以前勤めていた零細企業で、銀行融資を受けやすくする為か、急に銀行引退したおっさんが取締役になった。馬鹿げた高給ではなかったようだが、それでも、週2-3日、3-4時間事務所に来て新聞を読んでいるだけで、自分と同じかそれ以上に金を貰う人の存在には、モチベーションを著しく削がれた。
有給など全くとれないどころか、祝日も関係なく休みにならず、休日出勤しても代休もとれなければその分の金銭処理もなく、残業代も全く支払われない自分のような働き手がいる一方で、突然取締役として迎えられ、フルタイム勤務でもなく、事務所にいても何もせず電話すら取らないような人が同じ職場にいて、自分と同程度かそれ以上の給与を貰っていたら、やる気を削がれるのも当然だろう。
雇用者と被雇用者それぞれの契約なので待遇に差があっても問題はない、と言う人もいるだろう。百歩譲って、自分の待遇が労基法を遵守した内容ならば、そんな風に割り切れたかもしれない。しかし実際はそうではなかったし、勤務内容を考えれば不公平極まりないとしか言いようがない。
内閣官房コロナ室 1月の残業378時間の職員も:朝日新聞デジタル
内閣官房のコロナ対策推進室で、過労死ラインの80時間/月をはるかに超える残業を強いられている職員が多数いると、3/5に朝日新聞が報じた。1月に最も長く残業した職員は、378時間も残業をしていたそうだ。378時間を31日で割るとおよそ12.2時間になる。 これは1日の労働時間ではなく残業時間なので、通常の勤務時間が8時間だとすれば、1日の労働時間は20.2時間ということになる。通勤等にも時間はかかるので、この労働時間だと、1日の睡眠時間は多くても3時間に満たないのではないだろうか。
同室の平均残業時間は、11月(職員数89人)が約69時間、12月(95人)が約77時間、1月(102人)が122時間だったそうで、350時間越えという異様な残業が常態化しているわけではないようだが、それでも、そんな労働が強いられたことには違いない。内閣官房での事案なので、この件に責任があるのはコロナウイルス対応担当の西村、そして総理大臣である菅ということになる。
西村の勤務実態の詳細は分からないが、総理大臣である菅の勤務状況は、首相動静を見れば概ね明らかだ(首相動静(2021年1月):時事ドットコム)。それを見れば分かるように、概ね平日は朝8時頃から夜8時頃まで、土日祝は長くても数時間程度、実質的には勤務実態はないと言っても過言ではない。恐らくスケジュールの密度は西村も菅と大差ないだろう。つまり、部下には真っ黒な労働環境を強いているのに、担当大臣も菅も自分は労基法基準か、それに毛が生えた程度の勤務実態しかない。
これは、まさに日本のブラックな企業と同じ構造と言えるのではないだろうか。
西村に関しては、2/12にこんな報道もあった。
西村経済相の秘書官、3人交代 150日以上連続勤務も:朝日新聞デジタル
西村が大臣に就任してから1年4カ月で秘書官が3人も交代しており、150日以上の連続勤務を強いられた者もいた、という内容である。端的に言って、西村は部下が労基法を上回る労働をしていても関知しない、というか実質的には、部下に労基法を上回る労働内容を強いることを厭わない人物だと言えそうだ。
西村は、内閣官房のコロナ対策推進室で、過労死ラインの80時間/月をはるかに超える残業を強いられている職員が多数いたことに関して、昨日3/5の深夜に釈明会見を行ったそうだ。
月378時間の残業、西村大臣が陳謝 記者質問は受けず:朝日新聞デジタル
記事に因れば、西村は発言後、記者の質問は受けつけなかったそうだ。会見をわざわざ深夜に行い、しかも記者からの質問も受け付けないその姿勢や、「自身では「目が行き届かない」などとして、コロナ室の働き方の改善が進んでいるか、内閣府の和田義明政務官に継続的に確認するよう指示した」というところに、西村の責任逃れ体質が強く滲んでいる。
責任を取らない者が責任者の座に居座れるのは、どう考えても先進国ではない。しかもそんなのが、新型コロナウイルス対応担当大臣でもある。この投稿で最初に紹介した記事には、
政府は感染拡大防止策の一つとして民間企業にテレワーク(在宅勤務)の実施を呼びかけている。西村氏は2月17日の記者会見でテレワークが進まないことについて「言い訳は通じない」「今できなくてどうするか」などとも発言していたが、足元のコロナ室で、11月~1月の3カ月間の平日にテレワークした職員はいなかった。
という記述もある。
昨日の投稿でも同じ趣旨のことを指摘したが、自分の誤り・過ちを反省も出来ない者が、新型コロナウイルス対応大臣という立場に居座っている。それでは収まるものも収まらない。
西村と言えば、2018年7月、気象庁が災害発生を警告し、当該地域へ避難勧告も出されていた状況で、自民党有志が衆議院宿舎で飲み会を開き大炎上した際に、当時官房副長官であったにもかかわらず、
つまり、秘書が150日連勤されられていたり、彼が責任者を務める部署で残業380時間/月・20時間労働/日なんてことが起きるのも、「さもそうず、さもありなん」という感しかないし、それについてわざわざ深夜に会見をやり質問を受け付けないのも、既に分かっていた責任逃れ体質でしかなく、「さもそうず、さもありなん」だ。
真摯な、丁寧な説明など、これまでにも多くの日本語表現が現自民党政権によって破壊されてきたが、適材適所という言葉も、その意味が捻じ曲げられ、破壊された言葉の1つだ。
適正など微塵もなく、責任もとらず、反省もしないような者が担当大臣の座にある限り、日本でコロナ危機が収まる日はまだまだずっと先だろう。