各都道府県には迷惑行為を防止する条例がある。迷惑防止条例 - Wikipedia によると、1962年に東京都で、繁華街で違法行為や暴力行為を働く不良集団、所謂愚連隊への対処の為に定められたのが最初なのだそうだ。改正を重ねた現在では、ダフ屋、ピンクビラ配布、押売、客引き、スカウト、盗撮、のぞき、痴漢、つきまとい行為、などを取り締まる為の条例でもある。
迷惑とは何か。迷惑(メイワク)とは - コトバンク では「ある行為がもとで、他の人が不利益を受けたり、不快を感じたりすること」と説明している。迷惑行為には違法か適法かの定義はなく、不利益が生じるか、不快かどうか、が迷惑行為か否かの判断基準だろう。例えば、殺人や強盗なども不利益も不快も生じるが、それらを迷惑行為とは言わずに違法行為と呼ぶのが一般的だ。つまり、迷惑行為という表現は、違法とまでは言えないが不利益や不快が生じる、若しくは、違法か否かは曖昧だが不利益や不快は生じる行為、というニュアンスと考えるのが妥当だろう。
1962年に東京都で最初に迷惑防止条例が定められた当初は、ぐれん隊防止条例と呼ばれていたそうだ。それには、愚連隊のする違法行為を取り締まる為の条例で、彼らの行為は、勿論法の抜け穴をついた行為と捉えれば「迷惑行為」だったのかもしれないが、基本的には違法行為という認識の方が強かったから、という側面もあったのかもしれない。
その後は、国が定める法律の不十分さを補う形で、押売や客引き、盗撮やのぞきを防止する為の項目が加えられ、つまり国の定める法律に反するかは曖昧というニュアンスで、違法行為と言えるか曖昧だが迷惑な行為を防止する条例、となったのではないだろうか。
条例は迷惑行為全般を定義しているわけではないので、迷惑防止条例では禁止されていない行為でも、迷惑行為にあたる場合も当然あるだろう。例えば、酔っぱらって電車の中で横になって居眠りする行為は、他にほとんど誰も乗っていない場合などを除けば、迷惑行為だし、著しく遅い速度でクルマを走らせる行為も、円滑な交通の妨げになるような場合は、制限速度内であっても迷惑行為にあたる。共に他者に不快な思いをさせる懸念が高いのと同時に、前者は乗れるはずの人が乗れなくなったり、不必要に窮屈な乗車を強いられるという不利益、後者は本来目的地に到着できるはずの時間に到着できなくなるという不利益を生じさせる。
不快なだけでも迷惑を主張できるだろうが、不利益が生じれば、それは更に確固たるものになる。
観客上限は6月に先送りも 東京五輪、検査は原則毎日 チケット購入者には「迷惑かけぬよう」:東京新聞 TOKYO Web
東京五輪組織委員会の会長 橋本 聖子は4/21にの記者会見で、観客数の上限について「最終判断の時期は検討中」とし、結論を6月まで先送りする可能性もあるとの認識を示したそうだ。
都合の悪いことは先送り、自分達の都合によってはゴリ押し、というのは自民政権の悪い癖だ。政権を担って7年目にもかかわらず、2020までに指導的立場における女性の割合30%にするという、所謂202030を達成できずに、期限を10年も先送りしたことや、選択的別姓や同性婚の議論はいつまでも積極性を見せずに先送りし続けているのに、裁量労働制や検察庁長官の定年延長、学術会議会員任命拒否などは、合理的根拠もなくゴリ押しする。
それと同じことがオリンピックでも起きていて、開催はゴリ押し、しかし都合の悪い判断は先送りだ。
更にこの記事には、観客動員について「感染状況を見極める必要性があるが、(チケット購入者らに)ご迷惑を掛けないようにしないといけない」という、事務総長 武藤 敏郎の発言も示されている。これを読んで真っ先にこう思った。
チケット購入者には迷惑かけないようにするが、 オリンピック開催を優先して感染症対策を妨げるという迷惑を、国民全般にかけても構わない、と組織は思っているんだろう
この1年もうずっと書いているので、ここでいちいち何を以て「オリンピック開催優先が感染症対策を妨げている」と言えるのかを説明はしない。しかしそのような積み重ねがあるからこそ、そんな風に感じるのだ。
この投稿を書き始める直前に、こんなツイートがタイムラインに流れてきた。
たとえば電力会社が「大地震が起きたら原発はどうするの」と訊かれて「仮定の質問への回答は控える」って言ったらそれは危機管理ができてないってことなんだぜ
— Simon_Sin (@Simon_Sin) April 22, 2021
そんな根本的なこともできてない組織委員会なんて解体しちまえ https://t.co/mSX6HLZiSt
このように、海外メディアからの「もし大会中に緊急事態宣言が出されていたらどうなるのか?」という質問に、武藤が「仮定の質問への回答は控える」と回答を拒否したことからも、政府・自民党・組織委の感染症対策よりもオリンピック開催優先な姿勢は明白だ。
東京五輪まであと3カ月…「もし大会中に緊急事態宣言が出たら?」 組織委答えず/スポーツ/デイリースポーツ online
つまりオリンピック開催強行は、間違いなく感染症対策を妨げる迷惑行為だし、少なくともそれをやっている組織委は反社会的勢力、と言って過言ではない。
トップ画像には、【人物のイラスト・フリー素材】酔っ払いの男性、女性、サラリーマン、おじさん | イラストメメ と、「渋滞」フリーイラスト - シンプルフリーイラスト を使用した。