スキップしてメイン コンテンツに移動
 

油壺マリンパークの閉館発表に際して

 今日のトップ画像は「いるかの目」のアップである。これは2008年に油壺マリンパークで撮影した画像だ。何故か解像度は640*480だった。時期的に、ソニーのコンパクトデジタルカメラのブランド・Cyber-shotを冠した携帯電話、511万画素カメラ搭載のW61Sで撮影した画像のはずなのに、保存してあったのはすこぶる解像度が低い画像だった。動画撮影機能が丁度その解像度だったので、動画で撮ってそこから切り出した画像かもしれない。


 トップ画像の両サイドは、4:3から16:9にする際の余白を埋める為と、雰囲気を再現する為に画像編集で足した。何の雰囲気を再現したのかと言えば、この画像を撮った際の雰囲気だ。この写真は、油壺マリンパークのショー施設の隣にある丸い屋外水槽の、側面に設けられた窓から撮影したものだ。窓から水槽の中を見ていると、1匹のイルカが寄ってきて、逆にその窓からこちらのことを覗いているようだった。その時にとっさに撮影したことを覚えている。


 その油壺マリンパークが9月で閉館してしまうそうだ。

京急油壺マリンパークが9月末で閉館へ 設備老朽化で判断:東京新聞 TOKYO Web

 昨年、練馬区の遊園地・としまえんが閉園すると発表された時には、かなり話題になったのだが(「としまえん」が8月31日に閉園、94年の歴史に幕 跡地にはハリー・ポッターと防災公園:営業再開は6月15日 - ITmedia ビジネスオンライン)、この油壺マリンパーク閉館に関しては、自分の周りでは全く話題になっていない。閉館することすら話題にならない程度の知名度だったのかと思うと、更に寂しい。

 油壺マリンパークは、その名が冠するように京浜急行のレジャー施設である。現在の京浜急行の終点駅・三崎口からバス利用が必要な、ある意味で辺鄙な場所にある。油壺マリンパークは同電鉄の利用客増加の為に設けられた施設でもあり、開館前から、三崎口から現地付近への延伸計画もあったようだが、難航した挙句、2016年に計画は凍結されてしまった(京急久里浜線#路線の延伸計画 - Wikipedia)。
 そんなふうに油壺マリンパークが交通アクセスが悪い状況だったのに対して、規模的には油壺マリンパークと同等かそれ以下ではあるが、同じく京浜急行の、大森海岸から徒歩で5分という、都心から、そして駅からのアクセスでは、油壺マリンパークが到底勝てない、しながわ水族館が1991年に開業した。更に、同じく京浜急行沿線に、1993年に開業した八景島シーパラダイスも、金沢八景から(若しくはJR根岸線・新杉田から)横浜シーサイドライン経由で施設に直結していたし、八景島シーパラダイスはバブル期に企画・建設されたこともあって、遊園地を併設する水族館といった様相で、そのどちらもかなり大規模だった。そして、相模湾に面した立地である油壺マリンパークを広義の湘南地域の施設と捉えれば、油壺マリンパークよりも古い施設だった江の島水族館が、2004年に新江ノ島水族館としてリニューアルオープンしたことも、油壷マリンパークにとっては逆風となったのだろう。
 そして昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大が、遂にとどめを刺した感は否めない。


