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日和見主義で論調が変わる

 その時の状況・情勢によって、有利な方につこうと、態度や主張が変わること、そのような姿勢の人のことを日和見とか日和見主義とか言う。冬を目前にした時期の穏やかな晴天の日のことを、「早く冬が終わって春にならないかな」のようなニュアンスを込めて ”小春日和” と言うように、日和とは天気の意で、元来日和見とは天気の状況を見定めること、つまり天気予報のような意味だ。


 日和見主義のことを、風向きに合わせてそれに逆らわず姿勢が変わる、のようなニュアンスを込めて、風見鶏とも言う。


トランプ氏「アメリカ取り戻す」 中間選挙へ初の集会:朝日新聞デジタル

 これは見出しの通り、米国前大統領のトランプが、退任後初めて支持者を集めた集会を開いた、という内容だ。トランプは数千人の支持者の前で演説を行ったそうだが、それについて記事にはこう書かれている。

「20年の大統領選挙で不正があった」という根拠のない主張を改めて繰り返したうえで、「我々は(16年と20年の)2度勝ったが、3度目も勝たなければならないかもしれない」と述べ、24年の大統領選挙に再出馬する可能性を改めて示唆。「我々の戦いはまだ始まったばかりだ」と今後も政治活動を続ける考えを改めて示した。

トランプの「大統領選で不正があった」という主張について、「根拠のない主張を改めて繰り返した」と明確に断じている。この記事はハフポストにも転載記事が掲載されていて、そちらはその部分を見出しにもしている。

トランプ前大統領「アメリカを取り戻す」退任後初の集会、根拠ない主張を繰り返す | ハフポスト


 これらの記事内容に、特段不適切な部分はない。この記事単体で見れば至極真っ当である。しかし、アメリカ前大統領のいい加減な主張は「根拠のない主張を改めて繰り返した」と断じることが出来るのに、自国の首相や政府、そして自社がスポンサーを務める東京オリンピックの大会関係者によって、具体的な根拠も示されない、抽象的で根拠薄弱な主張が、新型コロナウイルス対応やオリンピック強行に関してどれだけ繰り返されても、そうは指摘しないのだから、朝日新聞の態度は決して真っ当とは言い難い。
 それはこの記事を転載して掲載しているハフポスト日本版も同じで、ハッキリ言ってダサい。ダサいだけでなく不誠実とすら言えるだろう。


 安倍政権が成立して以降、日本の報道の自由度ランキングはガクッと下がった。東日本大震災による福島原発事故に関して、当時の民主党政権が適切に情報を出したとは言えなかったこともあり、菅政権時から低下傾向にあったが、その後の安倍/菅 自民党政権下の、日本の報道の自由度評価はそれ以上に悪い。それがどういうことか、少し考えたら深刻であることが分かるだろう。

その主な理由は政府や政治にある、と言われることが多いが、それに屈し、誠実とは言えない記事を書き、報道をやるメディア自体にも問題がある、と言わざるを得ない。


 トップ画像には、風ベーン 空 雲 - Pixabayの無料写真 を使用した。

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