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最終判断はいつまでに下すべきか

 急に上司から「明日のシフト変更して休みにして」と言われたら、何日も連続勤務を強いられていて、休みは一日中泥のように眠りたいような状態でもなければ、一人で過ごすのが好みでも、休みを損した気がするだろう。急に休みを言い渡されても、そのタイミングで計画を立てられる幅は狭く、できることが限られるからだ。


 休みには誰かとどこかへ出かける、何かするのが好みなら尚更だ。学生時代のように、暇を持て余している身軽な友人が沢山いれば、急に「明日○○しよう」と声をかけても付き合ってくれる誰かが見つかるかもしれないが、社会人になると家族を持つ者も多く、急なオファーに付き合ってくれる友人を探すのも一苦労だし、そもそも休みは行きたいイベントやしたいことに合わせて取りたいものだ。
 だから急に「明日休んで」と言われると、損した気分になることが多い

 労働基準法では、解雇を行う場合、合理的な理由があったとしても少なくとも30日前には解雇する旨予告しなくてはならないことになっており、30日よりも前に予告せずに解雇を行う場合は、解雇予告手当・30日分以上の平均賃金を支払わなくてはならないことになっている。これは、労働者が急に解雇を言い渡され収入を失うことを避ける為、労働者の都合に配慮する為で、つまり次の職を探す為の猶予期間を設けているようなものだ。しかし、現在の仕事をしながら30日で次の仕事を探すのはとても困難なので、それだけでは不充分だ。
 それを補うために雇用保険があり、職を失うと失業手当を国から受け取ることができる。だが、受給資格を得るためには、原則、離職以前の2年間において被保険者期間が12か月以上あることが必要で、運悪くそれを満たさない期間で解雇されれば、失業手当を受け取れない恐れもある。
 だから個人的には、解雇を行う場合30日前の予告と30日分以上の解雇予告手当が必要ではないかと考える。企業によっては、30日前に解雇予告し、最後の1カ月は有給消化と解釈するなどして出勤を求めない場合もあるが、それはあくまで良心的な場合であり、解雇予告手当すら踏み倒そうとする悪質な経営者もいる。


 何にせよ、何かを決める場合、前もって決めてくれないと周囲の人が振り回されることになる。例えば、政府は4/23の夕方に、4/25から東京 大阪 京都 神戸の4都道府県に対して、3度目の緊急事態宣言を出すことを決め、首相の菅が4/23の夜にその旨を伝える会見を行った。

4都府県に緊急事態宣言 菅首相「短期集中で感染抑止」―25日から来月11日まで:時事ドットコム

 それ以前から緊急事態宣言が三度出されるようだと伝えられていたはいたが、それでも市民が本格的に対応するのは正式決定してからだろう。つまり政府と首相は対応する猶予を与えずに市民を振り回した。例えば、突発的に地震が起きた等の場合は、即日宣言がなされても誰も異論は唱えないだろう。しかし昨今は、台風や豪雨による被害が事前に予測される場合は、前もって鉄道会社が運休を発表するなど、自然災害でも混乱を避ける為に猶予をもって対応の発表がされる。
 新型コロナウイルス感染拡大は発生から既に1年以上が経過しており、これまでの経験から、現在の状況は少なくとも1-2週間前には既に予測できた。にもかかわらず政府と首相は、市民の都合を考えずに宣言を実施ギリギリに発表する、ということをやった。しかも4/23は金曜日だった。4/25は日曜であり、4/23の夜に4/25からの、実質的には週明けの4/26からの宣言実施を正式発表したのは、1日も猶予を与えなかったとも言える。対応の為に休日返上を余儀なくされた人も少なくなかったのではないか。
 兎にも角にも、政府や首相の判断は遅く、市民の都合を全く無視したものだった。


 毎日新聞は5/3に、「新型コロナウイルス感染拡大の影響が懸念される東京オリンピック・パラリンピック開催について毎日新聞が全47都道府県知事に行ったアンケートに対し、五輪の競技が行われる埼玉、静岡、山梨を含む9県の知事が「感染状況次第で中止・延期にすべきだ」と回答した」という記事を掲載した。

東京五輪 9知事が「感染次第で中止・延期」 全国知事調査 | 毎日新聞

 この件について、SNS上ではそう回答した9人の知事に対して「よくぞ言った」のように称賛する投稿が多かったが、自分には全くそう思えない。東京オリンピックの開催予定は7月で、既に3ヶ月後に迫っている。そのようなタイミングで「感染状況次第」? 一体何を言っているんだという感しかない。
 それは毎日新聞がアンケートに設けた設問だろうから、もし「状況にかかわらず中止/延期すべき」という選択肢があったなら、もしくは自由に記述するタイプでのアンケートなら、なぜその知事らはそちらを選ばなかったのか、そう書かなかったのかという感しかない。自由記述でなく選択肢を選ぶのみのアンケートで、「状況にかかわらず中止/延期」の選択肢がなく「感染状況次第で中止・延期にすべき」しか選択肢が設けられていなかったなら、毎日新聞が誘導尋問をしたとも言えそうだ。
 何にせよ、開催まで3カ月という状況で、未だに「感染状況次第」なんて言っているのは、最終判断を下す期限を見誤っているとしか言いようがない。


 トップ画像には、Gino CrescoliによるPixabayからの画像 をしようした。

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