 自分は三浦市でも横須賀市でもなく横浜市出身だが、前段に出てきた水族館の中では、油壺マリンパークが最も思い入れのある施設だ。蛇足ではあるが、水中バレエという独自性のあるショーをやっていた、よみうりランド水族館も印象に残ってはいる。だが、思い入れの度合いでは油壺マリンパークに敵わない。
 こうして考えてみると、かなり多くの水族館が周辺地域にある中で、なぜ油壺マリンパークなのか。それは多分幼い頃に刷り込まれたものだろう。自分の父親は所謂昭和の父親像とは違い料理好きで、釣りもしないのに魚をよくさばいていた。それで魚を買いに三崎港によく行っていたこともあって、就学前にはよく父親に油壺マリンパークに連れていってもらった。また、小学校の遠足でも数回油壺マリンパークを訪れている。そもそも、その頃はまだ、しながわ水族館も八景島シーパラダイスもなかった。
 公共交通の便がよくないので、中高生の頃はあまり行かなかったが、クルマの免許をとってからはまたよく行くようになった。三浦半島は都心からドライブするのに丁度よい距離感だ。湘南地区・134号線沿いも似たような距離感なのだが、逗子/鎌倉/江の島/茅ケ崎のあたりは季節を問わずにしばしば渋滞が起きる。それに比べて、三浦半島は夏でもそこまで混まないし、現地までのアクセス経路である第三京浜-横浜横須賀道路も広くて走りやすく、そして混まない。また、油壺マリンパークも、休日にはそれなりに客が入っているものの、それでもショーを座って見られないとか、レストランで待たされるとか、そんな大混雑に遭遇することはまずなかった。つまり油壺マリンパークは、ドライブの目的地として気持ちよく走れるという点でも、ゆったりと目的地を堪能できるという点でも優れている
 そしてデートの行き先としてもまず外すことのない水族館の中でも、地元出身でなければ大抵未体験なので、ドライブデートならかなり優秀な行き先である。

 Googleで検索すると、サジェストされるキーワードとして「つまらない」が出てくるが、そりゃ高校生や大学生のようなノリでウェイウェイできるような施設ではないし、そのような雰囲気を求めるなら八景島シーパラダイスの方が面白いだろう。しかし昨今は所謂昭和レトロ的なものが静かなブームだし、そのような、ひなびた雰囲気を味わうのも「面白さ」なのではないか。その種の施設がまた一つ減ることが悲しい。

 最後に行ったのは2019年の初め頃だっただろうか。その後はこのご時世で行けていないが、9月閉館ならそれまでに、最後に1度は行っておきたい。


このブログの人気の投稿

話が違うじゃないか

 西麻布に Space Lab Yellow というナイトクラブがあった。 一昨日の投稿 でも触れたように、日本のダンスミュージックシーン、特にテクノやハウス界隈では、間違いなく最も重要なクラブの一つである。自分が初めて遊びに行ったクラブもこのイエローで、多分六本木/西麻布界隈に足を踏み入れたのもそれが初めてだったと思う。

マンガの中より酷い現実

 ヤングマガジンは、世界的にも人気が高く、2000年代以降確立したドリフト文化の形成に大きく寄与した頭文字Dや、湾岸ミッドナイト、シャコタンブギなど、自動車をテーマにしたマンガを多く輩出してきた。2017年からは、頭文字Dの続編とも言うべき作品・MFゴーストを連載している( MFゴースト - Wikipedia )。

読書と朗読を聞くことの違い

 「 本の内容を音声で聞かせてくれる「オーディオブック」は読書の代わりになり得るのか? 」という記事をGigazineが掲載した。Time(アメリカ版)の記事を翻訳・要約した記事で、ペンシルベニア・ブルームスバーグ大学のベス ロゴウスキさんの研究と、バージニア大学のダニエル ウィリンガムさんの研究に関する話である。記事の冒頭でも説明されているようにアメリカでは車移動が多く、運転中に本を読むことは出来ないので、書籍を朗読した音声・オーディオブックを利用する人が多くいる。これがこの話の前提になっているようだ。  記事ではそれらの研究を前提に、いくつかの側面からオーディオブックと読書の違いについて検証しているが、「 仕事や勉強のためではなく「単なる娯楽」としてオーディオブックを利用するのであれば、単に物語を楽しむだけであれば、 」という条件付きながら、「 オーディオブックと読書の間にはわずかな違いしかない 」としている。

あんたは市長になるよ

 うんざりすることがあまりにも多い時、面白い映画は気分転換のよいきっかけになる。先週はあまりにもがっかりさせられることばかりだったので、昨日は事前に食料を買い込んで家に籠って映画に浸ることにした。マンガを全巻一気読みするように バックトゥザフューチャー3作を続けて鑑賞 した。

敵より怖いバカな大将多くして船山を上る

 1912年に氷山に衝突して沈没したタイタニックはとても有名だ。これに因んだ映画だけでもかなり多くの本数が製作されている。ドキュメンタリー番組でもしばしば取り上げられる。中でも有名なのは、やはり1997年に公開された、ジェームズ キャメロン監督・レオナルド ディカプリオ主演の映画だろう。