロールプレイングゲームである為、プレイヤーは劉備になってゲームをすることになる。つまり蜀以外の陣営を選べない。マンガも、かなり大幅なアレンジが加えられているものの、横山 光輝の三国志と同様に三国志演戯がベースになっており、劉備が主人公だ。
 現在のようにメディアの容量に制限が殆どない状態なら、マルチストーリーで曹操や孫権でプレイも可能、なんて企画になっていたかもしれないが、当時はかなり少ない容量でゲーム全体をやりくりをしていたこともあって、そんなゲームにならなかったのだろう。因みに、最初のドラゴンクエストの容量はわずか64KBで、ファミコンで最後に発売されたドラクエで、5章仕立てだった4でも512KBしかない。つまり当時は、最近のスマートフォンで撮れる写真1枚よりも、遥かに小さい容量でゲーム全体が作られていた。


 三国志にハマったことで、横山 光輝の項羽と劉邦や水滸伝も読んだし、水滸伝は光栄がシミュレーションゲームをリリースしたので当然プレイした。光栄のゲームは、ジンギスカン 蒼き狼と白き牝鹿 もプレイした。
 中国の歴史物語では、乱世に陥る理由に度々汚職の横行が出てくる。三国時代の直前、衰退期の後漢では宦官による汚職が横行していたとされており、後漢王朝が途絶える直接的な引き金になった党錮の禁もそれが背景にある(党錮の禁 - Wikipedia)。水滸伝は、汚職官吏や不正が蔓延していた北宋末期に、梁山泊に集まった豪傑が悪徳官吏を打倒し、国を救うことを目指す物語である。
 中国では、紀元前1000年頃に成立した周の時代に、既に汚職が5つの悪のうちの1つに数えられていたそうで、マンガ・キングダムで描かれる春秋戦国時代には「国の衰退滅亡は、大抵役人の不正によるもの。役人の不正は賄賂で便宜を図る実例によってさらに助長される」と言われていたようである。そのようなことに鑑み、中には「中国の歴史は汚職の歴史」とすら言う者までいる。

 勿論汚職は中国特有のものではなく、欧米でも、そして日本でも常に問題になってきた。平安初期・桓武天皇によって設置された勘解由使は、地方役人である国司が不正を働かないように監視することがその役目だった(勘解由使とは - コトバンク)。


 なにはともあれ、汚職の横行が幾度も国を滅ぼしてきたのは間違いない。汚職が悪政に繋がったケースもあるだろうし、汚職の横行によって統治者が信頼を失い反乱が起きたり、他国につけこまれたケースもあるだろう。兎にも角にも、汚職は不公平だからまずいだけでなく、国の統治機構に関する機能不全を引き起こしてしまうからまずいという側面もある

 どう考えても、現在、8年前に自民政権が成立して以降、日本は再び汚職の横行に陥っている。それだけは間違いない。首相が公然と公職選挙法違反をやり、それを隠す為に虚偽答弁を繰り返し、更に検察がそれを不起訴処分にする。勿論それだけに限らず、国有地が不当に安く払い下げられたり、特定の者に便宜を図るケースが後を絶たない。公選法違反をやっているのも、利害関係者に便宜を図るのも、当該首相に限らず、その周辺では同様の行為が横行している。
 こんなことがこの先も続けば、近い将来日本は政情不安定な状態になるだろう。汚職の横行に加えて、現政権下では政権批判をした者が警察によって排除されたり、政府方針に異論を唱える学者の排除なども既に行われており、政情不安定になれば政府が強権を発動しかねない。つまり、数年前の香港や現在のミャンマーが、数年後に日本で再現される恐れもあるということだ。香港やミャンマーの人達はみな口を揃えて言う。「自分達のようになる前に手をうつべきだ」と


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