コーラを割とよく飲む。ただ、飲んだ後、歯がコーラでコーティングされたような感覚は嫌いで、それを出来るだけ軽減したいので、飲むのは大抵ダイエットかシュガーフリータイプだ。また、コカコーラよりもペプシ派なので、今最も好むコーラはペプシゼロだ。だが日本ではコカ・コーラの方が置いてある率が高いので、仕方がなくコカコーラゼロ、若しくは普通のコカコーラを飲むこともある。
自分の世代は、コーラは体によくない、と言われて育った人が多いのではないか。飲むと骨が溶ける、なんて言う人もいた。
コーラには歯や骨を溶かす作用があると聞いたのですが、本当ですか? サントリーお客様センター
骨や歯の主成分であるリン酸カルシウムは、酸に溶ける性質を持っています。したがって、抜けた歯や魚の骨などを長時間コーラや炭酸飲料、天然果汁など酸を含んだ液体に漬けておくとカルシウムやマグネシウムが溶け出します(これを脱灰現象といいます)。しかし、酸を含んだ食べ物や飲み物が、人間の体内で骨に直接触れることはありません。
しかし糖分が多量に含まれているというのは本当で、というかコーラに限らず、ファンタやカルピスウォーターなどの清涼飲料水には、500mlに角砂糖15個分以上の砂糖が入っているようで、飲み過ぎ、水のように飲むのは体に悪いというのは間違いでもなさそうだ。
そんなことを子どもの頃から言われていたので、オリンピックのメインスポンサーにコカコーラが名を連ねていることに昔から違和感を持っていた。コカコーラとオリンピックの関係はいつ始まったのかを調べてみて驚いた。なんとその歴史は1928年の第9回アムステルダム大会から始まっているらしい(HISTORY コカ・コーラ社とオリンピックのパートナーシップの歩み: The
Coca-Cola Company)。自分が初めて違和感を持ったのは多分ソウルオリンピックだ。
当時小学生だった自分は、キャプテン翼ブームの影響でサッカークラブに入っていて、土曜か日曜に毎週練習や試合があった。みんなが持ってくる飲み物は麦茶かアクエリアスやポカリスエットなどのスポーツ飲料だった。アクエリアスやポカリスエットなどにも500mlにつき角砂糖5-10個分程度の砂糖が含まれているそうだが、スポーツをすればエネルギー補給も必要で、勿論飲み過ぎはよくないだろうが、スポーツ飲料への違和感は、子供も親もそんなに感じていなかった。
ならばコーラで糖分補給してもいいし、オリンピックのスポンサーでもおかしくない、と思う人もいるだろうが、そもそも炭酸で腹が膨れるコーラを、運動中に飲みたい人はそんなにいないのではないか。少なくとも自分は飲みたいとは思わない。映画鑑賞のように、コーラを飲みながらスポーツを観戦しよう!という趣旨なら分かるが、コカコーラがオリンピックやスポーツと関連付ける広告には、そのイメージよりもスポーツ選手が飲んでいるような印象のものの方が多く、だから、コカコーラがオリンピックスポンサーとして大々的に宣伝していることに違和感を感じるんだろう。
因みに、昨今エクストリームスポーツなどを中心にスポンサーとしてよく見かけるエナジードリンクだが、最大手レッドブルのレギュラー商品には、250mlで角砂糖7-8個分の糖分が含まれているそうだ。エナジードリンクの他の商品によっては250mlで角砂糖10個分もの糖分が含まれる商品もあるようで、コーラと同等かそれ以上に多い糖分が含まれている。ただ、エナジードリンク類も炭酸飲料ではあるが、コーラ程炭酸はきつくなく、また日本では250ml缶が主流で、コーラよりはまだスポーツ向きなのかもしれない。ただそれでも、どちらも水分補給用として水のように飲むようなものではない。
ロナウド選手がコカ・コーラを会見で撤去 ⇒ 直後に株価が下落【EURO2020】 | ハフポスト
サッカー選手のクリスティアーノ ロナウドがサッカー欧州選手権の記者会見で、会見が始まる直前に、机の上に置かれていた2本のコカコーラを、自分の前からカメラのフレームの外へ追いやり、「水!」と一言叫んだことが話題になっている。コカコーラは同大会のスポンサーだ。
One small gesture by soccer star Cristiano Ronaldo has reportedly cost Coca-Cola $4B in market shares. On Monday, the soccer star sat down for a press conference ahead of Portugal's Euro match vs. Hungary, and moved two bottles of Coke away from his seat. pic.twitter.com/ZaHGKhgwoK
— NowThis (@nowthisnews) June 16, 2021
それを見て、この投稿の導入で書いた、コカコーラがオリンピックのメインスポンサーであることへの違和感を思い出した。ロナウドは2020年にサッカー情報Webサイトのインタビューで、最善の状態でプレーするために食べ物に注意を払っており、糖分の多い食べ物を避けてアルコールや炭酸飲料は飲まないと答えているそうだ。多分コカコーラが大会スポンサーであることに異論を唱えたのではなく、自分の好まない飲料商品と結び付けられたくなかったんだろう。
この記事には続きがあって、その翌日、フランス代表のポール
ポグバが、ロナウドがコーラを撤去したように、インタビュー時に机の上に置かれていた、大会スポンサーであるハイネケンのノンアルコールビールを撤去した。ポバクはイスラム教徒でアルコールを飲まない。ノンアルコールビールとは言え、流石に配慮が足りないんじゃないだろうか。
バイクスプリントレースの世界選手権・MotoGPやWSBKシリーズでは、最近はアジア系選手が表彰台に乗ることもよくある。もう結構前から、モータースポーツの表彰式におけるシャンパンファイトにはノンアルコールが使われているが、イスラム教徒の選手にはそもそもボトルを手渡さず、シャンパンファイトもイスラム教徒の選手がその場を離れるのを待ってから行われている。
記事には、
同連盟は声明で「コカ・コーラは、水やスポーツドリンク、ジュース、コーヒー、紅茶、そしてコカ・コーラなど、様々な好みや必要にあわせた飲み物を提供しています。選手たちは大会期間中、望むものを飲むことができます」「記者会見では、選手にはコカ・コーラやコカ・コーラ・ゼロだけではなく、水も提供され、全ての人が好みにあわせた飲み物を選べます」と説明
ともある。ならばインタビュー時に置く飲み物も、選手の意向に合わせる、選手の宗教上の制約に配慮する必要がある、のではないか。それをしていないのに、そんなことを言ってもあまり説得力は感じられないし、コカコーラやハイネケンが同社らのメインブランドであることは分かるが、スポーツ大会絡みでは、水や、せめてスポーツドリンクを推す広告活動をするとか、コーラやビールを前面に推すなら、観戦時に飲む様子を強調するとか、実態や状況が不自然でないアピールの仕方をすべきではないのか。
この記事に出てきた選手はそれなりの知名度を持っていて、スポンサーに媚びる必要があまりない立場だが、もし新人選手、知名度のそれ程高くない選手がそんなことをしたら、ほされる、ということになるのではないだろうか。確かにスポンサーによる資金援助がなければ、スポーツの興行が成り立たない側面はある。しかしだからと言って、スポンサー企業を批判したり、意に沿わないことをするのはタブーなんて状況は、決して好ましいとは言えない。このようなところにも資本至上主義の歪みが現れていると感じる。